- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800227423
作品紹介・あらすじ
伝説の人斬りヤクザ、金権体質に堕ちた山口組に解散迫る!田岡三代目に「原子爆弾」と呼ばれ、たった一六年で自ら堅気の道を選んだ、神戸の無茶者「殺しの次郎」の壮絶自叙伝。
感想・レビュー・書評
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破門されたり、除名されたりして、日本最大の暴力団・山口組
から離れて行った元ヤクザはたくさんいるだろう。しかし、
「今日限りで堅気になるので盃は返します」と自ら切り出した
元ヤクザってどれだけいるんだろうか。
その稀有な元ヤクザが本書の著者である。盃を受けたのは
三代目田岡組長時代。そして16年後には「堅気になるっ!」
と言って山口組から離れて行った。
それはひとえに母の愛に報いる為だった。著者が刺青を入れ
ようと、人を殺して刑務所に入ろうと、涙を流すことはあって
も見捨てることをしなかった母の為に。
元ヤクザの回想録だ。勿論、自慢話満載である。喧嘩の話なんて
お腹いっぱいになるくらい。一番強烈なのは惚れた女性に結婚を
拒まれて顔に硫酸を浴びせたエピソーゾだ。
どんなに「むちゃもん」でも、これはいか~~~んっ。女性よ、
まして顔よ。いや、相手が男性だっていかんのだけどさ。そんな
ことをした上で「外見が変わっても結婚したい」って何よ~。
そんなのまったく男らしくないわよ~。ゼィゼィ。
このエピソードだけはどうしようもなく嫌悪感が湧くのだが、
著者はヤクザじゃなければ強面だけれど面倒見のいいおっちゃん
なのだろうな。
徐々に金権体質に変わって行った山口組に対する厳しい目は、
三代目田岡組長時代に組から離れたからなのだろう。現在の
六代目司忍組長になってからの山口組への批判はかなり手厳
しい。
「原点回帰」と言いながら、やっているのは三代目の墓参りだけ。
田岡組長が唱えた「原点回帰」を目指すなら、それぞれに正業を
持たせ、上納金制度や通販も辞めるべきだと言う。
元後藤組組長・後藤忠政『憚りながら』、元盛力組組長・盛力
健児『鎮魂』(共に宝島社)と、立て続けに山口組直系組長の
回想録が出版された。本書もその流れか。3作品とも六代目
批判なんだよな。
山口組の未来は暗い?それとも、司忍組長には求心力がないって
ことなのか。そうじゃなくても暴対法や暴力団排除条例なんかで
ヤクザさんたちには生きにくい世の中になってるものね。
後藤氏・盛力氏の作品ほどの面白さはないが、ヤクザを法律で
追い詰めるなら彼らを堅気にする施設を作るべきだととの著者
の持論には賛成したいわ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「憚りながら」「鎮魂」などと同時期に出版された某組織の引退者の手記。
他の引退者と異なり、組織に属していない期間の話が多い。
消費経済への警鐘や労働者人口の3割が非正規という格差社会の問題の解説など興味深い。