- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784796673617
感想・レビュー・書評
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「死因不明社会」がノンフィクション。こっちはフィクション。桜宮サーガの一部らしいが間隔を空けてるので、人間の相関関係や事案のつながりがイマイチ把握できない。
ただそれでもそれなりに楽しめ、また医療について考えさせられることもある。次作も楽しみではある。 -
田口&白鳥コンビの、霞が関の関、後編。
前作の平行線から一転、昼行燈、田口せんせの空気を読まない発言で、さざ波をおこし、フィクサー&クラッシャー彦根の登場で、一気に大論理戦が繰り広げられる。流れるような展開、反対派を批判する形で、論点を明確にする手法は見事。
どこまで現実なのかわからないけど、少なくとも、全く嘘ではないことは明らかで、これを出版した、いや、できたのはすごいことなんだろうな、とも思えるくらいの勢いで、ぶった切っている。
ただ、個人的にはやっぱり、医療現場から離れちゃったことで、若干人間味が薄れる、というか、当事者がいて、特定の事件があってそこに起こった矛盾から、医療問題を啓発する、という手法の方が、知識のない読者にとっては、身近でわかりやすく、物語としての面白さも残るなと思う。 -
フィクションと言いつつもほぼ事実に即して書かれたらしい本書。Aiが導入されたということは、既得権益に固執して現実を見ようとしない面々を押しのけられたということなんだろうか。さて現在の解剖率はどのくらいなんだろう。今作では白鳥がかすむほど彦根が大活躍。ただやはり海堂作品は連続して読むと少し食傷気味になってくる。
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私は相手を理屈でやり込める癖があるのでシリーズの展開や作中議論にも馴染むが…。やや筆者の思いの丈そのものを投影しすぎだという気もします
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シリーズのなかで1番良かった!もはやミステリではなくなったけど、そんなのどうでもいいじゃない!きっと海堂さんはこれが書きたいがために『バチスタ』を書いて、一般市民の医療問題への関心を惹こうとしたんだなーと思う。それくらい今の医療問題(司法なども含む)にグッと切り込んでる。ある意味、政府というか厚労省への挑戦ともとれるほどに。
『死因不明者会』、海堂さんの新書読んでみようかな。 -
司法と医療のせめぎ合い。更に霞ヶ関、官僚も加わり、いろいろな所と闘わなくてはならない彦根医師の苦悩が垣間見えます。後半は彦根医師の独壇場。現場を知り尽くす作者ならではの作品です。人々によってよい医療とは...考えさせられました。
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もはやミステリではないけれど、「医療エンターテインメント」と呼ばれるのがしっくりくる痛快な展開でした。
お役所の会議って本当にこんな感じなのかな?と思いつつ、
予算を付けちゃえばあとはやらざるを得ない、とか、
あえて目標達成させずにフェードアウトを狙う、とか、
企業も含め、大人の思惑が跋扈する世界にはまああることだよなーとも感じられ。
今後のシリーズがどのような道を行くのか、気になりすぎる作品でした。 -
本作では、死因究明制度に関する諸々の問題と、医学生の受け入れの変化、医師法二十一条について書かれている。一人の天才が放ち正論を、その他の馬鹿が理解できないがために黙殺されるのはあってはならないことだ。足並みをそろえることを重要視してきた日本的な思考なのだろう。
海堂さんのすごいところは、考えを言葉にできることだ。小説家というのはそれが仕事なのだろうが、海堂さんの扱うテーマからして、他の小説家より間違いなくすごい。しかも小説家は副業なわけだし。
バカな私には完全に理解できたとは言えないし、ましてやこの小説が掲げている問題点に関して言葉で説明することなど到底できないが、だからといって他人事としていい問題ではなく、死因究明に関して問題視することが重要なのだろう。
身近な人が異常な死に方をしない限り、死因究明に関することについてなど関心を示す機会はないだろう。しかし問題は大きくまた早急に対応すべきものである。
「面白い小説を書く」人がこういった問題をとりあげれば、その分野に興味のない人にも読まれ多くの人に問題提起できる。
小説は物語なのだから魅力的でカリスマ性のある人物が出てくる。今回は彦根だろう。また気になる人物として西郷や坂田局長、桧山シオンが出てくる。しかし、現実はどうなのだろう。医療問題について小説にしている人は私は海堂さんしか知らず、しかも様々な医療問題について書いているのは海堂さんひとりだ。ひとりでできることはたかが知れているし、海堂さんの専門を見る限り本作についてなのだろう。カリスマ性のある者の、有権者を論破するくだりを書き読者をカリスマ側に引き込むが、それを白鳥を使って現実に戻す。地に足がつく範囲からやっていこうという現実的な話は実際現実にも適用できるのだろう。
現代医療が小説と同様な問題を抱えているのかはわからないが、これらを問題視し且つ解決に導く努力が必要である。
それでは私にはいったい何ができるのだろうか。
起きてしまったことは仕方ないその後を考えよう、というのではなく、起こさないようにするにはどうすればいいのかという彦根の考え方はものすごく好きだ。