さよならドビュッシー (宝島社文庫) (宝島社文庫 C な 6-1)
- 宝島社 (2011年1月12日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
- / ISBN・EAN: 9784796679923
感想・レビュー・書評
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家に10年近く眠っていたこの作品。やっと読みました。
もっと早く読んでいれば良かった。
目には見えない音楽について、よくここまで文章だけで描き出せるなぁ…
途中少しくどいと感じてしまいましたが、その曲を聞いたことがないからでしょう。
個々のキャラクターが個性的で読み応えがあります。
作品自体は長編という程でもないけれど、内容はとても濃く感じました。
最後のどんでん返しには驚きましたが、
お母さんの思いや「あたし」の思い、そして未だ真実を知らない家族の思いはどうなるのか、考えると切ないです。
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最初に感じた違和感が伏線としてキレイに回収されていました。
まさにどんでん返し。
これがデビュー作とは。やられました。 -
青春音楽小説の部分とミステリー小説の部分が絶妙にストーリーに絡み合い、ドンドン先に読み進めたくなる。ピアノの演奏のシーンは本当に音楽の美しさ楽しさを教えてくれる。その音が実際に聴きたくなり、iTunesで演奏される作品を実際に検索し聴きながら読んだ。
中山七里作品を最近読みすぎているせいか、ミステリーの部分については途中で気がついてしまったが、気がつこうが気がつくまいが、青春音楽小説としてもミステリーとしても本当に素晴らしい作品だと思う。 -
祖父、そして自分と見た目そっくりの従姉妹は火事に遭う。一人生き残った少女はひどい火傷を負うが、リハビリをこなし、ピアノのコンクール優勝を目指す。祖父の莫大な遺産、少女にかかる災い、母の死、誰がどうして?
シリーズの順番を無視して読んでいるんだけどさ。演奏の描写に関しては間違いなく素晴らしい。作曲家の苦悩、岬について、少女の苦しみを織り交ぜて、あっという間に読了。少女の皮肉な結末、音楽家の人生の物語、小説の世界に入り込み今回も満足。このシリーズは読み続けていたいなあ。武器を持って世の中に立ち向かわなくちゃなあと自分自身も振り返りました。 -
NO MUSIC, NO LIFE.な私ですが、クラシックにはとんと疎いのです。
芸術鑑賞の一環でコンサートホールにも何度か強制連行されたのに、毎度即就寝。
クラシックコンサートや物理の授業や昼下がりの普通電車の座席。
思うにあの空間にはα波が出ている。
そもそも眠たがり屋なんですよ、生粋の。参観日に寝てしまい、怒髪天と化した母に罵倒されたこともしばしば。
それでもこの演奏は聴いてみたくなりました。
ブラックジャックのような天才的形成外科医の手術により、一命をとりとめた少女。
突発性難聴により、一度は法曹への転身を試みた美貌の青年ピアニスト。
ミステリ要素はこの際なくてもいいです(「このミス」大賞だけど)。ご都合主義でもかまやしません。
新条先生、岬先生、お爺ちゃんの言葉がいい。 -
ドビュッシー、ショパン、モーツァルト…。
頭の中を音符やリズムが飛び交い、躍動する音楽が目の前に広がる。
岬先生とともに全身に大火傷を負った少女が家族を失った悲しみやハンデを乗り越え、ピアノコンクールに出場するという、解説の言葉を借りればまさにスポ根小説!
しかもあっと驚きのラストに殺人ミステリーだった事を思い出した。うーん、濃い! -
このミス受賞作品。
火事で家族を失い自身も全身に大火傷を負った主人公が、リハビリを重ねながらピアニストを目指す。それだけで十分読み応えある青春小説部分とミステリ部分が見事に融合していた。
探偵役のピアノ指導に当たる岬先生も爽やかなイケメンと言うだけじゃない魅力的な人物だし、最後にどんでん返しもありの豪華さでした。
作中時々違和感を感じていた部分がまさにそのどんでん返しに関係していて、自分の嗅覚も少しは残っていたのかな(苦笑)
以前読んだ作品もだったけど、とても読みやすくエンターテインメントにも富んでいて、しかも音楽関係の知識にも裏打ちされていて、力の有る作家さんなんだなあ。他の作品を読むのが楽しみになって来た。
ただ一つ難を言うならあまりに癖が無さすぎるかも。映画化やドラマ化が目に浮かぶのが欠点と思うのは私が捻くれ者だからなのか……? -
詳細なピアノ描写は私には読むのが少し億劫になりましたが、まったく予想しなかった結末に「あぁ、これ中山七里さんの小説なんだよな」とミステリー小説であることを再認識しました。