谷中レトロカメラ店の謎日和 フィルム、時を止める魔法 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
3.77
  • (13)
  • (24)
  • (14)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 242
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800261533

作品紹介・あらすじ

東京・谷中で三代続く今宮写真機店には、魔鏡に消えたカメラを探す男、スパイカメラを求める女性など、クセのある客ばかりが訪れる。認知症の老人が遺した写真や、何度も壊れてしまうカメラの謎など次々に舞い込む問題を、三代目店主の今宮とアルバイトの来夏が鮮やかに解決していく。ニコンF2、ライカM3、ハンザキヤノン…魅力的なクラシックカメラの名機とともに贈るシリーズ第二弾!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「谷中レトロカメラ店の謎日和」シリーズ第二弾。
    今回も読み進める度にカメラの蘊蓄が出てきます。今宮さんの恋愛不器用さとは対照的で、恋の僅かな進展も微笑ましいです。次作も楽しみです。

  • フィルムカメラ、懐かしいよなぁ。主人公たちの関係もレトロでいい。

  • 前作同様、やさしさに包まれた作品に仕上がっていると思います。ラストではまたも(こちらも前作同様)読者のミスリードを誘うストーリーが用意されていてさすがに焦りましたが…。
    今回は各章の間にショートストーリーが挟まれており(ここの登場人物も重要なのですが)小気味よいテンポで読み進めることができます。
    前作から通して読んでみて、なんとなくこれはビブリア古書堂のカメラ屋さん版といえる作品であるなと感じました(作者がそのような意図をもっていたかどうかはわかりませんが。もちろんよい意味での評価です)。
    刊行からだいぶ時間が経過しているわけですが、続編はもうないのですかね? まだまだ二人の物語のつづきを読みたい、そんな気分にさせてくれる一冊でした。カメラ博物館もちょっぴり行ってみたくなりました。

  • 二人がお互いに穏やかで優しく、ゆったりのんびりしているので、作品全体もそんな和やかな雰囲気。
    事件もささやかな物で、その流れに上手くはまって人の優しさが際立ちます。
    静かな恋も可愛らしい。

  • 谷中にある古いカメラ店を舞台に、カメラに関する日常の謎を解明するミステリ。
    カメラのことがたくさん出てくるので、カメラ好きな人にはオススメの本。
    主に家族に関する話。

  • 2016/11/5読了。
    実は以前から「古書店とか珈琲店とか文系女子好みの小商いの店を書名に冠して、カバーがセピアもしくは彩度低めな色調のコミックイラストになっている、ライトそうなミステリー」が目につくようになったなと思っていたのだ。ジャンルを構成するほどではないが、しかし複数の出版社が売れ筋と認識して模倣企画を行うだけの「筋」の形は確かにある。これはいったい何なのだろう、と。
    タイトルとカバーイラストだけで当て推量すると、おそらくはその古書店や珈琲店の店主が安楽椅子探偵、店員の女の子がワトソン役、場合によってはその二人の恋模様などが描かれるといった内容ではないか。店主はいわゆる世間の価値観やライフスタイルから少しずれたところに位置する草食系かもしくはクールイケメン、京極堂をすごくいい人もしくは常識人に寄せた感じ、のバリエーションのうちに収まる細身のキャラクターに違いない。事件は殺人などではなく日常の謎か歴史ミステリーに属する類のものであろう。しかし物語の主眼は謎の解決ではなく「恋」「心温まる」「ほろ苦い」「泣ける」のいずれかの演出に置かれているのではないか。等々と勝手に推測していたのだ。
    一度きちんと読んで確かめてみなければと思って手を出した一冊を数ページで投げ出して挫折した経験がある。本書で再挑戦してみようと思ったのは、「谷中」「レトロカメラ」「カメラ店」なら僕の趣味の範囲内だからだ。
    と、こんなふうに面倒くさいことを考える中年男は明らかに本書の対象読者ではない。それを承知の上で読んでみたところ、本書の限りでは上記の推測が当たっていることを確認できた。だがそれだけではなく、これがなかなか面白かったのだ。
    どんなジャンルの小説でも、それが小説になっている以上は、現実の様相を何らかの文法に従ってデフォルメして扱うものだし、その度合いや文法はジャンルや読者層によって異なる。本書は確かに中年男向けのものではなかったが、それはまあ文法さえつかめばどうということはないので評価の対象外とすると、なかなかよくできた読み物だったと思う。
    舞台が谷中の町である必然性はなかったが、事件はカメラ(およびその趣味)がきちんと絡むものだった。
    語り方や構成もなかなか凝っている。連作短編集を一冊の本としてまとめる仕掛けが内容面できちんと施されている。冒頭の場面や、幕間の小さなコラムが最終章にきちんと絡んでくる。この最終章にはちょっと叙述トリックめいた仕掛けもあって面白い。あと、読み終わってから気付いたのだが、本書はどうやらシリーズの二作目らしく、一作目の内容を知らない僕にはそこも味付けとなって程よいミステリーだった。

  • シリーズ2作目を当然の様に読む。
    感覚的には前作とひとつなぎ。物語はゆっくりと、しかし怒濤
    の展開(^^;)に。

    今回もかなりニヤっとする名器モチーフのエピソード多々。
    ニコンF2チタン、ライカM3、プララウベルマキナ67、コンタ
    ックスIIaみたいな、“ザ・レトロカメラ”的なチョイスに加え、
    スパイ用カメラのミノックスやマジレトロなハンザキヤノンま
    で加えてくるあたり、実にマニア心をくすぐる。
    そしてメインストーリーにはならないものの、僕自身も使って
    いるローライ35やプラモデルカメラが登場。正直心が躍った。

    前作でマニア以外の反応を気にした僕だが、ここまで読むと逆
    の感情が芽生えてきた。もしかしたら、この作品を読むことで
    フィルムカメラに興味を持つ層が増えるんじゃないか? そんな
    気がしてきた。

    なぜなら、各カメラから紡ぎ出される“ミステリー”が普通に
    キラキラしているし、ゆっくりと着実に進むラブストーリー
    展開も若年層が絶大に支持しそう。つまり「読み物」として非
    常に優秀。ドラマにしてもいいかもしれない。

    コレ、シリーズ略称を付けるとしたらなんなんだろうね?
    今後絶対に必要になると思う。誰かが良い呼称を考えてくれる
    といいな・・・。とにかくこの3日間、このシリーズのおかげで
    本当に幸せでした。ありがとう!

    願わくば、次作ではぜひOLYMPUS PEN-Fを採り上げて欲しい。
    そんなエピソードが読めたら、きっと胸がいっぱいになると思
    うので。

  • 向かいの団子屋さんからご近所さんが様子を窺ってたり、おばあちゃんがお節介焼いたり、そこはかとなく昭和の香りを感じた。寅さんみたいな。

    谷中ってどんなところだろうとググって、テレビで見たことがある谷中銀座のところかーとわかって納得。
    静かな雰囲気を想像してたけど案外賑やかそうだ。

    樹脂粘土でカメラのキーホルダーを手作りするなんて器用だなと思ったが、本物を部品から組み立て直せちゃうくらいなら、お手の物だよね。


    来ちゃんはすぐわかったけど、狭山さんには気がつかなかった。
    「同じ。わたしと」で違和感は感じたのになー。
    読み返したら冒頭で来夏が写真のこと話してた。

    2年前に読んだ前作の内容もずいぶん忘れているので、3作目を読む前に読み返してみようっと。

  • 主人公二人の距離の近づき方と謎解きや出会いが、自然で優しい気持ちになる。クラシックカメラの魅力と蘊蓄にハマっている。次回作で完結らしいので、味わって読みたい。

  • 主人公の来夏と今宮さんの距離がゆっくり近付き、ほんわかします。最後の方で今宮さんの意外な過去と、来夏と今宮さんは知らずにすでに出逢っていた事が素敵でした。

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

小説家

「2022年 『お銀ちゃんの明治舶来たべもの帖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柊サナカの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×