やさしいフォ-カシング: 自分でできるこころの処方

  • コスモス・ライブラリー
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784795223745

作品紹介・あらすじ

フォーカシングそれはカール・ロジャーズの流れに立ち、うまくいったカウンセリングのエッセンスを集約した方法。心でも身体でもない"あいまいな実感"を手がかりに、こころのメッセージを聴いていく静かで穏やかなセルフヘルプ法あらゆる癒しの基本的技能。

感想・レビュー・書評

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  • フォーカシングとは、「からだを使って、自分の気づきを促し、こころを癒していく」現 代心理療法のエッセンスを凝縮した方法だという。 ジェンドリンが、カウンセリングの成功例を研究しているときに、成功事例にはクライエントの側にある共通の特徴があることを発見した。それはクライエントが、面接のどこかで 「話し方がゆっくりになって、言葉の歯切れが悪くなり、その時に感じていることを言い表す言葉を探し始め」るということ。自分の内側の「心とも身体ともつかない曖昧な漠然とした感じ」を確かめるように話していたのである。 この「内面の曖昧な感じに触れる」という内的な体験のプロセスをジェンドリンは、フォーカシングと名づけた。

    先に紹介した『さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる』の著者、トールは、 「自分 の感情を知るのが難しいなら、からだの内面にあるエネルギー場に、意識を集中させてみましょう。からだを内面から感じるのです。これで自分の感情を感じることができるはずです」 といっている。

    トールも、からだの内への気づきを重視しているのだが、フォーカシングは、それを誰もがいつでもできる取り組みやすい技法(わざ)として方法を確立した。心理療法から生まれでたこうした細やかに洗練された方法を利用しない手はない。

    「フォーカシングは、からだとの信頼関係を結んで、からだの気づきを通して、この自分 自身の豊かな部分が伝えてくれる智恵に耳を傾けられるようにしてくれます。フォーカシングは、からだが大声で叫び出す前に、ささやいているうちに、そのささやきを聴けるようにしてくれます。フォーカシングは、内なる正しさの感覚にかなうよう、人生を変えていきます。」  

    その変化は、おだやかでゆっくりしたものであるようだ。  

    ヴィパッサナー瞑想も一瞬一瞬の体内感覚への気づきを重視するが、あわせてフォーカシ ングを学ぶことは、体験を深めるのに役立つのではないかと思う。  

    自分のからだを観察して、何か感じをつかんだら、その感じをただそのままそこに置いて おく。自分で判断を下したり、自分の感情を回避したり、なぜそう感じるのかを突きとめようとしても、結局同じところにとどまるか、もっと嫌な気分になるかだろう。  

    「あなたの感情をあるがままに置いておくことができたなら、その時こそ、感じが変わる のです。変えようとすると、変わらないのです。」  

    誰がやってもそれを感じ取り、意識の光にもたらす、つまりあるがままに置いておくことができるよう、ひとつひとつステップを踏んで進んでいけるよう、工夫されている。 私も、自分ひとりでいつでもどこでもできるフォーカシングの方法を学び、深めていきたい。文章はやさしく、説明はかゆいところに手が届くような細やかさだ。

  • コーチングや心理学を学ぶなかで、「フォーカシングというのがあって、体のなかで起きていることを感じて、そこから気づきをえるもの」というくらいの理解はあったが、一応、一冊くらい読んでおくか、という感じで読んでみた。

    基本的には、読む前に理解していたイメージと大きく変わるものではないのだが、久しぶりに、「これはいいんじゃないかな?」という納得感を得た。

    テクニック的には、プロセスワークとか、コーアクティブコーチングとか、NLPとかで、使う「身体感覚」を味わうみたいなものと同じなんだけど、アプローチの仕方が、なんかとっても柔らかいというか、丁寧というか、繊細というか、やさしいという感じで、いきなり「その感覚を増幅してみましょう」みたいなところに行かないのが、なんか新鮮だった。

    比喩としては、自分という森のなかに、ちょっと臆病な小動物がいて、そこに対して、「こんにちは、ちょっと近づいてもいいかな?」みたいな感じで、身体感覚に接して行く。

    これだったら、コーチングとか、セラピーとかの流派に限らず、基礎的なスキル、基盤として、必要だな、と思った。

    最近の自分のテーマは、自分のなかにいる、複数の自分、そのなかにはネガティブだったり、すごく小心であったりする自分をいかに否定したり、無視したりするのではなく、自分のなかで、良い関係性をつくるということ。

    この本を読んで、そうか、自分のなかのたくさんの自分たちを相手に、コーチングしたり、ファシリテーションすればいいのか、と今さらながら、気づく。

    そして、その基本は、傾聴、ともにいることだよな、と妙に納得しました。

    とても分かりやすく書かれているので、どなたにも推薦できます。

  • 身体に意識を向ける

  • 身体の感覚を見方を丁寧に解説してくれている。

  • フォーカシングは感情の浄化、解放、カタルシスに使えます。

  • 自分の圧し殺した感情を巧みに拾い上げる方法が記載された本。

  • フォーカシングってカタカナのせいか、いまいち、どんなことなのか、よく分からなかったけど、この本は具体的に書いてあって、分かりやすかった!
    読みながら、インナーチャイルドワークもフォーカシングなんだ、と思ったら、後半、そのように書いてあって、やっぱりね!と嬉しくなったり。
    よし、フォーカシングやってみるぞ!と思うと、どうしたらいいか、とっかかりがなくて分からなくなってしまうけれど、この本を読んでいたら、いつも自分で何となくやっていることがフォーカシングに近いのかも・・・と思いました。何度も読み返して、もっとよく分かりたい。

  • フォーカシングとは、「からだを使って、自己の気づきを促し、こころを癒していく」プロセスのこと。
    緊張して胸が締め付けられるような感じ、とか、息をするのが苦しいような感じ、といった「フェルトセンス(感じられた意味感覚)」について、「なくそう」とするのではなく、それに耳を傾けたり、「その感じがあなたに話しかけるようにしむける」ように、メッセージを聴いていくこと。
    本書はその具体的な手法が記された入門書。様々なパターンに対応できるようになっていて、丁寧に作られている印象。
    印象に残ったのは・・・
    「心理療法で効果がある人とない人の違いは何か」という研究において、
    セラピストの行為からは何ら有意な差は見られなかった。
    治療が成功だったクライエントと失敗だったクライエントには違いがあった。
    そしてその違いは最初の1,2回の面接でわかる。
    治療が成功したクライエントは、面接のどこかから
    話し方がゆっくりになって、言葉の歯切れが悪くなり、その時に感じていることを言い表す言葉を探し始める。
    →直接からだで感じている、漠然とした、言葉では表現しにくい身体的な気付きがあった
    逆に、うまくいかなかったクライエントは、面接の間ずっと言いよどむことなくすらすらと話している。
    →「頭で考えるレベル」にとどまっている(さわ)

  •  著者自身がそもそもフォーカシングのやり方がよくわからず悩まれていたそうで、その体験があったからこそ、本書のような平易で明快な入門書が書けたのではないかと思う。
     フォーカシング関連では本書が初めてであったため、当然一度読んだだけでは理解できないものと覚悟して読んでいたが、理解できないながらも漠然としたものではあるが、「何か」得るものがあったような気がする。とかく、こういった体験的な技法について学ぶ際には、正しいやり方でできているかどうかにとらわれがちになってしまうと思う。しかし、著者の「フェルトセンスを上手に見つけるのを邪魔する一番の障害は、自分が正しいやり方をしているかどうかを疑う気持です。」というこの一文には救われた。
     また、本書を読んだことで、フォーカシングという技法について学ぶことだけではなく、他の数ある心理療法で述べられていること、つまりは、カウンセリングという場面でどのようなことが起きているのか…ということが、ほんの少しだけわかったような気がする。もちろん、実際に専門家の指導の下でフォーカシングを体験したわけではなく、本書を読みながら見よう見まねで体験してみただけなので、上述の感想は僭越なものとしか言いようがない。本書を読んだことで、他の書籍にも手を伸ばしたくなるとともに、いずれ実際に体験してみたいと思わずにいられなくなった。

  • フォーカシングは、長男の高校の相談室の先生がときどき発行する通信の中で知り、なかなか面白そうだと思って借りてみました。自分の体の声に耳を傾け、寄り添うというものですが、NLPやホ・オポノポノで言うところのインナーチャイルドに似ている感じです。なかなか興味深く、わかりやすく書いてありました。自分でもこの通りやっていけば、本当は自分の体、心はどう思っているのか、知りたくなかったことにも目を向けることができるのではないかな?と思えました。またじっくり読みたい1冊です。

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