未来を創る倫理学エコエティカ

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  • 昭和堂
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784812211229

感想・レビュー・書評

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  • この本は私の所属する大学の積載書庫に眠らされていたものだ。どうしてこれほどの良本が開架に置かれなかったのか、足らない頭を持つ私でさえこの本を読み終えた時には疑問に感じずにいられなかった。周知の通り、哲学は古代から続くものであるがそのニーズは効率主義が世の中を席巻するのとは反対に低下し続けていた。だがしかし哲学は複雑な現代において自己の精神を養うため、あるいは世界全体の問題を解決するために必要不可欠なファクターなのである。例えば環境倫理学は専門家たちによる演繹的な議論の結果に過ぎないが当事者である地元住民や民間企業、それから政府機関が道を踏み外さないように第三者として組み込まれる余地は大いにある。そして、本書では人間中心主義か人間非中心主義かを考えた時に人間もまた自然というシステムに組み込まれた一部であるから自然に貢献しなければならない。そしてその方法として自然を遠ざけたりするのではなく、人間の力を総動員する形で貢献しなければならないのである、という旨が記されている。これを読んで私は木材を海外から輸入してばかりいる日本を宇宙から見た姿を想像した。果たして人間は何を目指して生きるべきなのか、環境倫理学の参考の一部として、また現代の人間の生きる道すなわち哲学の最先端としてこの本は大いに貢献していると感じられた。

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著者プロフィール

1922年東京に生まれる。東京大学文学部哲学科卒業。パリ大学、ヴュルツブルク大学講師を経て、東京大学名誉教授、聖トマス大学客員教授。哲学美学比較研究国際センター所長、国際形而上学会会長、国際美学会終身委員、エコエティカ国際学会会長。1996年より1999年まで哲学国際研究所(IIP、パリ)所長。著書『同一性の自己塑性』(東京大学出版会、1971)、『美の位相と芸術』(東京大学出版会、1971)、『東西の哲学』(TBSブリタニカ、1988)『エコエティカ』(講談社学術文庫、1990)、『知の光を求めて』(中央公論新社、2000)、『愛について』(中公文庫、2001)、『ダンテ『神曲』講義』(第25回マルコ・ポーロ賞受賞、みすず書房、2002、改訂普及版2004)。編著に『講座・美学』全5巻(東京大学出版会、1984-85)などがある。

「2017年 『ダンテ『神曲』講義 改訂普及版【新装版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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