経営戦略全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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感想 : 204
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799313138

感想・レビュー・書評

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  • 発展の流れが分かる。素晴らしい。文章も平易で、経済論をそれを主張した人とその人が時代に求められた背景も書かれており読みやすいです。

    ・ポジショニング派は「外部環境がダイジ。儲かる市場で儲かる立場を占めれば勝てる」と断じ、ケイパビリティ派は「内部環境がダイジ。自社の強みがあるところで戦えば勝てる」と論じました。そして互いに「相手の戦略論では企業はダメになる」という研究成果を出しています。
    →つまり、この本は経営論のジンテーゼ(二つの大きなアンチテーゼを包括する新しい考え方)の試みなのです。

    ・SWOT分析で出した機会・脅威ひとつひとつに、強み・弱みを掛け合わせるTOWS分析は、打つべき策の「案」を出せる。
    -機会と強みを組み合わせれば「積極攻勢」
    -機会と弱みを組み合わせれば「弱点強化」
    -脅威と強みを組み合わせれば「差別化」
    -脅威と弱みを組み合わせれば「防衛/撤退策」

    ・アラン・ゼーコンの「持続可能な成長の方程式」。
    式そのものは(財務論初心者には)難解でしたが、メッセージは明快でした。「事業に自信があるなら借金を増やせ!」です。

    ・マイケル・ポーターの「5力(Five Forces)フレームワーク」。
    ①競争戦略を策定する際、もっとも重要なのは企業をその環境との関係でとらえるころである。
    ②その環境として大切なのは、その企業がいる業界の定義とその構造。
    ③業界構造は自社にかかる圧力として理解でき、それには「既存競合」「買い手」「供給者」「新規参入者」「代替品」の5種類がある。
    ④その中でもっとも強い力が、決めてとなる。

    ・在庫はすべての「まずさ」を覆い隠す悪だった。

  • 経営戦略の全体像がわかる素晴らしい本。説明の仕方にほれぼれとする。
    ①今まで断片的に得てきた点の知識を、全体の中での位置づけと時代背景という縦糸・横糸で紡いだ地図の上に乗せて見せてくれる。
    ②個々の説明が明快で分かりやすい。断定的な言い方が小気味良い。
    ③話として面白く読める。人物紹介が楽しい。高校の頃、ブルーバックスを読んでて突飛な物理学者のエピソードに惹かれたのを思い出す。
    ④情報分野の説明が詳しい。(著者は、アクセンチュアにも勤めていた。)
    ⑤20世紀初頭から(多分)最先端まで把握できる。
    著者が、「バラバラだった知識が俯瞰され、統合されることの衝撃と楽しさ・・・」と書いているが、まさにそれ。
    この本に登場した人物は132名、会社は110社だそうだ。あらかじめ知ってたのは、ホーソン実験、ドラッカー、コトラー、ブルーオーシャン戦略、イノベーションのジレンマ、ベゾス、シュミットとペイジ、IDEOぐらいだった。それでも非常に楽しく読めた。

  • BCGやアクセンチュアで長く経営コンサルティングをしてきた著者が、その経験と知識からこの100年間の経営戦略の発展を物語としてまとめている。INSEADにも所属していた時期があるということで学術系の話もしっかりしている。「バラバラだった知識が俯瞰され、統合されることの衝撃と楽しさを、みなさんに伝えられたら最高です」と書かれているが、中小企業診断士の試験で勉強した断片的知識が繋がってまさに腹落ちした一冊。
    経営戦略の歴史をテイラー、メイヨー、フェイヨルを源流として語るのも本書でそう言われると納得する。現代思想の源流をニーチェ、フロイト、マルクスに求めるのとどこか似ている。人に納得させるある種の形式というのがあるのかもしれない。

    ところどころに挟まれる経営戦略の巨人たちのバーチャルな寸劇も失敗していない。

    ポーターの『競争戦略論』やバーニーの『企業戦略論』ももう一度読んでみようかなと思う。本書でスーパージェネラリストとされたミンツバーグの『戦略サファリ』もこれを読んでから読むともう少し分かるかもしれない。

    経営戦略に興味を持っている人ならぜひ読んでみてほしい本。「全史」というタイトルに負けていない。
    AmazonやGoogleなども最新の事例として位置付けれられている。

    ----
    それにしても、この表紙は戦略的にどうだったのか。

    紙の本では、紙面の下部4分の1で関連する書籍や論文、人物を紹介しているらしいが、電子書籍版ではそれがなかった。少し残念。電子書籍ならではの同じような工夫もできたのでは。まだまだ電子書籍版は少数派ということなんだろうな。

  • 分厚いけどさっさと読めます。バラバラに、いろんな本を読んでいて、モヤモヤしていた部分が、テイラーとメイヨーから始まり、B3Cフレームワークに終わる部分まで、よくこの短さでわかりやすくまとまったものだと思いました。
    著者と出版社の仕事に敬意です。
    いろいろインスパイアーされ、新たな企画が生まれそうです。

  • 非常に面白かった。
    テイラー/シュンペーター/コトラー/アンゾフ/ポーターなどなど、歴代の経営学/経済学者たちが、どういった背景で戦略コンセプトを打ち出してきたか?各コンセプトが何に対応できて、何に対応できないかが良く分かる。

    で、こうやって背景を見ると、ファイブフォース分析などのフレームワークの奥深さがよく分かる。裏には、結構しっかりした定量的な分析が必要。

    まぁ、仕方ないんだけど、曖昧な学問だなぁと思う。
    物理学とかと違って、観測が難しいし、観測する系がどんどん変化するからなぁ。

    こう見ると、割と主流になっているのは、20年くらい前のポジショングやケイパビリティに留まっている感がある。
    最先端のイノベーションとかを実務にどう取り入れるかってのは課題なのかしら。

    不確実性が高まり、かっちり計画を作るよりも、トライ・アンド・エラーが求められる、それでも経営戦略には価値がある、そう思いたいもの。トライ・アンド・エラーの確率・精度を上げるという意味で。

  • 『経営戦略全史』読了。★4.5(5点満点)
    http://www.amazon.co.jp/dp/4799313134/

    経営戦略100年の歴史が詰まった三谷さんの大作。
    400ページ超なのに読みやすいのはさすが。
    はじめは、「なぜ経営戦略なのに、全史=歴史なのか?」とよくわからなかったが、時代背景やそれまでの戦略論の流れなど、ストーリを持って読めるところがGood。
    同系統では、「戦略サファリ」よりはるかに読みやすい(^^)

    戦略論は様々あるが、どれもよいとこ、悪いとこ、条件による適用のしやすさがあるので、それを理解して適切なのを使いましょう、というのが結論か。

    さしあたって、自分の場合はやはり、「イノベーション系」をさらに攻めるかな~。

  • 経営学史の本 歴史的な内容に焦点を当てている

  • 戦略の歴史と概要を分かりやすく学べる一冊。
    マンガ版も好き。

  • <シラバス掲載参考図書一覧は、図書館HPから確認できます>https://libipu.iwate-pu.ac.jp/drupal/ja/node/190

  • ボリューム満載なので、全てを注意して読んで(聴いて)覚えようという気はさらさらなかったが、それぞれお話として分かりやすかった。

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著者プロフィール

金沢工業大学大学院 教授
1964年生まれ。87年東京大学理学部卒業。92年INSEAD卒業。経営学修士。87年ボストンコンサルティンググループ入社。96年アクセンチュア株式会社入社。アクセンチュア 戦略グループ エグゼクティブ・パートナーを経て現職。

「2023年 『マンガ ビジネスモデル全史〔新装合本版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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