- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794222923
作品紹介・あらすじ
ヒトラーの野望の軌跡を臨場感あふれる筆致で描いた傑作評伝。独自のヒトラー解釈で話題を呼んだハイネ賞受賞の名著が、新訳でさらに読みやすくなって登場。
感想・レビュー・書評
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2022年6月号
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アドルフ・ヒトラーは一体、どんな人間だったのか。生い立ち、政治的成功、そして戦争、ユダヤ人虐殺。その軌跡をたどり、背後にある世界観を描き出す。
1 章 遍歴
2 章 実績
3 章 成功
4 章 誤謬
5 章 失敗
6 章 犯罪
7 章 背信 -
ドイツから亡命した同時代のジャーナリストによる評伝。
「長いあいだ希望のない無能な人生を送ってきた男が、やおら天才政治家として一国を支配し、そのあとふたたび希望のない無能者として生涯を終える。同じひとりの人間にこんあことがありうるのだろうか」
著者が漏らすこのような驚きが、読後の感想と一致する。
ヒトラーにとっての政治は、通常の為政者たちにとっての政治とは根本的に全くの別もので、彼個人の思想を体現するための道具に過ぎなかったようだ。彼の決断は、憲法をはじめとした国家機能の破壊、後継者の不在、勝ち目のない宣戦布告など、彼自身が亡き後を考慮していたとは考えられないものばかりである。そして、その最後においてドイツ国民が殲滅されることを望む姿からは、彼にとっての政治活動が、あくまで彼個人のためでしかなかったことは明白である。
本書を読むと、人生の前半を生活無能者として過ごし、親しい人間を持たず、一個人としては異常なまでに無味乾燥な人生を送ったヒトラーにとって、政治というよりその人生は早い段階から、イチかバチかの破れかぶれだったように見受けられる。そのようなヒトラーが指揮したナチス・ドイツにおいては、「その過程のどこかで正しい判断がなされていれば」といった歴史のIFは想定しづらい。ヒトラーの選択は一般的には歪なものが多々含まれていたとしても、彼の行動原理としては整合性が取れていたはずだ。通読して、政治家というよりはカルト教団の教祖の生きざまを見たかのような思いである。 -
勉強になった。単に善だ悪だの二元論にとどまらず、冷静に歴史の流れの中でヒトラーがどんな存在で、何に影響を及ぼしたのかが、述べられている。そして、事実を書いてあるのだけれど、なぜか読みやすかった。
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何でしょうね。
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まだまだ理解ができない。
このような人物が国のトップに立つ事ができるのか。敗戦を覚悟してなお、戦争を続けたのはもう一つの目的を達成させる為、、、。 -
著者は、ナチス政権下にロンドンへ亡命したドイツ人ジャ-ナリストである。〝ヒトラ-とは何者か〟を自問自答した本書は、1978年にドイツ本国で出版された。学歴・職歴もない孤独な放浪者だったアドルフ・ヒトラーが、ドイツ国民を扇動し奮い立たせ、奇跡的な経済復興を成し遂げた功労者となった。この時点でヒトラ-が急逝していたら、戦争犯罪の極悪人とならずに終わったろう。1945年5月、総統地下壕に追い詰められたヒトラ-は、裏切りのドイツ国民と自らを共に滅ぼしさることだった。
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30歳まで無職で職歴なし、友情や愛情とは一切無縁、ユダヤ人を基地外なほどに嫌悪、一切反省しない、すべての行動がひらめきと直観で一切思考しない...etc、恐ろしいのはこんな1人の人物が人間をコントロールし何百万もの虐殺を引き起こしたという事実、そして多くの人間がコイツを支持していた事実だと思う。人間の動物的な臆病さと脆さ、人間に生まれたからにはそれに絶対に屈したくないと思った!