日本人が知らされてこなかった「江戸」 世界が認める「徳川日本」の社会と精神 (SB新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797392722

作品紹介・あらすじ

誤解だらけの江戸。
例えば、江戸は「鎖国」していなかった!

「弱くてかわいそう」ではなかった戦国の百姓
「元和偃武」に込められた平和への想い
――江戸には確固とした時代のコンセプトがあった

徹底した幕府の森林保護
「足るを知る」精神の定着
――持続可能な社会を実現していた

列強の侵略を防いだ幕臣の外交交渉
近代を描いていた幕臣たち
――海外で評価される「徳川日本」の全容を示す

感想・レビュー・書評

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  • 日本にあったノブレスオブリージュが武士道であったのだなぁ。
    現在それがないことだけは分かる。

  • 江戸の庶民の生活が、経済、環境ともに持続的なひとつの理想的な社会を形作っていたという話かと思い読み始めたが、どちらかというと、庶民生活というより幕府や政策の話だった。
    著者は、明治は武力テロで国家転覆させられたとみている。
    明治以後の歴史を否定する文が多かった。
    当時、鎖国という言葉をつかってこなかった、参勤交代は大名の財産を減らすために行った幕府の戦略はデマ、など幕府を倒した倒幕側が幕府を陥れるために、自分の行いの正しさを主張するために行ったと主張するが、鎖国という言葉の使い方や参勤交代の幕府側の当初の目的など、どうでもよいことで、それをもって幕府が駄目だったとはならないし、被害妄想な気がしてならない……。
    江戸の人口は停滞していた、というのも、確かに人口は伸びているが、明治以後の爆発的な人口増からみれば小さいというのは変わらない事実だと思う。
    ひとつのものの見方としては興味深い文章も散見されるが、根拠がよくわからない幕府賞賛と明治維新卑劣論がベースにあってやや読みにくい。

  • この本は相当に説得力がある。
    確かに自分が小学生だった40年以上前に教わったことが絶対とは限らないのだ。
    不思議なもので、歴史は過去のことだから、「過去の事実は変わらない」と思ってしまうが、そんなことはない。
    当時の解釈だったり、その後の新事実発見などで、過去の考え方すら変わってしまう。
    むしろ中高校くらいにこういう事を教えてほしかった。
    ・参勤交代の解釈
    ・鎖国の本当の意味
    この本に書かれていることは、ものすごく説得力がある。
    それも歴史の問題だ。
    江戸徳川幕府を倒し、大政奉還する。
    と言っても、実際は長州薩摩の関ケ原以前からの因縁に、朝廷が利用されただけなのだ。
    この前提を知っていると、歴史の見え方は変わってくる。
    つまり「参勤交代」にしても「鎖国」にしても、実は明治維新後に、徳川の江戸時代を否定するために薩長が歴史を捻じ曲げたのだ。
    「あれは悪政だった。徳川の利のために行った政策だ」ということなのだ。
    本書ではそのことを延々と説く。
    しかも単なる説でなく、きちんとした論拠がある。
    (だから説得力がある)
    下記が著者の論拠だが、真実がどうなのかは本当に知りたいところだ。

    <参勤交代>
    徳川が諸大名の財政を逼迫させ、戦う意思を削ぐために導入した制度ではない。
    各大名が徳川に取り入るために、進んで江戸に詣でたことが始まり。
    大名の見栄のために、藩の財政を犠牲にしても豪華になっていった。
    幕府はむしろ「豪華にして藩の財政を圧迫するな」までのお触れを出していた。

    <鎖国>
    鎖国というお触れ(法律)は、江戸時代には出ていない。
    「鎖国」という言葉も明治以後しか使用されていない。
    そして、江戸時代も長崎出島でオランダとだけ貿易していたというのも、実は間違った解釈。
    貿易である藩だけ利益を独占しないように、幕府のコントロールできる藩(譜代大名)だけに貿易権を渡した。
    貿易権を持つ藩はロシア・中国・朝鮮・琉球とも貿易を行っていた。

    確かに説得力がある。
    歴史とは本当に面白い!!
    (2019/8/5)

  • 我々が学校で習った江戸に関する知識は明治政府によって歪められていた!というお話。
    新しい政府はそれまでの政府を否定するところから始まると言うが、戦後の教育にまでそれが影響していた。

  • 30年4月17日読了。
    江戸時代、知っているようで、知らない事が多かったと 改めて認識した。幕末期、多くの外国人が日本にやって来たが、日本国土の美しさ、人々の幸せそうな様子に感動を覚えたという書物をいくつか読んだが、それを可能にした江戸人の知恵、工夫、思想を知る事が出来た。そんな江戸人のライフスタイルを、私達も取り入れて、持続可能な世の中を造る必要を感じた。
    江戸時代の素晴らしさを、明治新政府は否定し、打ちこわし、滅亡させた。自身の政府を肯定する為、前政権徳川幕府を全否定したのだ。
    日本人でさえも知らなかった、江戸時代、江戸文化を知る事は、日本人として凄く大事な事ではないかと思った。

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著者プロフィール

原田伊織(はらだ・いおり)
作家。京都伏見生まれ。大阪外国語大学卒。2005年私小説『夏が逝く瞬間(とき)』(河出書房新社)で作家デビュー。『明治維新という過ち』(毎日ワンズ)が歴史書としては異例の大ヒット作となり、出版界に明治維新ブームの火をつけた。「明治維新三部作」として、『明治維新という過ち』『列強の侵略を防いだ幕臣たち』『虚像の西郷隆盛 虚構の明治150年』(共に講談社文庫)がある。その他の著書に『官賊に恭順せず 新撰組土方歳三という生き方』(KADOKAWA)、『明治維新 司馬史観という過ち』(悟空出版)、『消された「徳川近代」明治日本の欺瞞』(小学館)、『日本人が知らされてこなかった江戸』『知ってはいけない明治維新の真実』(共にSB新書)など。雑誌「時空旅人」に『語り継がれなかった徳川近代』を連載中。

「2021年 『昭和という過ち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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