あなた自身の社会: スウェーデンの中学教科書

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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794802910

作品紹介・あらすじ

本書は、13歳から年齢とともに増大する法律的権利と義務、消費者としての基礎知識、コミューンの行政と住民の役割、社会保障制度とその内容が、豊富で生き生きとしたエピソードを通して平明に解説されています。またそれだけでなく、いじめ、恋愛、セックス、結婚と離婚という人間関係についても取り上げています。そして、暴力と犯罪、アルコールと麻薬、男女間の不平等、社会的弱者や経済的・社会的に恵まれない家庭の存在など、いわば社会の負の面も隠すことなく紹介しています。

感想・レビュー・書評

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  • たまたまTwitterで見かけて買ってみたけどすごく面白かった。スウェーデンの中学生が使う社会の教科書なので当たり前だけどわかりやすいし、かといって子ども向けというほど簡単でもない、失業者、生活保護、犯罪などに関する現実的な話もたくさん出てきて、まさに「自分たちの社会」のこと、その中で起きていることについて自分ごととして捉えられるような記述の仕方が印象的だった。あとは、項目ごとについている課題も、日本の大学生でもちゃんと議論できるか?というレベルのものもある。脱税、殺人、公害、強姦、放火…のうち、罪が重い順に並べなさい、とか。こうやって自分の頭で考えたり、人と意見を交わしたりする訓練をずっと受けてるんだなぁと。スウェーデンの場合は社会を自分ごとと捉えてもらつことで、高額な税負担への不満を解消したいという狙いもあるのだろうけど。それにしても、自分自身の社会への理解についても、良い学びになる本だった。

  • スウェーデン人は、社会参加に熱心なんだな、ということが伺えました。道徳の教材なんかにいいかも。

  • 一昔前の、スウェーデンの普通の中学教科書(日本で言えば「政治経済」や「倫理」的内容)の翻訳です。シンプルながらも、要所要所で読み手をエンパワーメントするような作りになっていて、普通に読み物としても面白いです。

    皇太子さまが誕生日で朗読されて有名になったドロシー・ロー・ノルトの詩『子ども』が収録されているところもビバです。

  • 皇太子様で話題になった本。
    「可愛がられ抱きしめられた子どもは世界中の愛情を感じ取ることを覚える」ちょっと考えれば当たり前のことなのに、現代の大人が忘れかけてた子どもに対する本当の愛情を思い出させてくれます。

  • 出口治明さんの「本の使い方」で紹介されていたため、古本屋から入手。手にとりまっさきに開いたページは、「子ども」の詩の部分。

    本書はスウェーデンの中学生に社会とは何かを教える教科書ということだが、社会を構成する、自分自身、自分と他者の関係、人間の心理、取り巻く法制度、性やドラッグに至るまで、ともすると親と子供が真正面から向き合いにくいトピックスを、読者自身に考えさせる形でまとめられた本。多くのレビューが語るように、大人も読むべき。

    ****
    子ども
    ドロシー・ロー・ノルト

    批判ばかりされた子どもは 非難することをおぼえる
    殴られて大きくなった子どもは 力にたよることをおぼえる
    笑いものにされた子どもは ものを言わずにいることをおぼえる
    皮肉にさらされた子どもは 鈍い良心のもちぬしとなる

    しかし、激励をうけた子どもは 自信をおぼえる
    寛容にであった子どもは 忍耐をおぼえる
    賞賛をうけた子どもは 評価することをおぼえる
    フェアプレーを経験した子どもは 公正をおぼえる
    友情を知る子どもは 親切をおぼえる
    安心を経験した子どもは 信頼をおぼえる
    可愛がられ抱きしめられた子どもは 世界中の愛情を感じ取ることをおぼえる

  • 少し内容が古いのですが、スウェーデンにおける社会の仕組みについて簡潔にまとめられていました。中学生あたりが読むには、最もふさわしいと思います。日本にもこういう教科書があればなあと思いました。

  • スウェーデンの道徳の教科書。
    社会・道徳と向き合える

  • この翻訳の元になった教科書は、1991年に出版されたものなので、同性愛などの多様性に関する見解では、相応に内容が古いところもある。でも、90年代初頭に同性愛に関するポジティブで正確な知識を、きちんと子どもたちに伝えようとしているのは素晴らしいし、やっぱり進んでるなと思う。

    平易な表現で、社会の基本的な仕組みについてを大まかにでもきちんと伝えている。外国の教科書って面白いな。

  • 再読。スウェーデンの社会の教科書(1991)を訳したもの。1991年とは思えないほど多様性と、現実社会のリアリティを子供達に認識させるコンテンツの数々に驚きました。今の教科書が見てみたい。法律と権利や、育った環境の不平等を示しつつその保障や可能性を示す具体的な方法、人間関係を権威と民主的な関係とを比較して示したもの、男女のジェンダーギャップ、LGBT、経済格差、障害などなど、本当に内容が豊富でした。社会保障や若者が出来ることなども詳しく書いてあり、いい教科書だなぁと思いました。

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