ある少女にまつわる殺人の告白 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796688987

作品紹介・あらすじ

第9回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞作品。
長崎県南児童相談所の所長が語る、ある少女をめぐる忌まわしい事件。10年前にいったい何が起きたのか―。小学校教師や小児科医、家族らの証言が当時の状況を明らかにしていく。さらに、その裏に隠されたショッキングな真実も浮かび上がる。関係者に話を聞いて回る男の正体が明らかになるとき、哀しくも恐ろしいラストが待ち受ける。

感想・レビュー・書評

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  • 第9回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞作品。

    佐藤青南さんの「連弾」「人格者」と読んで、この作家さんに興味が湧き、デビュー作を読んでみたいと思い、手に取った。

    10年前に起きた、児童虐待事件を、
    長崎県南児童相談所 所長・隈部と、当時をよく知る関係者へのインタビューとして、交互に展開する。

    虐待の連鎖は、止められないのか。

    最終章で、インタビューをして回った人物が判明し、そして・・。
    ゾーとさせられた。

  • このインタビュー形式で進んでいくのは、湊かなえさんの告白と同じだけど、私は気にぜずにすんなり読めました。
    亜紀ちゃんの人を上手く使う本性や、最後のイヤミス的な結末、終わらない不幸の連鎖。
    先が気になり一気に読みました。
    児童虐待のシーンは、フィクションだけど何処かでは現実の出来事だと思うと読むのが辛かった。
    そして、こんなに日本の児童福祉の現状について考えさせられるとは…

    私には娘が一人居ますので、自分自身とても考えさせられる一冊になってしまいました。
    話の仕掛けや結末等よりも、自分のしてきた子育てと呼ばれるものを思い出し、物思いに耽りました。

  • 長崎の小さな町で交通事故がきっかけで発覚した義父による虐待案件。被害児童、亜紀を救おうと動いた児相の元所長の話を軸に彼女を取り巻く当時の状況が担任教師や同級生、母親の同僚や児相職員等様々な視点で語られる。それはやがて10年前に起きた事件の真相に繋がり…。インタビュー形式を取っていて外堀から徐々に埋まっていく流れが堅実だと思っていたら最終的に浮かんだ事件の真相は斜め上でおおっとなった。虐待からの逃亡の難しさが最後のやるせなさに繋がるのも上手いが亜紀が不憫過ぎる。何処かに違う道が…ないよなぁ多分。

  • 児童相談所の所長と取材の聞き手の男のインタビュー形式の進行のもと進む物語。児童虐待がこの本のメインかな。
    この種のもの、弱い立場の者を虐待するという者に強い嫌悪感を感じる自分にとって、かなり辛い内容だった。
    希望が潰え絶望しかない毎日はさぞ地獄でしかなかっただろう。
    虐待する糞な動物(親や人間なんて現したくない)にどんな不幸が起こっても自業自得でしか感じないが。悲劇の連鎖、闇は続いていってしまうのか。
    救いがほしかった。でも、これが現実なんだろう。
    とにかく辛い物語でした。

  • 私の周りには、自立していける女性は普通にいる。ですが1人なら問題ないようでが子供がいると中々難しいようです…よ。

    家庭環境って本やドキュメントを通し、また周りで現実にあった事をして知っています。どんなに劣悪でも根気強く助け合い、本気で自立させる事を目標にしていれば大変だけど良い影響がでる。守られてるて実感があるんですよ。逆に、途中で投げ出したら…幼い頃の心の傷は深くなる。子供を守れなかった大人達は代償を因果応報で受けて、そして遺伝していく。現実だからこそこんな物語がなりな立つんです…そんな経験した子供たちは、自意識がついたら損得勘定になるの当たり前で…大人になって覆すのは至難。
    私たちもそうです。毎日悪い事が続けば損得勘定は働く…幼い時期に、もし毎日が悪い事しかなければ、歪んでいくのは当たり前だと思う。。。そんな幼き頃の体験は、大人になると思うと怖い……

  • 某児童相談所の所長と、
    その他の様々な人のモノローグのみで構成。

    何やら過去の痛ましい事件について述べているが、
    半ばまで読み進んでも、事件の全貌はおろか
    「誰が被害者なのか」すら分からない(^ ^;

    後半になって、やっと事件の概要が掴めるも、
    ちょっとしたモノローグの一言で、
    「え、それ話が違うじゃん」と不安にさせられる(^ ^;

    簡単に言ってしまうと、テーマは家庭内暴力。
    小学生の女の子が、母の内縁の夫に虐待されている。
    そのことに関しては(一応)間違いがない。

    が、この被害者の女の子も一筋縄では行かず(^ ^;
    どうやら「いじめたくなるオーラ」と
    「庇護したくなるオーラ」を同時に発生中で、
    この子の行く先々で新たなる加害者と被害者と、
    主人公を護るヒーローが生まれる。

    舞台となる長崎の方言をうまく活用して、独白のみで
    とてもふくよかな登場人物を描き出している。
    そして「巧みな」「周到な」ミスリードと相まって、
    重いテーマでありながらページを繰る手を止められない。

    いや、これがデビュー作とはクリビツテンギョー(^ ^;
    最初から最後まで「手のひらの上で踊らされた」感(^ ^;

    「消防女子」を気に入って買ってみたが、
    全くもって毛色が違う。何もかも違う(^ ^;
    この作者の懐の広さは、いったいどんだけなんだろう...

  • ”NO BOOK~"から。自分好みのインタビュー形式ってこともあってか、リーダビリティは高い。サクサク読めて気軽に楽しめる。そういう意味で評点は悪くないんだけど、内容はっていうとちょっと微妙。自分的には東野圭吾がずっと思い浮かんでいたけど、まず、既読感が終始拭いきれない。どんでん返しの謳い文句だったから、それを期待して読む訳で、とりあえずインタビュアーの正体がそれに当たるのだろうけど、逆にそうである必然性が殆ど感じられない。意外性のためだけに取って付けた感じ。最後、自分が虐待母になっているかの展開も、特に目新しいものではない。どんでん返しと聞けばとりあえず当たってきたけど、既読数が増えるにつれ、さすがにもう、ひっくり返るようなインパクトを期待するのは難しいのかもな~。

  • 児童虐待がテーマの本書は、終始一貫して被害児童の関係者へのインタビュー形式で語られる。
    様々なインタビュアーから語られる“長峰亜紀”の本当の姿とは…。
    最後の最後に判明する、真の本書タイトルの意味がコワイ。

  • 絶対に一気読みした方が面白い一品

    ちょっとずつ入れ代わり立ち代わりの証言により
    構成されたもの
    なので、この人は誰だろう、
    この人の証言は、この人の証言より前なのか後なのか
    など
    自分で予想していくのが
    大変なんだけどそれもまたおもしろかった
    頭の片隅で、そもそもこの人たちを
    取材しているあなたは一体誰???という疑問があって
    その答えもワクワクしながら読めた

    いや、ワクワクなんて不謹慎
    というくらい亜紀がかわいそう過ぎて
    でも
    亜紀の虐待や、実際の児童相談所の現場は
    実際にあることだと受け止めていかないといけないなと
    思った

    海外では、
    虐待されている子供より、虐待している親のほうが、
    手厚く、お金をかけて、そうならないようにケアしているらしく
    虐待されていた親が子供を虐待する連鎖ってあると思うので
    その場の虐待ではなく、そもそもこの連鎖を止めるという対応が大切ですよね

    おおう
    話がそれた

    楯岡絵麻シリーズが大好きすぎて
    そればっかりだったけど
    他の作品も機会があれば
    ぜひ読んでみたいです

  • 一気に読む終わった!こういう読み終わったあとの嫌な気持ちが好き。ハッピーエンドも大好きだけど、イヤミスもっと読みたいって気持ちになった。

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著者プロフィール

佐藤青南
一九七五年長崎県生まれ。「ある少女にまつわる殺人の告白」で第九回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、二〇一一年同作でデビュー。一六年に『白バイガール』で第二回神奈川本大賞を受賞。ドラマ化された「行動心理捜査官・楯岡絵麻」シリーズ、「白バイガール」シリーズ、絶対音感刑事・鳴海桜子が活躍する『連弾』『人格者』『残奏』など、著作多数。近著に『犬を盗む』『ホワイ・ダニット 行動心理捜査官・楯岡絵麻』『ストラングラー 死刑囚の逆転』がある。

「2023年 『残奏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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