人類の足跡10万年全史

  • 草思社
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本棚登録 : 230
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794216250

作品紹介・あらすじ

現生人類はアフリカで生まれた。一度は絶滅しかかったわれわれの祖先は、やがてアフリカを旅立つ。だがその旅立ちはたった一度しか成功しなかったという。なぜか?そしてアジアへ、オーストラリアへ、ヨーロッパへ、アメリカへ。人類は驚くべき速度で世界各地へ拡がっていった。気候の激変、火山の大噴火、海水面の大変動、さまざまな危機を乗り越えて-一体いかにして、どの道を通って、われわれは今ここにいるのか?その足跡はいかなる形でわれわれに受け継がれているのか?遺伝子に刻まれた人類の壮大な歴史を読み解き、化石記録と気候学からその足どりを追う!人類史の常識を覆す画期的な書。

感想・レビュー・書評

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  • 本著はゲノムという新しいツールにより、人類のルーツを探る壮大なドラマであり、研究成果である。今や定説となっている出アフリカの歴史、ミトコンドリアイヴが正しい事を解説する。人類発祥からの樹形図が整理される。自分はその末端の突起にある、微生物よりも小さな存在であり、しかし、きちんと人類を受け継いだ事を理解する。

    母親からのみ受け継がれるミトコンドリアDNA、父親から受け継がれるY染色体。これらが謎解きの鍵だ。現生人類の遺伝子を解明し、見えてきたものとは。ジャレドダイヤモンドは発展と世界の力に不平等が生じるのは、集団ごとに人が生来持っている知性に差があるためではなく、機会が訪れるのが歴史的偶然に任されていたためだと説明した。著者スティーブン・オッペンハイマーは、何を主張するのか。

    僅かな遺伝子の変異を追跡して人類の移動過程の北ルート説を支える背景にヨーロッパ中心主義があることを批判する。進化的多様性の重要性から、台湾人の医師に、トラと実験用マウスの生命の重みの違いを説明する。しかし、結局の所、ルーツの解明が明らかにしたのは、人類の遺伝的多様性が低いという事だ。

    人類の脳は、移動を開始する10万年以上前に成長を終えた。進化への見返りがないのだという。その代わり、文化が多様化する事で文明が進化してきた。これも、利便性の飽和度合いと実現するための富の平均化により、現代では画一的になりつつあるのではないか。人類自身も、付託された文化自体も多様性を失う。やがて、思考も同一GPTが担い、労働も標準化され、生活はデジタルの枠組みに格納され遺伝子グループに最適なリコメンドが与えられる。ルッキズムも外観を非差別化し、肉体の差は身体拡張機能が補う。

    我々の足跡は、一体、どこに向かうのか。多様性が無いのなら、有性生殖にも個々の生存価値にも、どんな意味を見出すべきなのか。

  • ふむ

  • OS7a

  • 人類の足跡10万年全史
    (和書)2011年01月07日 16:10
    2007 草思社 スティーヴン オッペンハイマー, 仲村 明子


    柄谷行人さんの書評から読んでみました。

    とても参考になりました。

    西欧中心主義や人種差別の根拠の否定は痛快だった。

    ただ書評にあったほとんど同じ資料からの全く反対の見方が存在するということにも驚く。

    関連作を何冊か読んで比較してみたいです。

  • ミトコンドリア・イブから、人類がどのように移動していき、どのように世界に広まったか…という壮大な人類の歴史書である。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「壮大な人類の歴史書である」
      コノ手の本に弱くて、でも文庫化されないかと待っている。ブライアン・サイクスや中尾佐助を読むと、ご先祖様有難うっ...
      「壮大な人類の歴史書である」
      コノ手の本に弱くて、でも文庫化されないかと待っている。ブライアン・サイクスや中尾佐助を読むと、ご先祖様有難うって気になります。
      2012/04/10
  • 700万年前にアフリカで生まれた人類は、その後何度かの出アフリカを経験し、各地に拡散し、現在に至った。もちろん、このことは、北京原人が現在の中国人、ジャワ原人が現在のジャワ人、ネアンデルタールが現在のヨーロッパ人と言うことではない。では、現在の人類とは、どのような経緯で世界に拡散し現在に至ったのか?この疑問に迫るのが本書の役割である。 世界各地に住む現代人のミトコンドリアDNA(100%母系遺伝するので、母系の変遷が追跡できる)やY遺伝子(100%父系遺伝するので、父系の変遷が追跡できる)の変異、地質学(氷河期や、間氷河期などで海面位置が変わることなど)、古跡、発掘学などの知識を駆使し、現代人の出アフリカは一度のみ発生し、場所は紅海の出口であり、その後、彼らの一部は海伝いにインド、インドシナ、オーストラリアと拡散していったことなどを明らかにする。 考古学は、発掘が中心だと思っていたが、前記したように遺伝学、発掘学、地質学の統合科学に進化していたことに驚かされる。

  • 資料番号:011003142
    請求記号:469オ

  • ネアンデルタール人の名誉回復が面白かった。

  • 本書の内容自体はまだ研究中であるし、サンプル数も少ないので鵜呑みにする事は出来ませんが、長いスパンの人類の移動の歴史として本書の内容は刺激的です
    2013現在にアップデートされた結果も見てみたい良書

  • この5,6年で読んだとても刺激的な本の最高峰。「ミトコンドリア・イブ」から枝分かれしてきたホモ・サピーエンス・・・

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