蟻の菜園 ―アントガーデンー (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800244314

感想・レビュー・書評

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  • 3.5位は余裕であるな。木嶋佳苗の事件て凄く作家さんの創作意欲を刺激するのか、素材に扱われてる作品が多い気がするんだけど、これはその中でも予想外の方向に行った挙句、それなりの説得力で迫ってきた。

  • 主人公は雑誌の編集者。連続不審死事件を調べていくうちに、婚活サイトを利用した殺人容疑がかかる美人容疑者の壮絶な過去が明らかになっていく。児童虐待や子供の貧困など、児童福祉問題がテーマ。全体が重く悲しい内容で、後半は結末も予想できる流れだったが、タイトルは最後まで内容と結び付かない。それを知りたくて一気読みした。

  • ある連続結婚詐欺殺人事件をきっかけに容疑者はすぐに逮捕されたが殺人事件関与に関しては完璧なアリバイがあり、事件の真相が暗礁に乗り上げていたところ、1人の女性記者が
    容疑者の過去を炙りだした先に事件の真相にたどり着くという話でしたが、事件の背景が容疑者の壮絶な生い立ちと複雑に絡み合っていて、やるせない気持ちになりましたね!
    最後にきて本のタイトルが意味するところが分かりスッキリしました!

  • 毒親による虐待という重い現実があり、方法はともかく、その親から解放されて幸せになれたかに見えた姉妹の転落。。。
    深く深く心と体に刻まれた傷は消えない。
    哀しみの漂う作品。

  • 映像化すると、すごく良さそうな展開。
    特に最後の種明かしは映像栄えしそうな感じ。
    一気に読み進みました。

  • 最後の証人が面白かったので、同じ著者のこちらの作品をチョイス。
    最後〜と同じくらい、アントガーデンも面白かった。

    ただ、何度か途中で読むのをやめようかと思った。

    それは、この作品に出てくる婚活サイト連続不審死に関与した、円藤冬香という人の過去が可哀想という言葉では片付けられないほど、可哀想で不憫で不憫で。
    ずっと真っ暗闇の中を這いつくばって、出口の見えない泥沼の中を必死に耐えて、耐えて、耐えて。。。そんな人間の歩みを読むのが辛くて、挫折しかけた。

    やっと幸せを掴んだ時はこちらもホッとしたのだが、その後にもまた暗雲が立ち込めて最後は再び闇が訪れて。

    読了した今もなんだかやりきれない気分だし、現実世界でこういう形の事件がありそうな気がしてくる。そう思えてならないほど、個人的には衝撃作だった。

  • +++
    婚活サイトを利用した連続不審死事件に関与したとして、殺人容疑がかかる円藤冬香。しかし冬香には完璧なアリバイがあり、共犯者の影も見当たらなかった。並外れた美貌をもつ冬香の人生と犯行動機に興味を抱いた週刊誌ライターの由美は、大手メディアを向こうに回して事件を追いはじめる。数奇な運命を辿る美女の過去を追って、由美は千葉・房総から福井・東尋坊へ。大藪賞作家が満を持して放つ、驚愕と慟哭の傑作サスペンス!
    +++

    マスコミによる報道のされ方や世間の受け止め方とは別の視点で、連続不審死事件に至る真実に迫ろうとするフリーライターの由美が主人公ではあるのだが、実質的には、東尋坊で父親に虐待され続けて育った姉妹の物語である。連続殺人の容疑者である美貌の円藤冬香には完璧なアリバイがあり、殺人を証明するのは難しいのだが、つながらなかったたった一本の電話から、由美が、知り合いに紹介された事件記者・片芝の協力を仰ぎつつ、取材と想像力によって導き出した答えに驚愕する。だが、それは事件の残忍さにというよりも、姉妹の逃れられない苦悩にと言った方がいいかもしれない。ただ、幼いころのことがあるとはいえ、妹の転落ぶりがいささか安易な気がしなくもないのが多少残念でもある。彼女たちにとっては最後まで救いのない物語であり、気持ちのやり場に困る一冊でもある。

  • これまでの柚月裕子とは一味違ったミステリー小説。婚活サイト連続殺人事件の容疑者・円藤冬香の過去を週刊誌ライターの今林由美が追う。

    全編に漂う重苦しい喪失感と哀しみになかなかページが進まず、ミステリーというよりも社会問題を描いたルポルタージュを読んでいるようだった。また、現在よりも過去が第三者と当事者の二つの視点で克明に描かれており、意外なミステリーの仕掛けにも迫真性を感じた。

    佐方貞人シリーズのような安定感は無いが、著者の次なる挑戦への意欲を感じる作品。

  • フリーランスで週刊誌の記事を書いているライターの由美は、素晴らしい美貌を持ちながら婚活サイトを利用した婚活詐欺殺人を働いた冬香という女性に興味を持つ。

    羨むほどの美しさを持ちながら、なぜ、彼女は犯罪に手を染めたのか?
    彼女の過去を追ううちに、痛ましく壮絶な過去が浮かび上がってくる。

    一時期大きな話題になった結婚詐欺殺人事件をモチーフにしているようで、全く違う闇が描かれており、はっとさせられる。

  • 『共依存』の恐ろしさを改めて考えさせられた。
    こんな親のところに産まれたらほんまに大変やろな…与野井さんが居てくれたことは、お姉ちゃんにとってはかけがえ無いことやったやろうけど、もっと根本的に守ってくれる制度やらがほんまに必要やなぁと思った。
    コロナのせいで在宅が増え、家に居れない子供が増えてるというニュースも増えた。
    もっと変えていかないといけないことがいっぱいあるんやろな。

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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