運動しても痩せないのはなぜか: 代謝の最新科学が示す「それでも運動すべき理由」
- 草思社 (2022年10月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (385ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794226020
感想・レビュー・書評
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Twitterで見かけて面白そうだったので読んでみた。
タイトルはダイエット本みたいだけど、代謝について科学的にしっかり説明されていて読み応えがある。
それでいて読みやすいのでスイスイ読み進められた。
タンザニアに住む現代の狩猟採集民族であるハッザ族やオランウータンなどの類人猿の研究を通して発見した代謝に関する新しい知識を知ることができる。
・運動しても痩せない理由
たくさん運動しているハッザ族も先進国の人も1日の消費カロリーは同じくらい
運動によりカロリー消費が増える→他のカロリー消費が減る
他のカロリー消費=生殖、成長、炎症
現代人は摂りすぎたカロリーを炎症で消費している
運動は減量効果はないけど健康にはいい、増量を防げる
・減量方法
痩せるためには摂取カロリーを減らす
人間は本来、必要なカロリーを摂取すると満腹感を感じて食べるのをやめる
現代の食品は糖質、脂質、塩分が多く美味しすぎて食べすぎてしまう
加工されてない食品や、満腹感を得やすい食物繊維やタンパク質を多く含むものを摂る
野菜、果物、ナッツなどがいい
人間の活動で最もカロリーを消費するのは妊娠
9ヶ月間3000キロカロリー消費し続ける
ツールドフランスなどの過酷なスポーツよりも多い
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当たり前に思っていたカロリー摂取と消費の最新情報を理解するのに、ケーススタディや図解でわかりやすく理解できる本。
人体の構造上、摂取する栄養素やカロリーが体を動かすガソリンの役割を果たし、カロリーが枯渇すると蓄えられた脂肪やグリコーゲンを分解して、身体が動くガソリンに変わるのは周知の事実であるが、カロリーを代謝するのに、「制限的日次カロリー消費量」は人体の限界値を超えないために工夫された生存能力を効率的に運用するための考え方。スポーツで限界値を超えることを求め続けたときに、何も考えられないようになるのは、脳を最低限のカロリー消費にしていたんだなと思うと、この考え方は腑に落ちた。
カロリーと向き合う上で、そもそも論でこうした考え方は理解しておくと面白い。 -
生命とは、究極には、太陽のエネルギーから生み出され、太陽のエネルギーによって維持される。
その過程が代謝であって、代謝量は、一定である。ので、さまざまな生命活動は、その範囲内でのオフトレードとなる。
脳の発達を促す時期には体の発育が制限されるし、免疫にエネルギーを大量に使う地域でも同じ。
運動してカロリーを消費しても、他の代謝を必要とする活動が制限され、全体ではかわらない。ゆえに、運動しても痩せない。
うーん。面白い。
机上の空論ではなく、「未開」の生活でのフィールドワークも広範囲に検証した結果だそうだ。
類人猿は代謝スピードを下げる戦略をとって来たが、ヒトはその中でも代謝を上げることとなった。
ヒトがヒトとなるための大きなポイントが食事の「分配」であり、狩猟採取が生活であったため、運動することが前提の身体となっている。
ので、全く運動しないと、肥える。ある一定以上は、同じようなんだが。
運動に使うべきエネルギーが、過剰な免疫にに回されたりする弊害もある。
また燃焼と代謝は本質的に同じ物であり、人は、「代謝」を身体の外に拡大した唯一の生物だと。
読みやすいし、いいな。 -
点検読書II この本は、あなたが期待するようなことについては、あっさりとだけ書かれている。どちらかというと人間が体内および体外のカロリー消費について、しくみや進化の仕組みを考察している方がメインだ。とはいえ、読んだ価値はあり、人間の進化や社会の分業について知見を得た。知的な満足を得た。そして、自分の現実に向き合っていくしかないことにも気がついた。
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目新しいことが書かれているのかと期待しましたが、痩せるには消費カロリー>摂取カロリー、ということを本一冊を使って説明しているだけでした。この図式が成り立てば運動していようがしていまいが関係ない、ただし運動による健康的な効果(もちろん減量以外)はあるのでやった方が良い。
研究結果を多く提示しているため、
この図式を知らない、どういう理由なのか知りたい、という人は読んでもいいかもしれません。 -
霊長類学。痩せませんが運動は必要です。しかしチンパンジーなら運動必要ありません。