それを読むたび思い出す

著者 :
  • 青土社
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本棚登録 : 289
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791774425

作品紹介・あらすじ

1994年生まれの気鋭の書評家による、初の自伝的エッセイ集。
昨日、明日、明後日、そして、その先もずっと――本とともに生きる。幼かったときの言葉の記憶、地元・高知との距離感、京都で過ごした青春時代、東京で働きながら文章を書く日々。同世代の誰よりもたくさん本を読むこと。書くことと誰かの孤独に寄り添うこと。全篇書き下ろし。挿絵・ながしまひろみ

感想・レビュー・書評

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  • 自分の過去を振り返って、自分が大切にしていること、自分だけのパワースポットに思いを馳せることはとても素敵なことだと思います。
    なぜなら、自分が負けそうになったり、孤独を感じたときに、そこに心が帰れば勇気を持ってリセットができるから、
    著者の三宅さんは「強い言葉」を敏感に警戒する様子。
    読んでいるとその理由も分かります。
    「人より前に出る、人より優位に立つ」ことよりも、「自分の大切にしていること、自分の言葉」を大切にしているようです。

    故郷である高知への想い、たくさん学んだ京都への想い、そして方言を含めて自分が大切にしている言葉が綴られています。
    中に書かれているように、自分がひとりだから、誰かの言葉を読むのが好きだ、その言葉を通して他者を理解したいと思う。 という一節が印象的で大好きです。
    今まで「エッセイで他人の独り言じゃん!」って思っていましたが、こうしてその言葉のひとつひとつの存在を感じ、掬うことが心の励みになる。

    「言葉が好きになる、自分の生き方が好きになる、他者を認めなくなる」そんなことが拾い集められる一冊でした。

  • 副業書評家が思う「面白い文章」の要素3つ - さくマガ
    https://sakumaga.sakura.ad.jp/entry/2022/02/14/120000

    ながしまひろみ
    https://nagashimahiromi.studio.site/

    ながしまひろみ|note
    https://note.com/nagashitake/

    青土社 ||文学/小説/詩:それを読むたび思い出す
    http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3652

  • なんとなくタイトルに魅かれて。

    読んでると、そういう解釈もあるのかと光が射す感じだった。
    地方といっても、地方都市だと確かにチェーン店とかあって都会と何ら変わらない。

    地方で育っても、都会で育っても多分この方は変わらないと思う。

    今現在私も、地方で生まれ東京で育ち、今はまた地方都市に住んでて、やってる事一緒だなって。
    そんなもんかなって丁度思っていた。

    著者はまだお若いので、これからも注目してみたい。

  • みんないろんな孤独を抱えている。
    ロールパンナちゃんのような孤独をみんな抱えていて、
    それは純粋な圧倒的な孤独と言うわけではない。
    そんな自分の孤独には馴染みと実感がある。
    だけど人の孤独はわからない。
    だから知りたくなる。
    過剰で不足な言葉を使ってしかそれを表現できない。
    そんな必死になって紡いだ言葉で発されるその孤独を知ると、この世が愛おしくなる感覚はわかる。
    だから本を読みたいと思う。

  • 三宅さんのエッセイということで読んで見たけれど、うーん若さ故かまだエッセイを書くほど熟してないなと感じてしまった。
    ピアノを習っていた人がみる怖い夢の話には笑ってしまった、同じです。
    四国でもJRのことを汽車っていううんですね。

  • 四国出身で、大学は京都で、最初の就職先は東京

    同じ場所で育ち、同じ時代をいきる三宅さんの言葉はなんとも心地よくむず痒い

    同じ四国でも愛媛県八幡浜市という田舎だと、イオンはない。いや、いまはあるのかもしれないが当時はフジしかなかった

    イオンに限らず、フジも地元の本屋も横に長い
    いくらでも時間を潰せるのは地元の図書館であり、フジのマクドであり、みんないるのはジョイフルだ

    ちなみに私の生まれは福岡だ。だから地元がどこかといわれるといつも困る。。かえれる地元がある人がうらやましい

  • cakesの連載でお見かけしてから気になっていた著者の自伝的エッセイと聞いて買わずにはいられず。地元、京都、読書の3部構成。まずイオンとブックオフがでてきてやや意外の感。ローカル特有のものを押し出すことへの疑問。チェーン店でつくられる豊かな文化もある、と。「やっぱり私は、その土地特有のもの--ローカルとされるものが、どこにでもあるグローバルなものよりも豊かであるなんて、絶対思わない」/スピッツをめぐる著者と友人とのやりとり。「スーベニア」「ハヤブサ」「三日月ロック」のイラストでスピッツ聴きたくなりTSUTAYAへ走った。でも自分が個人的に一番聴いてた時期のスピッツはちょうどかぶらず「空の飛び方」「ハチミツ」「インディゴ地平線」「フェイクファー」の頃だったと思い返した。/大学院の先生方の、まずは10キロ走ろう、ではなく、1000キロを走ってあたりまえという指導が可能性をのばしてくれた、というのが印象に。/山本直樹「レッド」の感想、穂村弘の「終バスにふたりは眠る…」の捉え方の違いなどは興味深かった。この歌にからめて紹介された、穂村弘の短歌をベースにしたという彬聖子「こいのうた」は買っちゃいました。届くの楽しみ。/と、著者のいまに至るまでの思いにふれられ、著者自身が自らのこれまでのことを思い出すのを目の当たりにし、読む側も、自分の聴いてた音楽、読んだ本が思い出される善きエッセイでした。おかげさまで、穂村弘の短歌三首を題材にした彬聖子「こいのうた」も買いました。

  • 読んだあとに頭がグルグル回って止まらないのは、この本を読むことで記憶が溢れ出てきたからか。生まれた場所も、生い立ちも違うのに。

    解像度高くオルタナティブ自分を夢想できたり、読んだ後ずっとその本に引きずられる感覚を抱く本が好きなので、ドンピシャに良いエッセイだった。

    「誰かの地元の話を聞くのが好きだ」と、書いてくれているから、じゃあ自分も、と心置きなく振り返れるのかもしれない。ていうかそう、やっぱり聞きたいし話したいんだよね、忘れかけてたけど。

    ラスト2篇「本という他者」「ロールパンナちゃんの孤独」で、本を通じて自分の気持ちを言葉にできるようになってく素晴らしさをこれ以上なく言葉にしていて、もう首を縦に振りまくり。

    「必要のないありあまる余白を持て余す」贅沢な時間の真っ只中に読んだこの本を、いつか読み返すとき、何を思い出すのだろう。

  • 同年代でニコラの話とかうわーってなった。春の歌のエッセイが漫画みたいで印象的でよかった〜鴨川のハーゲンダッツのエピソードも青春でよかった〜

  • なんだかカチッとしたエッセイだなあと思うけど。言葉が綺麗で上手だなあ〜。特に京都での大学生活、めちゃくちゃ楽しそうで何より。まさに青春じゃん。羨ましい。ラストのロールパンナちゃんの孤独の話は沁みた。ロールパンナちゃんてなかなか子ども向け番組のキャラじゃねーなー、と。

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著者プロフィール

1994年生まれ。高知県出身。
京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。大学院時代の専門は萬葉集。大学院在学中に書籍執筆を開始。現在は東京で会社員の傍ら、作家・書評家として活動中。
著書に『人生を狂わす名著50』(ライツ社)、『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』(サンクチュアリ出版)、『副作用あります!? 人生おたすけ処方本』(幻冬舎)、『妄想とツッコミでよむ万葉集』(大和書房)、『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』(笠間書院)。ウェブメディアなどへの出演・連載多数。

「2021年 『女の子の謎を解く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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