世界が絶賛する「メイド・バイ・ジャパン」 (SB新書)
- SBクリエイティブ (2010年12月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797363074
感想・レビュー・書評
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「クールジャパン」を旗印としたアニメなどの日本発で世界に普及してるコンテンツを絶賛するもの。
ブランド化、ニッチでも高品質なものに一定の需要がある、というのは特に真新しい感はないが、今まで知らなかったものを知ることができた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本の技術そのものというよりは、その発想のもとになった特異性を説明してくれる本。ばかばかしいものにも熱心に取り組む姿勢が、一方ではワークライフバランスのお手本みたいな欧州に比べて仕事中毒と批判され、一方ではメイドインジャパンと絶賛され。外からの評価を気にしてしまう日本人としては大変。
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視点が面白い。
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光岡自動車目的で読んだおね。完全受注生産の車会社すごいお!
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●:引用
●この本は、これからの日本における技術って一体何だ?人と技術はどう付き合うのか?というという話を説明するものです。なかでも特に、日本風な独特の価値観や世界観に着目し、人と人工物の関係性において、私たちは今後どのように己の強みを生かした価値の出し方を探ればいいのか、という点について考えたものです。
●先代の築き上げた”モノつくり魂”とクールジャパンな世界級のカルチャー、両者が揃っている平成のこの瞬間とは、後にも先にもない今後の分水嶺となる大事な時間帯であって、実はあまり長い時間は残されていません。この貴重な時間を無為にすり潰すのではなく、両者を橋かける装置をこしらえる必要があります。クールなカルチャーを効果的にモノづくりのコンセプトに翻訳する必要があるのです。
●オヤジたちの築き上げたハイテクとはモノの機能を具体的な形にするための手段です。どう作るかというHOW論です。かたや息子たちが作りつつある嘆かわしいサブカルとは物語性、すなわちそのモノに込められる魂になりうるものです。何を作るのかというWHAT論なのです。貴族になった息子のWhatと、苦労を積んだオヤジたちの伝家の宝刀の信頼性や安全性というHowが合体したときに日本の未来は明るく見えてくることでしょう。この物語性、すなわちモノに込めうる魂の部分こそが、今後の日本製品の魅力の根源であり、長年の間憧れてきたブランドそのものです。キャラクター商品という言葉だけでは、想起するものが直訳の姿かたちだけに留まってしまいがちですが、いかに普遍的な価値に翻訳し直して、様々な商材に○○風として作り込めるかという能力、翻訳能力がボトルネックになることでしょう。
●市場が望むものとは、エンターテーメントやス宇ピチュアル、アンチエージングなどのような心の時代に進化しています。同時に先端科学技術の発展維持にかかるコスト負担が大きくなってきていて、技術そのものではなく技術が実現すべき「機能」を考えることの比重のほうが大きくなってきています。「心の時代」に「求められる機能」を考えるときに、本書で述べてきたような私たちの真の強みが発揮されると思います。
スターウォーズやワンピースのキャラクターが音声案内するカーナビはテレビショッピングで見かけるが、やはり玩具の域を出ていない。それゆえか、シリアルナンバー入りの限定品として価値を高める手法を取っている。ARもカード、ボードゲームの機能、ガシャポンフィギュアの付加価値として取り入れられているが、やはり玩具。と思っていたら開催中のシーテックでカーナビ(たぶんHUD型)機能に応用されているようだ。博物館の音声案内や観光地、名所旧跡の案内板にゆかりのキャラを登場させては。著者の主張や具体的事例は分かる。それが実現できれば、本当に素晴らしい。でも、何となく絵空事のように思えてしまう。言うは安し行うは難し。量産ベースでのソフトとハードの融合は現実的に難しいのでは。だから今でもそうした商品はニッチや少量生産なのでは。市場が育っていない。 -
日本の工業の底力についてここまでロジカルで、かつ実例と一部、定量的データで、「分かりやすく」語った本、今まで見たことが無い。自分が考える新しいアジア的イノベーションをより一層信じることができます。そのためには、ヘナチョコな、変なアイデアを、バカをやっちゃおうという、でもやるからには真剣にバカをやろうという気概、美意識をいかに世の中に出し続けられるか、結局マネジメントの問題に帰結します。その手助けになることを続けていければと思います。
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前作「オタクで女の子な国のモノづくり」から3年後に出版された、川口さんの2冊目の著作。日本の「ヘタレ」な感性を、「心の安寧」と「弱者のため」にフォーカスしたモノづくりに生かすことを提言する。こういう話を、キャプテン翼やドラゴンボールから引き出してしまう著者の展開力は凄い。21世紀に入ってから、日本のオタク系コンテンツを世界に売り込む戦略は成功しているとは言えないが、少し考え方を変えて、すでに世界中に浸透しているコンテンツ(キャプテン翼やドラゴンボールなど)の背景にある「感性」を、日本が得意だったモノづくりと結びつけて、世界から尊敬される強い産業に育てたいという著者の思いは痛いほど伝わってくる。世界の主要国が富と平和を満喫する状況が続くなら、それらの国の「ヘタレ化」はどんどん進行するはずなので、著者の思惑はかなり当たるのかもしれないし、そうあって欲しいと思う。
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痛車やツンデレを通じた愛着の話を導入に、人の精神と技術の関わりの話に。モノの擬人化、カスタマイズ、俺だけ感、弱者目線というあたりがキーワードか。
上から目線、押し付けを否定し愛着をいうのですが、しかし一周回って押し付けになっていないか、というのが読んでいる最中にずっと気になりました。押し付けられた愛着は、すぐに消費されて次のステージへ、の気がします。
徳川秀忠のように、前の世代の大変さと、後の世代のヘタレぶりがわかる世代が大事だ、という箇所には都合よく共感しました。 -
痛車に代表される「ヘタレ」文化が日本の特徴となりつつある今、この路線で世界に打って出るのはある意味正解なのかもしれない。
欧米式の強者の視線ではなく、弱者の目線のモノづくりになるのだから。 -
楽しく読めました。なかなか興味深かったです。草食系が増えるわけは納得。