若い読者のための第三のチンパンジー (草思社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794222800

感想・レビュー・書評

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  • 人とチンパンジーは遺伝子的にはほとんど同じだが、明らかに異なる
    この違いは何なのか?多様な視点から考察している本。
    芸術、人種の色違い、薬物などをなぜ自分から摂るのか、など。
    銃・病原菌・鉄などの内容も含まれていて読みやすい内容でした。

  • 6万年前地球に悪魔が誕生した

  • 人類の歴史を書いた本です。
    色々なテーマについて書いてあるのですが、私が一番面白かったのは、人とチンパンジーは遺伝子は1.6%しか違わないのに、なぜ人類が他の動物を圧倒して、繁栄したかと言うことです。
    それは、色々な道具をつくり出す創造性だと考えられていますが、現代人と同じホモサピエンスの一種で主に欧州と中東にいたネアンデルタール人は、登場してから何万年もの間、同じ原始的な石器を使い続けました。そこにクロマニョン人が現れて、短い期間で淘汰されれしまいました。一番の違いは、クロマニョン人は道具を次から次へと改良していったそうです。
    クロマニョン人もネアンデルタール人も同じホモサピエンスで交配も可能でした。脳の容積もネアンデルタール人が大きかったようです。
    クロマニョン人が、なぜ圧倒的な創造性をもつようになったか?
    それは、突然異変で、複雑な発音ができる声帯を持ったからだと考えられています。
    ネアンデルタール人も、二語文は話せたと考えられています(飼育チンパンジーも二語文は理解できる)が、声帯の発達で複雑な状況を伝えたり出来るようになった為に、色々な工夫が伝えられるようになり、人類の創造性が花開いたと考えられているそうです。
    人とのコミュニケーション力が、人類の繁栄の要だそうです。

  • 人間とは何か?ということを様々な学問の観点から探究する内容で、しかもそれを専門性のない人が読めるように記されている点が素晴らしいと感じた。

  • ジャレドの著作の中でも特に人間の自然生物学的分析に特化した本。言語の発達が人間を人間足らしめている、ということが納得感を持って描かれて新鮮だった。

  • 「人間とは何か」を科学的・俯瞰的に考察した本。
    語り口も分かりやすく、例え話も多く、腹落ちしやすい。何より知的好奇心がくすぐられる。
    「人間」だけがなぜ文明を築き、繁栄を極めてきたのか。繁栄の影で失われたものは。
    「人間」だけを特別視せず、何が人間を人間たらしめているか、見つめ直す。

    チンパンジーと人間の遺伝子は、98.4%が同じ。1.6%の違いがもたらしたものは壮大だった。

  • P.54 「とどのつまり、ネアンデルタール人には、人間にとってもっとも重要な資質である「革新性(イノベーション)」、すなわち新たなものを生み出す能力が備わっていなかったようである」

    ハッとさせられる。技術こそが人類の生活を変えてきたものであり、新しい技術を生み出せなければ、私たちは滅んでしまったネアンデルタール人と同じだ(滅びゆくのだ)。

    700万年前にチンパンジーと袂を分かった人類の祖先は、最終氷河期の6万年前に突如針、釣り針、臼と杵、返しのついたモリ、弓矢などのテクノロジーを持ったクロマニョン人に至る。
    これらのテクノロジーのおかげで、オーストラリア、北ロシア、シベリアに進出。ヨーロッパで遠距離の交易も始まる。装飾品を用い、芸術と美のセンスを持ち合わせていた。楽器を奏で、音楽があった。
    クロマニョン人はアフリカや中東からヨーロッパに侵入し、技術で劣るネアンデルタール人を絶滅にいたらしめた。
    言葉がこの人類の大躍進を可能にした。咽頭の筋肉が可能にしたらしい。

    ジャレド・ダイヤモンド『第三のチンパンジー』
    とても学ぶことが多かった。

    • 北アメリカに人類が到達した当初、マンモスやウマ、ラクダ、地上性のナマケモノ等、多くの大型哺乳類種に溢れていたが、人類が到達した後80〜90%が絶滅に追い込んでしまったこと。家畜化できる可能性があった動物もいただろう。、ユーラシア大陸でウマを家畜化し、戦車として用いたスペインの探検隊により、南北アメリカ大陸の人々は蹂躙され虐殺された。
    • 地理的条件により、人類の繁栄は大幅に決定づけられるということ。具体的には、栽培できる植物、家畜化できる動物の分布により大きく影響されたこと。そして気候によって生息環境が制限されるが、ユーラシア大陸は東西の軸に伸びており拡散が容易だったのに対し、アメリカ大陸は南北の軸に伸びており拡散が容易でなかった。さらに、ユーラシア大陸の中東で農業が始まったのは、小麦等のもともと生産性の高い穀物が自生していたおかげであり、対してアメリカ大陸には生産性の高い自生穀物がなく、あったのは当時生産性の低いトウモロコシであった。
    • 古代文明が築いた多くの大都市が、人間自身が起こした木材伐採、過剰農業による環境破壊が、森林壊滅による砂漠化、土地の栄養不良、土壌流出による灌漑不可能化を引き起こし、最終的に放棄せざるを得ない運命となったことが実例をもとに記されており、驚異と脅威を感じた。ニューメキシコ州チャコキャニオンのプエブロ・ボニート遺跡、ヨルダンのペトラ遺跡、イースター島、ヘンダーソン島等の太平洋の島々
    • 私たちが数種の動物を絶滅させたことにより、動植物の有り様が根底から変わってしまうことがあるということ。
    • マレーシアでは数十年の間に淡水魚の半数が絶滅したということ。
    • ジェノサイドは人類の歴史のどの時代にも見られ、類人猿のコモンチンパンジーと共通の人類の特性のひとつであること。
    • 狩猟採取民は農民よりもずっと健康だったこと、より平等な社会で、余暇のある生活を送れていたこと。
    • 農業の発展により、階層、中央集権社会も発展してきたこと。農業により戦闘にのみ特化した軍隊が生まれたこと。

  • 著者の他の本と重なる部分はあるが、一冊で様々な側面をさらっと味わえてお得。人間を知る旅へと引き込まれる。高校生くらいの時にこんな本に出会いたかった。

  • あの名著「銃・病原菌・鉄」の作者です。
    彼の基本理念は人類は皆等しく同じ能力を持っている。
    決して西洋人だけが偉いのではない。
    たまたま地理的、経済的な諸条件で偶発的に西洋人がのし上がった。
    発展途上国の人々が経済的、政治的、宗教的な制約がなくなれば
    今の所謂文明人の勝るとも劣らない活躍をするだろう。
    文明の進歩とは何か?それを考えさせる一冊だと思います。

著者プロフィール

1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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