さよならドビュッシー (宝島社文庫) (宝島社文庫 C な 6-1)

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796679923

感想・レビュー・書評

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  • 家に10年近く眠っていたこの作品。やっと読みました。
    もっと早く読んでいれば良かった。

    目には見えない音楽について、よくここまで文章だけで描き出せるなぁ…
    途中少しくどいと感じてしまいましたが、その曲を聞いたことがないからでしょう。

    個々のキャラクターが個性的で読み応えがあります。
    作品自体は長編という程でもないけれど、内容はとても濃く感じました。

    最後のどんでん返しには驚きましたが、
    お母さんの思いや「あたし」の思い、そして未だ真実を知らない家族の思いはどうなるのか、考えると切ないです。

  • 最初に感じた違和感が伏線としてキレイに回収されていました。
    まさにどんでん返し。
    これがデビュー作とは。やられました。

  • 青春音楽小説の部分とミステリー小説の部分が絶妙にストーリーに絡み合い、ドンドン先に読み進めたくなる。ピアノの演奏のシーンは本当に音楽の美しさ楽しさを教えてくれる。その音が実際に聴きたくなり、iTunesで演奏される作品を実際に検索し聴きながら読んだ。

    中山七里作品を最近読みすぎているせいか、ミステリーの部分については途中で気がついてしまったが、気がつこうが気がつくまいが、青春音楽小説としてもミステリーとしても本当に素晴らしい作品だと思う。

  • 祖父、そして自分と見た目そっくりの従姉妹は火事に遭う。一人生き残った少女はひどい火傷を負うが、リハビリをこなし、ピアノのコンクール優勝を目指す。祖父の莫大な遺産、少女にかかる災い、母の死、誰がどうして?
    シリーズの順番を無視して読んでいるんだけどさ。演奏の描写に関しては間違いなく素晴らしい。作曲家の苦悩、岬について、少女の苦しみを織り交ぜて、あっという間に読了。少女の皮肉な結末、音楽家の人生の物語、小説の世界に入り込み今回も満足。このシリーズは読み続けていたいなあ。武器を持って世の中に立ち向かわなくちゃなあと自分自身も振り返りました。

  • NO MUSIC, NO LIFE.な私ですが、クラシックにはとんと疎いのです。
    芸術鑑賞の一環でコンサートホールにも何度か強制連行されたのに、毎度即就寝。
    クラシックコンサートや物理の授業や昼下がりの普通電車の座席。
    思うにあの空間にはα波が出ている。
    そもそも眠たがり屋なんですよ、生粋の。参観日に寝てしまい、怒髪天と化した母に罵倒されたこともしばしば。

    それでもこの演奏は聴いてみたくなりました。
    ブラックジャックのような天才的形成外科医の手術により、一命をとりとめた少女。
    突発性難聴により、一度は法曹への転身を試みた美貌の青年ピアニスト。

    ミステリ要素はこの際なくてもいいです(「このミス」大賞だけど)。ご都合主義でもかまやしません。
    新条先生、岬先生、お爺ちゃんの言葉がいい。

  • ドビュッシー、ショパン、モーツァルト…。
    頭の中を音符やリズムが飛び交い、躍動する音楽が目の前に広がる。

    岬先生とともに全身に大火傷を負った少女が家族を失った悲しみやハンデを乗り越え、ピアノコンクールに出場するという、解説の言葉を借りればまさにスポ根小説!

    しかもあっと驚きのラストに殺人ミステリーだった事を思い出した。うーん、濃い!

  • ※大丈夫だとは思うけど念のためネタバレ設定。

    不慮の火災により重度の火傷を負いながらも生還したピアニストの少女。
    激痛を伴うリハビリ、世間から突きつけられる容赦の無い悪意、音楽科の学校から推薦されたコンクールに向けた血の滲むような猛特訓、莫大な遺産を巡る家庭内の諍い、家族を襲う不幸な事故、ピアノ教師や少女の迫力ある演奏シーン、ラストを飾る事件の衝撃的な真相…。
    目を離す隙が無い展開で一気に読んでしまった。

    ただ個人的には主人公の少女に向けられた社会からの負の感情が読んでいて辛いものがあった。

  • このミス受賞作品。
    火事で家族を失い自身も全身に大火傷を負った主人公が、リハビリを重ねながらピアニストを目指す。それだけで十分読み応えある青春小説部分とミステリ部分が見事に融合していた。
    探偵役のピアノ指導に当たる岬先生も爽やかなイケメンと言うだけじゃない魅力的な人物だし、最後にどんでん返しもありの豪華さでした。
    作中時々違和感を感じていた部分がまさにそのどんでん返しに関係していて、自分の嗅覚も少しは残っていたのかな(苦笑)

    以前読んだ作品もだったけど、とても読みやすくエンターテインメントにも富んでいて、しかも音楽関係の知識にも裏打ちされていて、力の有る作家さんなんだなあ。他の作品を読むのが楽しみになって来た。
    ただ一つ難を言うならあまりに癖が無さすぎるかも。映画化やドラマ化が目に浮かぶのが欠点と思うのは私が捻くれ者だからなのか……?

  • 面白かったー!
    久しぶりに途中で声をかけられてムッとしてしまった。
    火事で全身大火傷を負った少女が再びピアニストをめざす。
    最初の違和感を忘れて、彼女のピアノへの情熱と、外見に対する理不尽な扱いに胸を熱くして、最後にポンと投げられた言葉にハッと現実に戻ってきたような。
    ミステリということを忘れて読んでた。
    犯人はまあ、すぐわかっちゃうから。ミステリじゃなくても良かった?
    市原亮子のくらーいピアノ漫画をふと思い出したり。
    すっかりピアニストダマシイに呑まれてしまった。
    しばらくボーゼンとした読後。
    こういう高揚感は久しぶりだな。
    最後の演奏も祈るように読んでた。
    とにかく、前向きな姿とひたむきな姿。上に上に、前に前に。
    読んでる私も背中を押されるよう。

    「僕はこの、悪あがきってのが好きでね。あっさり諦めたり運命を儚むよりはずっと前向きだと思っている。カッコ悪かろうが未練がましかろうが、そんなの勝手に言わせておけばいいよ。」

    「人はここまで強くなれるのだ。どんなに絶望しても、どんなに心が折れても、諦めたさえしなければ灰の中から不死鳥が甦るようにまた雄々しく立ち上がることができるのだ。限られた者だけではなく、すべての生きる者の中にその力は宿っているのだ。
    そう、きっとあたしのような人間にも。」

  • 詳細なピアノ描写は私には読むのが少し億劫になりましたが、まったく予想しなかった結末に「あぁ、これ中山七里さんの小説なんだよな」とミステリー小説であることを再認識しました。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中山七里の作品

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