CODE VERSION2.0

  • 翔泳社
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  • Amazon.co.jp ・本 (552ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798115009

作品紹介・あらすじ

前著『CODE』では、まだネット規制が多くの人々にとって現実味がないところで、その実現性を議論し、そのあるべき姿-民主的な価値を守るため、コードによるネット規制に不完全な部分を設けろという主張-で多くの論者を驚かせた。それから7年(原書刊行時より)-ネットをとりまく状況も変わってしまった。そしてよくも悪くも、人々もまた他人事ではいられないほど関心が高まっている。本書は、現状にあわせ、事例を一新した改訂版(Version2.0)である。

感想・レビュー・書評

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  • 憲法が保証する「規制の不完全さ」がアーキテクチャに_意図的に_コーディングされなければならない。/アイデンティティ層の導入により匿名性が失われる。/間接規制は不透明。政府は政治的コストを払わない。/憲法の前提が変われば、「翻訳」(読み替え)が必要になる。/プライバシーは損害賠償ルールではなく財産権ルールで。/「コードは法」は比喩に過ぎない。東海岸コードと西海岸コード。新シカゴ学派。/アーキテクチャと市場は事前に、法と規範は事後に規制する。

    第三部 プライバシー

    「情報銀行」はレッシグのプライバシー保護に関する「損害賠償ルールより財産権ルールを」と整合的。

    「情報銀行」でプライバシーの財産権化が進めば「売血」のように「弱者はプライバシーを売り、強者はプライバシーを保つ」というプライバシー格差が社会問題になるだろう。これ小説の設定に使えるな。

    P3PとOpenID Connectの融合みたいなのがトラストフレームワーク上に情報銀行を可能にするんだろうな。

    インターネットにアイデンティティ強化層が導入されて「匿名でアクセスする権利」がなくなるとき、分人(ディブ)の法人格を認める法が作られる。

    第四部 主権

    企業がつくるサイバースペースの「主権者」はユーザーではなく、そもそも民主主義どころか「ユーザー主権」ですらない。むしろ人権が成立する以前の中世に似ている。

    しかし、社会契約論的・一般意志的に自治の延長で「主権」を構成することもできる。それは株式会社よりもNPOなりが運営するサイバースペース・アーキテクチャにおいてありえることだが、前者においても「一般意志」を独裁者が体現すればいい。

    ライフログの位置データにもとづく滞在時間から住民税が基礎自治体に配賦される未来。

    もっと立法スピードが速ければ「コードへの法規制」が現実的にいろいろできるわけだが、次善策は業界団体の自主規制や共同規制かいな。

  • [出典]
    経営リーダーのための社会システム論
    宮台 真司, 野田 智義
    P.191 ローレンス・レッシグ 「CODE インターネットの合法・違法・プライバシ」からの発掘

  • インターネットの規制の話。現実とネットの世界との違いが生み出すいろんなことが影響してるが、容易に規制が進むというのは理解できる。それを見越して、全てを規制しないように規制が必要だと。不完全さを残すために、「自由」を守るために。矛盾してるようでも、真っ当と思える。でも、山形浩生さんの役と解説が無いとすんなり頭に入らなかったろうな。いつもの如く笑。

  • goldsmith, woo. 2006. who control the netとbencler. 2006. the wealth of networks. とzittrain. 2007の3冊を高評価
    世界は「リバータリアンの落とし穴」とジェイムズ・ボイルがよんだものに酔いしれた。それは、『どんな政府もインターネットの富なしには生き残れないけれど、でもどんな政府もインターネット上で起こることをコントロールできない、というものだ』(p4) →Shenk, David. Data smog: Surviving the information glut. HarperCollins Publishers, 1997.の174-77を参照
    サイバー空間の規制手段はコード。『サイバー空間を構成するハードウェアとソフトウェアが、どのようにして現在の形のサイバー空間を規制しているか。』(p7)
    パセティックドットセオリー(p170-177)、新シカゴ学派(p475-483)

    法と規範。『規範と法のちがいは、制裁のメカニズムと根拠だ。(p476)』。法は「これをするな、さもないと・・・」という罰則の脅しである。規範は期待されるふるまいの集合である。
    『市場は価格を通じて制約する(p476)』

    『サイバー空間はまだ市民主権に支配されてはいない(どころかそれが広く見られることさえない)。今のところ目撃する独立主権はすべて商人主権だ。そしてこれはインターネットではなおさら明確にあてはまる。(p400)』
    この商人主権の擁護論をデビット・ポストの「アナーキー・国家・インターネット」

  • インターネットを語る上で、もはや古典でありながら未だにその価値は全く色あせない名著。久しぶりに読み返したくなり再読するが、やはり面白い。

    今やクリエイティブ・コモンズの擁護者としても知られる法学者ローレンス・レッシグの代表作である本作「CODE Version2.0」は、1999年に発表された「CODE」の事例を幾つかアップデートした上で2006年に刊行されている。本書は一言で表すなら、インターネットを巡る”規制”の総体を4つのディメンジョンで示したうえで、特に「アーキテクチャ」を構築するソフトウェア、即ちコードが最も重要であることを看破した点にある。

    我々は日常的な用法として、”規制”という言葉を用いるときに、国や行政といった立法権を持つ主体が法律や省令、ガイドラインのような文書で人々の行動を特定の方向にインセンティブ付けする、という姿を想起することが多い。しかし、レッシグの”規制”の概念はもっと広範なものであり、一般的に我々がイメージする”法”以外に、”規範”、”市場”、そして”アーキテクチャ”の4点から構成される。

    例えば、かつてのNapsterのようなMP3のP2Pダウンロードに対する規制は以下のような総体として示される。

    ・法による規制:著作権法などによる罰則規定
    ・規範による規制:教育や業界団体を通じたP2PのMP3ダウンロードが不法であるというキャンペーンと世論形成
    ・市場による規制:AppleによるiTunes Music Storeのように1曲1ドルという安価な価格設定を通じた公式MP3のマーケットプレースへの誘導
    ・アーキテクチャによる規制:CCCDのようにMP3へのファイル変換を禁じる技術の導入

    そして重要なのは、
    ・この4つは独立して存在しているのではなく、相互依存性を持つ。特に法が規範・市場・アーキテクチャに働きかけることで、一見して法が強制しているようには見えないが、何らかの立法主体の思惑が実は強く反映されていることが往々にして起こり得る
    ・インターネットでは最後のアーキテクチャによる規制が最も人々の行動を束縛する。なぜならば、リアルワールドにおいては建築・デザインといった実空間の操作によってしか行えなかったアーキテクチャの変更は、インターネットにおいてはソフトウェアのコードを変更するだけの労力で実現できてしまう
    という点を鮮やかに描き出した点にある。

    1999年にレッシグが描いたこの規制の総体は、そこから20年が経過した現代において、どのような重要性と示唆をもたらすのか?例えば、それは1999年と比較して明らかに強大になりすぎた特定のプラットフォーマーの影響力をどのようにバランスさせるのか、という点で、GDPRのような法による規制以外のアプローチが有効であることを含意するだろう。それについては、またいつか。

  • wired・コンピューターとデジタルライフ・1位

    xcodeの本を検索しようとしてxを入れ忘れて、これが出てきた。
    全くの偶然だったけど、面白そう。


    mmsn01-

    【要約】


    【ノート】
    (wiredより)
    オンライン上の規制はいかにあるべきか。そこでの自由、民主性とは何かを徹底的に論じたサイバー法議論の欠くべかざる重要文献。2007年の改訂版で。

    ◆ユーザーからのコメント
    「アーキテクチャ」をキーワードに論じる各種文献もここからはじまった/IT企業の法務部員としては、1冊しかない法律書であるところのこれに投票せざるをえない/インターネットの未来が予想できるかも! オンライン上の規制はいかにあるべきか/山形浩生訳の本は、視界が変わる! だから面白い/法とアーキテクチャを並列させたのはこの本から

  • 2017/10/14 再読

  • 読み直したさ:★★★
    秩序のトリアーデに,コード・アーキテクチャという四つ目の要素を加味。全体を通して,民主主義との関係についての考察を含む。
    〈感想〉
    訳者の文体は読み進めれば慣れるし,むしろ読みやすくもある。ただ,誤植が目立つのが悲しいところ。
    全体を通して,自分の常識を揺さぶるような面白い読書体験だった。3.0はまだですか?笑

  • 第一章だけつまみ食いした感想としては、分厚いけれども意外と取っつき易い印象。ただ噂にたがわず、訳は・・・なところあり。

  •  サイバー空間というものが非常に曖昧であり、その曖昧さが実体空間の法の持つ曖昧さをも浮き彫りにした。それからどうするのか、というのがここでの議論となるのだが、コードがサイバー空間の法であり規制でもあるが規範ではないという点を理解して議論しなければならない。また、規制するのは法だけでなく市場も規制するという点も理解しておかなければならない。さらに「コードを書くのは誰か?」という問題もあって一筋縄ではいかない。そして「自由とは何か?」「民主主義とは何か?」という問題にまで発展してしまう。
     サイバー空間における法のあり方についてのかなり深い議論がなされており、また範囲も非常に広いため一読しただけではなかなか理解するのは難しい。しかし読み終わった後の名状しがたい不安感こそが筆者の求めるまず最初のものではないかとも思う。

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