【2016年・第14回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作】ブラック・ヴィーナス 投資の女神

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800250339

作品紹介・あらすじ

依頼人のもっとも大切なものを報酬に、大金をもたらす株取引の天才「黒女神」。助手を務めるのはメガバンクに失望した元銀行員。やがて二人は壮絶な経済バトルに巻き込まれていく。2016年第14回『このミステリーがすごい!』大賞大賞受賞作。株取引の天才が人の心理を読み解く、新たな経済サスペンス。

感想・レビュー・書評

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  • 黒ずくめの服に白金色の髪が揺れる。
    フィギュアのような風貌の「黒女神」。
    そんな彼女が 株取引で人や社会を動かす経済サスペンス。

    第14回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
    美術ミステリーの『神の値段』(一条さゆり)と決着がつかず、
    この作品と2作同時受賞となったそうです。

    メガバンクに就職した百瀬良太。
    地域経済を銀行の融資で活性化させたいと意欲に燃えていました。
    ところが、現実は理想とは遠く、失意のまま辞めてしまい
    県の組織の臨時職員として金融関係の相談員となります。
    そんな中、会社を経営する兄が窮地に陥り
    株取引の天才「黒女神」との面談に同席することに。

    「なんで銀行を辞めたの?」
    「雨の日に傘を貸さない人間にはなりたくなかったんです」
    「ふうん。じゃあ、あなたをもらってもいいかしら」
    これは、良太の兄が仕事の報酬について尋ねた時のやりとり。
    これ以降、良太は相談員を続けながら、黒女神の助手を務めます。

    この作品には、殺人や犯人探しという要素はありません。
    「黒女神」の正体が明らかになっていく過程がミステリー。

    物語の舞台は、石川県金沢市から東京 霞が関へと移っていきます。
    金沢の街でほっこり始まる物語は、途中で暴力団がらみになり
    やがては大物政治家へとつながり、日本産業の危機にまで発展。
    胸が熱くなる怒涛のクライマックスへと、一気にページが進みます。

    ミステリアスな黒女神と、賢いけれど押しの弱い百瀬良太。
    最高のコンビでした。

  • 投資の神様「黒女神」ということで、元証券マンの私としては多少興味深く思い読みました。ただ、株取引はあんなに簡単なものだったかなあと思われます。私が居た頃は凄く厳しい現場でしたね。今でこそ、簡単にネット取引で株を買ったり売ったりできますが・・・。さて、内容的には主人公の茜のキャラがいいですね。何者にも恐れない存在感が強烈です。また、助手の百瀬のキャラもいい。そういう意味ではアニメ化もありそうかな?別に株の知識が無くても読めますし、お勧めの経済ミステリーでしょうか・・・・。

  • 伝説の投資家ブラックビーナスこと茜と百瀬のコンビが投資の手腕で依頼人の人生を救う。
    数話の短編集の続きもので読みやすく、
    スカッとする作風が楽しかった。

  • 株取引がメインに書かれているお話だが、非常に読みやすく、主人公良太のそばで一緒にハラハラドキドキしながら黒女神の神捌きを眺めているかのような気持ちに。世の中そんなに簡単にお金増やすことができれば苦労しないと、ツッコミを入れたくもなるけれど、解りやすい悪者退治、起死回生の組み立てがクセになっていまいそうになる。ラストに向けて、伏線回収も納得できて個人的にはかなり大満足のお話。

  • 面白く読めたけど、ミステリーというジャンルではない気がする。

  • 株のトレーダーの達人という触れ込みだが、現実感がない。テレビドラマか映画で軽いものにすればヒットしそう。

    • yuusanyusannさん
      現在読んでいる途中ですが、おっしゃる通り株式トレーダー能力設定に大分無理があるのかなぁ?
      と思いながら3分の1程読み進めています。
      最後まで...
      現在読んでいる途中ですが、おっしゃる通り株式トレーダー能力設定に大分無理があるのかなぁ?
      と思いながら3分の1程読み進めています。
      最後まで読んで行けば、その設定に固守しなくてもいいのかも知れませんまね?
      2023/03/28
  • 先日今年のノーベル経済学賞はシカゴ大教授リチャード・セイラー氏がセイラーは、経済的意思決定に体系的に影響を与えるという限定合理性、社会的選好、自制心の欠如の3つの心理的特性を明らかにしたということで授賞したという記事を読んだ。社会的選考や自制心の欠如まだわかるが、限定的合理性というのがちょっとピンと来なかった。人間は認知能力に限界があるからすべての事で完全に合理的であることはできないというものらしい。

     なぜノーベル経済学賞の話に触れたかというと今日読み終わった第14回「このミステーリーがすごい!」大賞受賞作である城山真一氏の『ブラック・ヴィーナス』の主人公茜が扱うのが株で、まさに彼女は不合理きわまりない株価の動きの中で超人的な売り買いをしてお金を作り上げていくからだ。物語の中では残念ながら彼女の売り買いの超人的な成功に何らかの経済的な裏付けはなされていないのである意味妄想そのようなお話になってしまっている部分は残念で、そのでこの経済学賞で明らかにされた3つの心理的特性を読み解き結果を出して行くような話になっていればもう少し経済小説のような部分も出てきて深みが出たのではと思ったので。

     でも単純に楽しめるミステリーが読みたいという方にはおすすめだ。まず読みやすいし、キャラクター設定もすぐにドラマ化出来そうな位わかりやすいのでさくっと読めてしまう事間違いなしだ。

    そんな「雨の日に傘を差し出せる人間になりたい」という人間愛を持った主人公とそれを助ける元銀行員の公務員の爽やかなサスペンス活躍物語を読むBGMに選んだのがWyntonMarsalisの“Hot House Flowers"だ。秋の夜長にはいい音だ。https://www.youtube.com/watch?v=ro11eVXzIZI

  • 依頼人のもっとも大切なものと引き換えに大金をもたらす株取引の天才「黒女神」。倒産しかけた企業の立て直しからスキャンダラスの解決まで活躍。その背景には政界や省庁が…という初の株取引ミステリーを読みました。
    とは言っても株の知識が必要なわけでなく、エンターテイメント作品として一気に読めました。
    主人公である黒女神・仁礼茜と助手(?)の元メガバンク勤務の内閣金融局員・百瀬良太によるストーリー。

  • 株の動きは、人間の心の結晶。人間の思いが入り込むから一筋縄ではいかない。
    最初は、地方都市の小さな会社を救う普通の話から、亡くなった歌手の父親の娘を思う心温まる話へ、普通かなと思いきや一転政治絡み企業買収へと話が変わり後半大変面白く読めた。絹脇が言いたいことをズバッとかっこよく、新井はしょうもない偽善者。良太も丈夫な傘を持っている!が粋でよかった。でも果たしてこれはミステリーなのだろうか?

  • 株取引の天才的な感を持つ茜と、ブラックジャックによるところのピノコいや、男だからピノた。

    この二人が主軸となる話。

    私は、株取引はしていない。
    きっとしていたら、もっと楽しめたのかもしれない。

    単純に面白かった。この表紙にもひかれたんだけど。

    CDでいうところの、ジャケ買いだ。

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著者プロフィール

1972年、石川県生まれ。金沢大学法学部卒業。
2015年に『ブラック・ヴィーナス 投資の女神』で第14回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞。
他の著書に『仕掛ける』『看守の流儀』(以上、宝島社)、『相続レストラン』(KADOKAWA)、『ダブルバインド』(双葉社) など。

「2022年 『看守の信念』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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