- Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791762903
感想・レビュー・書評
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「肉体と詩の交点に芝居は生まれる」
「自分の演出は、リアリズムではない。誇張と省略こそが、演劇空間を作るための二つの大きな要素だと思っている。」
「スタイル以外にメッセージはない。スタイルの中にだけメッセージは隠されていると思う。」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「赤鬼」は1996年に初演され、その後、タイ人キャストによるタイ語でのタイ公演、そのプロダクションによる日本公演、ロンドンで座組みして英語によって上演されたロンドン公演、日本人ニューキャストによる再演を含む日本・タイ・ロンドンの3ヴァージョン連続の日本公演、そして韓国語による韓国公演と、文字通りのグローバルな展開をしてきた野田秀樹の代表作と言ってもいい舞台。本著はその「赤鬼」のロンドン公演、タイ公演の苦闘を記したもの。初出がセゾン文化財団の機関紙に野田秀樹氏が書いたもの、評論家の鴻英良氏が野田秀樹氏にインタヴューしたものを演劇専門誌に載せたもの、雑誌『ユリイカ』の野田秀樹総特集に載せた両氏の対談と色々になっているために、文章も判りやすかったり、突っ込んだりと一冊の本としては一寸バラツキがあるものの、「赤鬼」のバックストーリーとしてはとても面白かった。「赤鬼プロジェクト」と相前後して執筆・上演されていた「オイル」「パンドラの鐘」そして「砥辰の討たれ」と言った作品群が当時の社会状況とどのようにリンクして書かれていたのか。それらが鴻氏との対談や鴻氏の評論によって明らかになっていく。読了して「赤鬼」も野田秀樹のその他の作品も自分では半分も読み取れてなかったんだよなと実感されたのはチト悲しかったりしますが(笑)