世界ピクト図鑑 サインデザイナーが集めた世界のピクトグラム

著者 :
  • ビー・エヌ・エヌ
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本棚登録 : 199
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784802512251

作品紹介・あらすじ

世界26 か国80 都市のピクトグラム約1000点の写真を収録した図鑑。駅や空港のサインデザイナーである著者が世界で撮影したピクトグラムの写真を項目別、国別に分類し、わかりやすく解説しています。
項目別のページでは、非常口やトイレなどのアイテム別にピクトグラムを分類し、国ごとの表現の違いを一覧できます。また、国別のページでは、イタリアのスリ注意やタイの僧侶用優先席の表示など、その国らしいピクトグラムも登場。ピクトグラムを通して、世界の文化や風習の違いを垣間見ることができます。
ピクトグラムの選定にかかわる専門家がユニークで鋭い視点からピクトグラムを紹介した今までにない一冊です。


タイプ・ディレクター、小林章氏推薦
「一般の旅行者の目線と専門家の目線とをあわせ持つ本」
この本は、これまでのサイン関係の資料と違って、サインデザインの専門家でない人たちと距離がとても近いです。標識のピクトグラム化された人物を「かっこいい」とか「カワイイ」とか言っているあたりはまったく一般人の感覚ですが、実はこの著者の児山氏は JSA(日本規格協会)とISO(国際標準化機構)の委員なのです。日本の主要な空港や交通機関のサインを手がけ、海外での会議にも参加している専門家の目線からの解説もありますし、国ごとの比較ができるように膨大なサインをテーマ別に分類してあるところも親切です。
巻末のエピソードでは、海外出張の空き時間を使ってサインの収集をしようと子供のように走り回る児山さんの姿が浮かんできます。道路標識の「止まれ」文字の各国での使われ方を集めてきた私には、その気持ちがよくわかります。この本のおかげで、私はいつでも世界旅行ができます!

感想・レビュー・書評

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  • 著者もまさかオリンピック開会式でピクトグラムがあそこまで注目されるとは予想していなかったろうが(21.8.15発行)、時期に合った出版です。

    あるようでなかった図鑑。著者の最大の趣味は、街歩きや空港待ち時間でのピクト採取らしい。よって、同行の妻や仕事仲間からは「つまんないやつ」という評価らしい。でもお陰で、ざっと数えること1200~300の世界のピクトが一堂に会することになりました。いやあ趣味です。男の趣味です。いつか、マツコの番組に出てほしい(いや、もしかしてもう出てる?)。私も旅の時にはマンホール写真を撮るのを常にしていたのだけど、外国はその愉しみがないんですよね。ピクト集めを趣味にしようと決心しました。

    序章ではピクトの歴史を概説。起源はヒエログリフ=象形文字、楔形文字、中国の甲骨文字と言われるけど、ピクト形象は一挙に近代から始まる。1920年オーストラリアの社会学者オットー・ノイラートが発案したアイソタイプ(ISOTYPE)と言われています。その後、国際基準は主にISOとUICの流れに分かれます。しかし残念ながら厳密な国際基準はできていない。反対に言えば、お国柄で少しずつ違いがあります。形が同じでも色が違う。構図が同じでも、絵が違うなどなど。だからこそ面白い。

    例えばお国柄。礼拝堂のピクトがあるのは、やはり空港に多い。ジャカルタ、チューリッヒ、香港、ロンドン。イスリム用だけではなくて、ローマにはカトリック用もある。
    例えばゴミ箱。分類用ゴミ箱は、多くは紙、プラスチック、金属に分かれ、色は派手さがあって色々。
    例えば横断歩道や歩行者道路。これはお国柄が最も表れている。誰を渡らせるか(学童か大人か)、どういう格好か帽子や髪の形等々で様々。しかも、当初紳士と女の子が歩いていた歩行者専用道路は、やがて宇宙人みたいな抽象化に向かったりする。歴史もあるのです。
    お国柄でいうと、表紙の右上端にあるピクトはわかるだろうか?サンフランシスコです。当初私は、サーフィン可能地域かと思っていました。なんとコレは「津波避難」のピクトなのです。

    私の最も行く韓国のピクトで私も覚えがあったのは、地下鉄の優先席。妊婦、障害者、赤ちゃんを抱いた女性がよくわかるようにいつも特等席を用意していた。誤って座って、物凄く怒られたことがある。通訳案内のピクトがあることを初めて知りました。売店や靴磨きもボランティアでやっているのだそう。今度尋ねてみよう。

    11月1週、b-matatabiさんのレビューで知りました。

  • デザイナーが世界各国のピクトグラム(図記号)を集めて用途や国別に整理、比較した図鑑。
    写真がたっぷりあって、旅行に行った気分を楽しめる。

    ピクトグラムは日常生活で目にしているはずなのだけれど、正直あまり意識したことはなかった。日本にいるとピクトグラムよりその下の文字情報で認識することの方が多いからかもしれない。

    文字で認識できない海外ではピクトグラムの案内がとても役に立つ。ピクトグラムはISO(国際標準化機構)の専門委員会で図記号集が発行されており、それを利用している国は多いものの、その国ならではの価値観や文化がデザインに現れるのが面白い。

    はっと気づかされたのはトイレの表示。日本では男性が青、女性が赤で色分けされているのがほとんどだが、これは世界的に見ると珍しいらしい。
    色分けは形の認識よりもさらにわかりやすいものの、色と性別のイメージが固定化されてしまうという欠点がある。日本では女の子は赤やピンク、男の子は青や黒、となんとなく思い込んでいる人が多いが、普段何気なく目にするピクトグラムで刷り込みされているところもあるのかもしれない。
    トイレ表示ではないが、オーストリアでは、優先席表示で赤ちゃんを抱くマークが女性だけなのはおかしい、という意見が出て、表示の半分を男性に変更したそうだ。これも刷り込みを避けるためだが、経費がかさんで大変だろうな、と思う。

    ローカルカラーが出て面白いのは、空港の長大荷物カウンターのピクトグラム。ヨーロッパでは自転車、海沿いならサーフボード、その他スキー板やゴルフバッグなど、地域のリゾートに合わせたデザインとなっている。
    また、ドイツのオートバイのピクトは二人乗りで後ろの人はマフラーをなびかせていたり(かっこいい!)、ローマの道路工事標識は日本と同じで土の山にスコップを差し入れている人のデザインだが、どことなくやる気がなさそうだったり(失礼)、オーストリアの横断歩道標識では半ズボンに長靴下の男の子が三つ編みリボンの女の子の腕を取っているデザインだったり(かわいい!)、パリの危険標識は雷に打たれてのけぞるシルエットが映画のワンシーンのようにドラマチックだったり、とお国柄が出て面白い。

    この本を読んでから、日本のピクトグラムに目が行くようになった。海外旅行に行けるようになったらピクトグラムに注目してみよう。

  • オリンピックで一躍話題になったピクトグラム。
    それを研究(というか愛好)する職業があることにまず驚き。

    五輪で最初にピクトグラムが採用されたのはなんと1964東京五輪のときだと書いてありまた驚き。
    だから2020東京五輪でああいうピクトグラムの演出があったのね。

    ジャンルや国別にさまざまなピクトグラムが紹介されていて、写真だけ眺めていても楽しめた。
    禁止の標識では「これではわかりづらい!」とストレートに批評しているものもあって面白かった。
    オーストリアでは男女平等の観点から、非常口や工事標識、優先席に男女それぞれのデザインを用意していたりして興味深かった。
    だけれど「むだなものを作った」などと、それはそれで批判が多かったのも納得。オーストリアに行く機会がもしもあればじっくり見てみたくなった。

  • 案内図記号の国際委員・国内主査の著者による、ピクトグラムについての真面目な写真集です。
    面白味を求めたものではなく旅先での研究資料収集といった内容なのですが、見ていて楽しいものもちらほらとありました。
    国によって微妙に異なるのは当然ですが、そこに絶妙な笑いも潜んでいます。
    言葉に頼らず相手に意味を伝えることが目的のピクトグラムですが、楽しむこともできるのなら最高のおまけではないでしょうか。

  • ピクトグラム(以下ピクト)とは、文字の代わりに図で情報を伝える記号のこと。図記号とも呼ばれる。
    非常口にある、人が外へ出ていくものや、トイレの男女のものなどが有名。

    本書は空港や鉄道における公共サインを専門とする著者が、世界各国で収集したピクトを用途、場所、あるいは国別で写真付きで紹介している。

    本書で初めて知ったのだが、ピクトが初めてオリンピックで採用されたのは、1964年の東京大会が初めてだったとの事。
    あと、ピクトはISOの規格でも標準化されているが、上記の非常口ピクトは日本発のものであること、それなのに日本で使われているものはISO制定の標準からはわずかに変更されて使われていること等は、ピクトのトリビアとして面白かった。

    一方、少々難ありなのは、ピクトの写真が2.5x3.5cmと小さいこと。限られたページ数で可能な限り多くのピクトを紹介したいという意図で、やむを得ないのかもしれないが、ピクトのデザインを鑑賞するためにはもう少し大きい写真を使ってほしかった。

    本書読了後は、街中のピクトをやたら意識するようになり、こんなにあったのかと感嘆することしきり。

  •  筆者が資料として撮り集めたピクトグラムが入った写真をまとめたもの。なので、生活に溶け込んだピクトグラムを見ることが出来る。ピクトグラム言えども国によって表現は様々。なのに、なんとなく分かる。改めておもしろさを感じた。

  • オリンピック開会式を機に話題になったピクトグラムをズラリ見せてくれる。
    なるほど何を言おうとしているか、一目でわかる。お国柄もあって面白い。時々、解説がないとわからないものもあったけど…

  • ピクトグラムは図記号。言語に関係なく、意図・意味が伝わるユニバーサルデザイン。
    著者が仕事や趣味で取り集めた世界各国のピクトグラムを分類し紹介する。

    ・歴史
    ヒエログリフや楔形文字、甲骨文字がヒエログリフの起源と言われている。
    1920 ISOTYPE… オットー・ノイラートがピクトの原型を発案する
    「新たに知識を得る初期段階では、絵は言語よりもよりよく伝達できる」
    1960 Code UIC 413 O : 鉄道旅行を円滑にするための対策。
    1953 「道路標識及び信号に関する条約」
    1970 ISO図記号
    1974 USDOT/ AIGA
    1964 東京オリンピック オリンピックにピクトグラム採用

    〇インフォメーションや御手洗、空港・鉄道での案内など、各国の工夫や特徴が見られる。
    〇文章中のピクトが写真の順に並べておらず、また番号も振られてないので、写真を探すのに少々時間がかかる。
    〇デザイナー視点で忌憚なくピクトの感想が述べられていて、主観的なものも多いが雑談ぽくて面白い。
    〇コペンハーゲン:ストロイエの誘導ブロックについて、「視覚障害者には使いづらいかもしれないが、見た目に美しく、どんどん歩きたくなる工夫がなされている。」
    →誘導ブロックの意味(笑)“見た目の美しさ”に触れずにいられなかったんだろうなあ。実際、雨の軌跡みたいで美しい。
    〇同じ意のマークにもお国柄が出ていて楽しい。社会事情等によって、その国ならではのピクトもあった。
    〇昨今のジェンダーの見直しにより、揺れているマークも。ジェンダー関係ないものは、ユニセックで良さげですけどね。
    〇意外と文字標識の多いアメリカ
    〇タイ、出家者のピクト。

  • 世界のピクトグラムのスナップ写真が豊富。だけど、ちょっと写真が小さくて見にくい。絵を見ればなんとなくわかる、のは世界共通。でもやはりお国柄がでるのか、表現が違ったり、示す事柄が違ったりする。海外へ行く前に見ておくと良い。改めて、日本のピクトグラムを観察したいものだ。

  • 筆談の学習に使えないかと
    ピクト図鑑を購入しました!!
    ジャンル別にピクトグラムが載っていて
    わかりやすく、とても勉強になりました。
    日本のピクトグラムがもう少しあると…良いかな。

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著者プロフィール

児山 啓一(こやまけいいち)
1950 年、岡山県生まれ。千葉大学工学部工業意匠学科卒。株式会社 アイ・ デザイン代表取締役。おもに空港や鉄道の公共サインを専門とするデザイン事務所を主宰するかたわら、図記号標準化のためにISO/TC 145/SC 1 案内用図記号の国際委員および国内主査を務める。

「2021年 『世界ピクト図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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