イカと醤油

  • 宝島社
3.43
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本棚登録 : 125
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796666275

作品紹介・あらすじ

「お父さんがきれいにしてくれたんでしょ、ありがとう」「んっ、何のことだ、知らないな」父は、すっとぼけた顔をしながら空を見上げて言った。「脱皮したんだろう」「脱皮?」「この前学会で発表があった。昆虫が脱皮するように自転車も脱皮するらしい」息子は「ふーん」としか言いようがなかった。つぶやきシロー、初小説。

感想・レビュー・書評

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  • 一見ひどい虐待のような気もして寒々としながら読んでいたが、時折見せる父親の優しさやずれた価値観に気がついてからは健気すぎる息子も相まって一気読みだった。私個人的には挟まれるギャグが小気味よく、あはは、と笑ってしまうこともたびたび。
    息子を愛する父親がここまで不器用すぎるのもすごいなぁ。つぶやきシローさんの引き出しの深さにびっくり。

  • けなげな子供と取り繕う大人

    大人の子供部分と子供の大人部分が
    少しづつズレていくところが切ない。

    最後はとても泣ける

  • 内容が面白かったです。クスッと笑えたり、思わず涙が出そうなシーンがあったり、親子の仲が良くてほっこりします。

  •  だめだめな父親とけなげで純粋でかわいい息子の話。この父親がほんっとに下らない男で、たまーに愛情らしきものを見せるけど、それをなかったことにするほど最低な行動ばっかりするんです。息子が嫌いで憎くてそうしてるってわけではないことはわかるし、貧しさと今の状況のやるせなさも理解できるのですが、それでも、やっぱり、勝手すぎる!そんな父親に喜んでもらうために、どんなことも許して、受け入れる子供がかわいそうで涙が出ました。子供は親を選べない、どんな親でもやっぱり好きで、受け入れてほしいと思ってしまうものなんですね。そんな気持ちを利用して茂男の野郎・・・!
     私がまだ子供の立場だから一方にこんなにも肩入れしてしまうのでしょうかね。親になった後に読めば、また何か違う感想を持つことができるのでしょうか。こんなにいやぁな話なのにどこか楽しくすっきり読むことができたのは、ところどころに入るつぶやきと、すっとボケた文体のおかげでした。

  • 途中まではどっかで読んだことあるような父親と息子の話。親父の破天荒ぶりは普通じゃないけど。

    ところどころにつぶやきの一言ネタがねじ込まれてて最初は鬱陶しいなー。と思ったけど後半自然になってきた。(笑)

    ラスト20ページはとっても好き。

  • あるあるネタを用いた比喩など著者らしさは感じられたがかえってテンポを悪くしていたようにも思う
    ストーリーは悲壮とユーモアが混在し気に入っていたが後半が駆け足でもう少し楽しみたかった
    しかし田村守の過去を振り返る必要はあったのだろうか

  • ちょっと耐え難かった。哀しい気持ちにはなりたくない。

  •  あのつぶやきシローさんが小説家デビュー! つぶやきさんは本人が目立ちたがらないこともあって、「あの人は今」な状態になりかけていますが、相変わらずネタは面白いのです。何しろ、Twitterフォロワー数は日本人第6位とのことですからねー。

     さて本作。とんでもなく貧乏な父子の物語。不思議な世界観が広がっており、どことなく切なく、楽しく、腹立たしい。読んでいてこれほどまでに心情が揺り動かされた小説ってなかったかもしれない。それほどまでに、ありとあらゆる感情がこの一冊には詰まっていた。
     カミュの『異邦人』やカフカの『変身』などをして「不条理」と評される作品群がありますが、本書もなかなかに「不条理」。ただし、いわゆる「不条理」モノと違っているのは、全ての「不条理」が人為的なものだということ。本書で語られる「不条理」には、どこかしらに誰かしらの悪意が介在している。そんな風に仰々しく本作の内容を論じてみたところで、「人為的な『不条理』って、単なるイジワルのことじゃん!」ってツッコまれたなら、「そう、そのとおりですとも」とお受けするしかない。そう、結局はイジワルの物語なのだ。

     つぶやきさんのユニークな感性が随所に見られ、この本もまた、そんな発想ができなかった僕がただただ嫉妬する本なのであった! ただ、小説の文法とでもいうべきものから逸脱した文章が目立つため、若干の読みにくさがあったなあ。やっぱり、小説って誰にでも書けるものではないらしい。


    【目次】
    イカと醤油
     イカ
     ファミレス
     ハーゲンダッツ
     肉の吉川
     麦茶
     柿
     95
     カツ丼
     ブランコ
     ランドセル
     囚人のジレンマ
     囚人のジレンマ 2
     体育倉庫
     田村先生
     日曜日
     ミルロボ
     20年後

  • こういうの借りちゃうあたりミーハーだな、とか思いながら読み進めました。

    最後はほろっとするけど全体的にはイマイチでした。

  • 嫌な父親だけど、子供からみたら、違うんだね。
    途中これでもか!ってくらい嫌な話だけど、最後、ちょっと温かくなって良かった。

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著者プロフィール

(Shiro Tsubuyaki)1971年3月10日栃木県出身。愛知学院大学心理学科卒業。著書には、『3月生まれあるある』(さくら舎)、小説『私はいったい、何と闘っているのか』(小学館)、小説『イカと醤油』(宝島社)、『つぶやき隊』『みんなのつぶやき隊』『新しいつぶやき隊』(いずれもTOブックス)などがある。

「2022年 『こんな人いるよねぇ~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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