エネルギーの人類史 下

  • 青土社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791771547

作品紹介・あらすじ

エネルギーと文明の発展史についての壮大な研究成果。ビル・ゲイツ氏推薦(2017年度 ビル・ゲイツが選ぶ今年の5冊)。
「私は、人々が『スター・ウォーズ』の次回作を待つのと同じように、シュミル氏の新刊を待つ。シュミル氏は過去1万年にわたって、エネルギーを熱や光に変える人間の能力のイノベーションが、いかにわれわれの文化や経済の進歩に貢献してきたかを、深く幅広く、専門家ならではの洞察で分析・考察している。」

感想・レビュー・書評

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  • ―― シュミル/塩原 通緒・訳《エネルギーの人類史(下)20190325 青土社》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4791771540
     
    (20240318)

  • 図書館で借りた。
    下巻は一気に近代化が進み、科学史の側面が強くなる。とは言え電気や発電に絞っていないのがこの本の魅力で、様々なエネルギーの話が広がる。戦争のところでは東京大空襲の話もあった。

    …しかし、縦書き漢数字は読みにくい。非常にストレスに感じた。

  • SDGs|目標7 エネルギーををみんなに そしてクリーンに|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/765058

  • エネルギーのイノベーションの過程を見ていくと、結局はいかに効率的に作業するか、いかに効率的にエネルギーを活用できるかというところに行き着くんですね。
    それに気づいた国から発展して行ってるのはイギリスと蒸気機関の頃から変わっていないかと。
    この歴史から見ると、日本も省エネ技術が進化しているとはいえやらなきゃいけないこと、きめなきゃいけないことは多いんじゃ無いかと考えます。

  • 資料ID:81900763
    請求記号:501.6||S||下
    配置場所:工枚特集①
    (※配置場所は、レビュー投稿時のものです。)

    ☆特集展示「SDGs特集」☆
    SDGsを特別なものとしてではなく「自分ごと」として捉え、それぞれの活動、生活の中に浸透できるようSDGsを理解し社会課題に関心を持つことを目的としています。

  • エネルギー、という言葉には様々な側面がある。ある人が「エネルギー」という言葉を口にするとき、それはその人の中での特定の意味でのエネルギーであることが多い。様々の言葉が存在するが、エネルギーという言葉はその中でも、「共通認識が成り立ちにくい」性質の強いものかもしれない。
    であるがゆえに、私自身もまた「エネルギー」という言葉を漠然としか捉えてくることができなかった。エネルギーとはなんなのだろう。それは歴史の中でどう扱われて、そして今どのような状況にあり、そしてこれからそれに関して何が起こっていくのだろう。
    そのことを思想的な偏りや思い込みを抜きに、徹底してデータとそれへの謙虚な読み取りを元に、丁寧な思考を学ばせてくれる機会を私は漠然と求め続けていたような気がする。
    ふとしたきっかけで、その機会は得られた。しかも、十二分すぎるほどの量と質と面白さで。それがまさに、本書である。

    本書についてはとても一言で論じられない。しかしそれこそが個人的には本書に対する賛辞と感謝の表れだと思っている。エネルギーと共に人類が歩んできた歴史は、極めて複雑なものだ。複雑なものを1ワードで単純化してはならない。複雑さは複雑に受け止めるのだ。

    とりあえずメモ代わりに目次だけをざっと書いておく

    上巻
    第1章 エネルギーと社会
    第2章 先史時代のエネルギー
    第3章 伝統的な農業
    第4章 産業化以前の原動力と燃料
    下巻
    第5章 化石燃料と一時電気と再生エネルギー
    第6章 化石燃料文明
    第7章 世界の歴史の中のエネルギー

    あとは個人的に印象的な文章を抜粋する。

    古代の思想家や道徳家、中東やインドや中国の長く続く宗教の創始者による、普遍的で永続的な倫理的教えの体系化はいずれも人口の大半が基本的な身体的生存で精一杯の体にエネルギー社会でなされた。現代の事情にもその影響力を深く及ぼし続けている2つの主要な一神教、キリスト教とイスラム教は、それぞれ20世紀前と13世紀前に、まだ農耕社会が豊富な日光を有効エネルギーに変換する技術的手段を持たずにいた、乾燥した環境で起こった。
    (下巻 P.342)

    ここが気になった理由は、大昔に生まれた宗教のその周辺状況について、極めて明快にエネルギー事情の観点から記述してくれているからだ。上下巻にわたって緻密な議論を進めてきた著者だからこそ、この言葉の説得力も大きい。つまるところ、ここの議論の裏返しとしては、「エネルギー変換効率が高く、適度な湿度と温度で快適で、労働が自動化された社会においては一神教は生まれたのか?」と考えることができる。

    現在、十分な確実性を持って予見できるのは、今後数世代のうちに、今よりずっと多くのエネルギーが必要になると言うことだ。世界人口は未だ増加中で、その大多数は、そこそこの生活をの質を保障する最低水準を大きく下回るエネルギーしか得られていない。
    (下巻 P.351)

    ここを取り上げた理由は、むしろ著者が触れていない観点を見つけたからである。それは「果たして今世紀、人類は大きく増え続けるのか?」という問いだ。

    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200716/k10012518151000.html

    ワシントン大学の研究グループが明らかにしたところ、2064年に世界人口はピークアウトする可能性がある。

    また、Empty Planetという書籍でも、同様の予測が書かれている。

    https://amzn.to/3fJsEkP

    私自身は世界人口は21世紀中にピークアウトする予測に賛成である。それは必ずしも楽観論からというわけではなく、むしろ人口のピークアウトは悲観論に近いものかもしれない。既に日本では人口はピークアウトしているが、他のアジアやアフリカの国でもそうなっていく可能性が高いということは、いつの日か世界全体での人口減少に歯止めがかからない可能性がある。

    とはいえ、エネルギーの人類史で著者のシュミルが言っていることが間違っているわけではない。21世紀を通じて、途上国の多くの人々は炭化水素燃料の使用量を増やしていくことになる。そして地球温暖化は止まらない可能性は高い。
    だがそこにバラ色の解決策などは存在しない。エネルギーを期待通りに置き換えていくことができるのかは非常に不確かなのだ。

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    エネルギーの人類史 上・下 (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2019/3/25
    バーツラフ・シュミル (著), 塩原通緒 (翻訳)

    <原題>
    Energy and Civilization: A History

  • 上巻に記載

  • 下巻は19世紀に本格化する化石燃料の使用とその影響について。馴染みの多い話が多いので、上巻よりも読みやすい。

  • 豊富な図やグラフを見てるだけでも面白い。歴史と種類、多岐に渡るエネルギーを、よくこうわかりやすくまとめているなあ。補遺がまた面白かった。

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著者プロフィール

カナダのマニトバ大学特別栄誉教授。エネルギー、環境変化、人口変動、食料生産、栄養、技術革新、リスクアセスメント、公共政策の分野で学際的研究に従事。研究テーマに関する著作は40冊以上、論文は500本を超える。カナダ王立協会(科学・芸術アカデミー)フェロー。2000年、米国科学振興協会より「科学技術の一般への普及」貢献賞を受賞。2010年、『フォーリン・ポリシー』誌により「世界の思想家トップ100」の1人に選出。2013年、カナダ勲章を受勲。2015年、そのエネルギー研究に対してOPEC研究賞が授与される。米国やEUの数多くの研究所および国際機関で顧問を務める。これまでに米国、カナダ、ヨーロッパ、アジア、アフリカの400以上の会議およびワークショップに講演者として招待されるとともに、北米、ヨーロッパ、東アジアの多くの大学で講義をおこなう。日本政府主導で技術イノベーションによる気候変動対策を協議する「Innovation for Cool Earth Forum(ICEF)」運営委員会メンバー。おもな著書に、『エネルギーの人類史』(青土社)、『エネルギーの不都合な真実』(エクスナレッジ)。

「2021年 『Numbers Don't Lie』 で使われていた紹介文から引用しています。」

バーツラフ・シュミルの作品

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