フロー体験入門―楽しみと創造の心理学

  • 世界思想社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784790714798

作品紹介・あらすじ

フロー体験で人生が変わる。仕事も家事も勉強も本当は楽しめる。大切なのは「何をするか」ではなく「どのようにするか」だった。充実した人生のためのポジティブで実践的な研究の書。

感想・レビュー・書評

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  • 受動的な趣味(レジャー)より能動的な趣味に打ち込む

    【感想】
    うすうす、テレビを見たり漫画を読んだりするよりも、スポーツに打ち込んだり楽器を弾いたりすることの方が趣味としてかっこいい、自分もそういう風になりたい、と思っていた。世間的にも、スポーツとか音楽創作の方が趣味として高尚というか、「本当に人生を楽しんでいる」感じがしないだろうか。この本によると、どうやらその仮説はあたっているらしい。受動的に遊ぶよりも、人は能動的に頭や手を使って、フィードバックが得られる体験が面白いらしい。
     なかなか難しい本。語りは平易ではなく、翻訳も固い。  こうすればフローが得られる、と教えてくれる本ではない。色々な分野によって、人々はどのような場面で幸福・フローを感じているかを語っている。それぞれの章を読みながら、自分の幸せを考えるために使える。自分にとって、どのような場所で、どのような人と暮らし、どんんな仕事をするのか。どんなレジャーをすることが最もフローを体験できるのか。考える日々。
     こうしてブクログに感想を書いているのも、読書をできる限り受動的レジャーから能動的レジャーに近づけたいからかもしれない。自分が読んだ本の感想や学びをまとめてブクログに書いておけば、自分が読んだ本の感想リストが出来上がる。そのリスト自体が「自分はこういう本を読んできたんだな~」と刺激を得られる。本を読んだ感想や学びを言語化することで、改めて自分が感じたこと、思ったことを深く認知できる。感想を書いていくのは面倒くさいけど、実は大切なんだろうな。こうしていちいち自分の言葉にしていくことで、本からのフィードバックを最大化しているのだ。


    ■フローとは
    ・意識がその体験いっぱいに広がる
    ・その体験に置いて、感情と思考が調和している
    ・人生の一番良いときのように感じる
    ・チャレンジしていることと自身のスキルがちょうどよいときに起きる

    ■フロー体験の特徴
    ・フィードバックが得られる
     
    【本書を読みながら気になった記述・コト】
    ■友人と一緒にいることはとても良い体験になる。多くの人が高い幸福感を報告している。それは高齢者になっても同じ。友人はずっと大事だ
    →この本では再三語られるか、豊かな友人関係を築けていることは、本当に大事だということだ

    ■女性の方が仕事での喜びを報告する傾向が高い。自分たちの仕事が「しなければならないこと」ではなく、「したいこと」と捉えていて能動的に取り組むことができる

    ■仕事は日常生活よりフローにあふれている。普段の生活よりゲーム性があり、フィードバックがあり、創意工夫が可能だからだ

    ■仕事で大きな成功を手にした人でも、人生で最もやりがいがあったこと、誇りに思っていることを尋ねられると「子どもたちの成長」「家族と一緒に過ごした

    ■最も多くのフロー体験は本をよく読みテレビをあまり見ない人によって報告された
    →読書は思考の創造的活動そのものであり、かつ別の世界へさらに思考・興味関心を広げてくれるからではないか

  •  先日読んだ『フロー体験 喜びの現象学』を、少し論文臭を抑え、より一般向けにした感じの本。
     ただ、「入門」と謳っている(原題は“Finding Flow”)わりにはけっして平易ではなく、ある程度の基礎知識を読者に要求する内容である。

     最近、ポジティブ心理学の本をたてつづけに読んでいるのだが、その中でもチクセントミハイの著作は、哲学的深みという点でダントツだと思う。
     本書もしかりで、フロー体験についての解説書であると同時に哲学書にもなっている。古典のような風格を具えた含蓄深い一節が、随所に登場する。チクセントミハイ自身、哲学者的資質の勝った心理学者なのだろう。

     同じ著者が同じテーマについて書いた本だから、『フロー体験 喜びの現象学』と本書には一部内容の重複も見られる。
     それでも、『~喜びの現象学』に感銘を受けた人なら、本書も読んで損はない。前著から9年後に出たものだから、その間の研究の進展も反映されており、より深まっている面もあるからだ。

  • 自分なりの解釈

    フロー状態とは、今に没頭していて、時間の感覚を忘れて、自分自身を完全にコントロールできているような感覚。

    つまり、フローな状態はとても幸福な状態。
    でも、だらだらと1日1日を過ごしていたら、この状態は生まれない。
    能動的に活動すれば、仕事だって楽しくなる。
    仲間と一緒にいればもっと楽しくなる。
    面白いことがないから何もしないではなくて、
    面白いと思うことははじめから面白いのではなくて、注意を注ぐ労があったから面白い。

    ではフロー状態になるには

    明確な目標があって

    なおかつ、迅速なフィードバッグがある。

    そして、スキルとチャレンジのバランスがギリギリのところで活動しているときになりやすい。

    とのこと。


    感想

    とても、ためになった。

    仕事はつまらないものだと決めつけていたので、
    目標を見つけて楽しめるように頑張りたい。






  • 幸せって何なんだろう?と改めて考えさせられました。

    幸福な状態はずっと続くわけではなく、何かしらの努力の過程を経てそれが実った時に感じる一瞬のモノ。

    その努力の過程こそ楽しいモノ。

    その努力の中で、時間を忘れるほどに集中する時間あって、それがいろんな所で感じられるようになれば、それほど嬉しいものはないんだろうなぁ。

    いろんな本を読んだり、登山という趣味をする事で一度は感じたはずなのに忘れてしまっているのが情けない。

  • 簡単に言えば,フローとは「ある行為への没入状態」ということが出来る.このフローに入る状況とは何か,また,フローを体験し続ける人生を送ることはどういうことなのかについて記されている.
    著者も触れている通り,他の自己啓発本との違いは科学的根拠に基づいた分析ととらえることが出来る事である.その人の経験則と言われるよりは読んでて納得出来るところも多いと思う.(少しグラフのデザインに恣意的なものが感じられたのは残念だが)

    また,哲学者や様々な成功者の言葉を引用している箇所が多く,彼らについての知識が浅い自分としては「凄い人たちの言葉なんだろうけど,よく知らんしなぁ」という気分になってしまった.

    一方で,人生に対する考え方には非常に共感でき,家事や勉強といった事に対してもフローに入る状況を生み出すことは出来るというのが面白い.勿論,状況を整えることに対して心理的エネルギーを使用できるのかという点で,ふるいにかけられることもあると思う.しかし,一度でもフローを(スポーツや遊び,趣味など)体験した人であれば,理屈を持ってそこに到達できると聞いただけでもワクワクすると思う.

    心理的エネルギーの消費を踏まえた生き方というのは,頭の片隅に置いておきたい思考でした.

  • 「フロー体験」というチャレンジと集中を伴った感覚を中心にすえ、幸福とは・・家族とは・・友人とは・・仕事とは・・宗教とは・・など、人生における有意義な行き方について考察された一冊。
    入門というほど平易な内容ではないため、読む気があればそれこそフローになるくらいの集中力が必要と思われる。
    比較的、筆者の主張が強い一方で、内容は現在においても非常に示唆に富んでおり、人生で一度は読んでも良いかなと思える。

  • フロー体験というのは、いわゆるランニングハイのような状態に似ています。

    ジョギングをした経験がある人ならご存知かと思いますが、20~30分ほど走っていると、苦しさがなくなって、いつまでも走っていられるような一種の高揚感につつまれ、なんでもできそうな感覚になったりします。

    チクセントミハイは、その状態を「大人の遊び」をテーマにインタビューをして、レポートを書いていたときに「発見」したと言います。

    遊びの性格を持つなにかをしているときに、最も楽しく、ワクワクし、さらに有意義な体験が起こる。

    それは自発的に行なわれ、その行為自体のほかに成果はなく、それが生みだす感覚のゆえに行なうなにか。

    たとえばチェスや将棋であったり、登山、絵画の制作、詩の翻訳。
    山の近くにいたいと思い、また世界中を小舟で航海するために、よい勤め口を断念したりする人たちもいる……。

    そういう遊びについて厳密な科学的研究を行い、遊びをさらによく理解しようとしてなされた結果、再発見された現象がフロー体験です。

    著者は、この本を「生きる」とはどういうことか、「よりよい人生とはなにか」という問題を考え直すために書いたと言います。

    そして、どうすれば人々は最高の人生を築くことができるだろうかということへの著者の答えが、この本に書かれてあります。

    生きるとは、たんに生物学的に命を生きながらえることを意味しているのではなく、時間や潜在能力を浪費せず、その人の独自性を表現し、しかも宇宙の複雑さに深く関わり、充実して生きることを意味するはずであり、そのような生き方を、現在の心理学とチクセントミハイ独自の研究で発見したことに基づくやり方で、探求しています。

    http://ameblo.jp/livingthelifeyoulove/theme-10090328181.html

  • 自分の好きなことをやって、夢中になる。
    そんな時間をもっともっと増やすために、自分の生活がどんなことに時間を使っているかを見直し、時間配分をやりたいことに寄せていく。
    どうしてもやらなくちゃいけないことは、「どうやるか」を考え、ゲームにしていくことが必要。
    自分がどうやったら気持ちよく活動できるかを知り、そのように行動していくのが一番!


  • フロー。没頭していると、時間の感覚は無くなり、周囲と一体化しながら、精神は明晰で、不安をまったく感じない状態。

    スキルが低く、難易度が低いと、無感動。
    スキルが低く、難易度が高いと、不安。
    スキルが高く、難易度が低いと、リラックス。
    スキルが高く、難易度が高いと、フロー。

  • 2010年に書かれた本だとは!!
    過去の自分が本の中にいた気がする。毎日が忙しくも充実していた、フローだった頃…。何事にも好奇心をもって前向きに取り組んでいきたいなぁ。

    [フローの性質]
    特別な状態であるフローはポジティブなもので、実はとてもくつろいでいる。それ自体が楽しくて仕方ない。
    フローはチャレンジと求められるスキルが高い時になれる。チャレンジやスキルの認識は主観的なものでコントロールしたい。(どう捉えるかに左右される)
    外界から内面へと人生を変革するもの(フローの影響)

    [フローに入るには〜人間関係について]
    人は1人でなく多数で行動する方がポジティブになりやすい。(フローに入りやすくする)
    遊びの性格をもつものに集中して取り組むことが最も楽しく、わくわく、有意義。しなければならないことが明確で、目標が具体的ではっきりとしているもの。
    利己的な態度では成功できないし、最終的には自分が苦しむことになる。だから、相手のために心理的エネルギーを費やすことが大切。心理的エネルギーは希少な資源である。相手の目標の断片を見つけ、喜んでエネルギーを注ぐことが大切。調和をはかる(相手の求めているものを共感により理解する)
    友情=最強で、物質的な欲望を満たすだけという関係ではなく、アイディア、感情、活動、思い出、夢を共有するのが大事。物質的なものを与えるだけでは、放っておいてもなんとかなるという感情を生む(釣った魚に餌をやらない)この関係性は冷たく危険な世界。

    [フローに向けた態度]
    明らかに取るに足りない対象に、あふれる心理的エネルギーを注ぎ込んでブレイクスルーを起こそう。不思議に思ったり、新奇なものを求めたり、、
    面白いことは始めから面白いのではなく、注意を注ぐ労を払ったから面白いと感じる。十分な注意を注いで、その複雑な構成を理解するまでは退屈でしかない。

    [心理的エネルギーのコントロール]
    苦痛を押し留めようとすると、押し留めるのに心理的エネルギーを使い枯れさせてしまう。ならば苦しみを直視し、その存在を理解して尊重してできるだけ早く自分で集中することを選んだ事項に注意を向けて忙しくしていた方がよい。

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