残留兵士の群像ー彼らの生きた戦後と祖国のまなざし

著者 :
  • 新曜社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788517936

作品紹介・あらすじ

敗戦後、帰国せずにアジアの各戦地で生きることを選択した残留兵士たち。彼らはなぜ残留を決意し、どのような戦後を歩んだのか。そして、祖国の人々は、彼らをどう眼差してきたのか。聞き取りや文献、映像資料を駆使し、残留兵士の実像と表象に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 想像していた内容と違いました。

    残留ということ自体が望まぬものであるのにもかかわらず、国が行かせたくせになるべく土着してくれと出したんですね。知りませんでした。

    残留兵士となって帰国し一躍時の人になった方は存じていますが、それ以外にもなんと多くいること…そしてその方々は独立戦争などでその土着した国の兵士として生きたなんて想像もしませんでした。

    残留した方々の映画がいくつも撮影されていて、それをなぞるような展開の本書。
    たった一人で土着した人、数名で土着して活動した人、色々のようだがその功績如何で墓の問題もあるようでなんとも昭和的だと感じる。

    想像と違ったからゆえの新しく知ることばかりだったけれど、もう少しまとめようや表現の仕方があったのではないかと思う。映画が主軸のようでありなんとも残念なモヤモヤが残った。

  •  東南アジア各地での残留日本兵を、膨大なノンフィクション・フィクション映像作品を通じて見る。
     まず感じるのが、「群像」とあるとおり残留の動機も暮らしぶりも多様だという点。事業や日本企業の雇用によりある程度成功した者から貧困層まで。ベトナムに遺された妻子は近年でもメディアで目にするが、妻子と共に帰国した者もいたと知る。
     また、各映像作品には当事者の実像を超えて、制作者の意図、言い換えればイメージ(「表象」)が投影される点。時にはそれに合わせた取材や切り取りも行われる。「異邦人」から可哀想な「日本人」、現地の「独立英雄」、「被害者」「加害者」「父親」などと時期的に変遷。また横井・小野田の例にあるように、受け取る側も表象を消費していたと言えるだろう。

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著者プロフィール

二松学舎大学文学部歴史文化学科准教授

「2023年 『残留兵士の群像』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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