唐梅のつばら (SHYノベルス)

著者 :
  • 大洋図書
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784813010463

感想・レビュー・書評

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  • 受が儚げにみえて強い。親子二代に渡り初乃に執着するヤクザの組長、純愛を貫きヤクザに身を落とす男。両極端な二人の間で真実の愛を求めながら、実は翻弄していたのは初乃の方かもしれない。まるでお耽美昼ドラ大河を観ているような緊迫感、最後の最後まで落としどころが分からずBLでこんなにドキドキしながら読むのは木原小説以来かな。それくらい面白くて痛くて切なかった。純愛と執着はどう違うのか、BLというか恋愛の根本的なテーマな気がします。

  • 背表紙のあらすじと山本タカト先生のファンだったため購入。読んでる時の気分の良さと言ったらありゃしなかった。あらすじから分かっていたがキャラも内容もかなり良い。不思議な妖艶さを持ち合わせる主人公がヤクザの世界で淡い恋心を抱きながらどんどん不幸な目にあって最後に愛を知る。こんな良い(私好みの)シナリオ好きにならない訳がない。ただ、山本タカト先生の絵が苦手だよっていう人には頑張って読んでいただきたい一冊です。

  • 久しぶりに手に取った「その世界」が主軸の作品。
    古のJUNE作品の流れを汲む作風…という印象はあったのだけど、途中で挫折しました。
    気になったのは、ヤクザというものが単なるアイコンとして使用されているのか、この世界に必須の設定なのか…。そこは読み通していないので確認できませんが、用意された設定と小道具の全てが、どこまでこの世界の確立に必要なものだと感じられるかがキーだと思っているので、それを確認するまで読み通す気力がもらえなかったことが残念です。
    というか、セクシャルなものを含む愛に焦点が当たりすぎるジャンルは体力気力ともに読み通せなくなったのかも。
    山本タカトの絵も、以前ほどには見通せなくなったものなあ。

  • 初読み作家さんです。
    BLではあまり見かけない、何とも言えない耽美な絵柄と表紙に
    惹かれて購入してから早ウン年……。
    表紙の手触りも少し変わっていて、眺めては温めてと繰り返して
    いると、あっという間に10年近く経ってました。
    いや、2段組といい厚みといい、挿絵といい、何だかちょっと
    読むのを躊躇うような濃厚さが漂ってたので、これは気合い
    入れて臨まなきゃ!と思ってたもので。

    そんなわけで、漸く読んだ感想としましては、とても良かった。
    10年温めた割には月並みな感想になってしまいますが、だって
    本当に良かったとしか言えないんですもの。
    借金のかたに極道の家の男妾として養子になった初乃と、その家の
    実子との確執。
    家に出入りの植木職人との出会い。
    自分を囲った養父との死別に、そこから繰り広げられる昼ドラも
    真っ青なドロドロの愛憎劇……。
    全体的に退廃的な空気に満ちていて、静かにストーリーは
    続くんですが、内容はもうハードそのもの。
    温度感のない文体が淡々と初乃の悲惨すぎる境遇をこれでもか、
    これでもかとばかりに書き抉り、10年以上にも及ぶ初乃と
    攻である将大との純愛を壮大なスケールで魅せてくれました。

    三角関係とはちょっと違いますが、義兄の執着なども凄まじく、
    この人のキャラがもの凄く立っていました。
    ともすれば将大の存在が霞むくらい。
    初乃の性格がじめじめしていた上に、文章の醸し出す雰囲気が
    どんよりしていたので、序盤は結構読むのがしんどかったのですが、
    初乃が将大と生きていく覚悟を決め、籠から逃げ出したあたりから
    もうページを捲る手が止まらない!
    先が気になって気になって、見つからないで捕まらないでと
    手に汗を握りながらの展開がもう凄くドラマチックでした。

    そうやって手に入れた、本当にささやかな幸せも長くは続かず、
    再び籠の鳥になってしまった初乃がたまらなかったのですが、
    そこからがもう神展開。
    義兄の手紙に初乃と一緒になって嗚咽し、最後の最後に漸く
    見えてきた明るい未来に心の底からほっとします。
    幸せたっぷりなハッピーエンドではなかったけれど、それでも
    長い冬をじっと耐え、春を知らせる蝋梅のような生き方をした
    初乃を、最後の方では愛しく思えて仕方がなくなってきてます。

    そして挿絵のクオリティも半端ない。
    好き嫌いは分かれる絵柄ですが、この作品はこの絵だからこそ
    良かったと思うくらい嵌ってます。
    その辺を考えると、あの表紙の豪華さの意味も分かるような
    気がします。

  • 一言でいえば長きに渡る極道の愛憎劇なのだけど、終盤、主人公・初乃が自分の生き方に腹を括ってからは感動の名作に転じました。よく耐えたなぁ初乃。まだ寒い時期に咲き、闇の中でも香りで存在感のある、まさに梅の様です。組長・悦司の手紙にも胸を締め付けられました。

  • 山本タカト氏の挿絵に惹かれ購入。

  • ●男のくせに、どうして男を誘うんだ?●十三歳のとき、初乃は広域暴力団多岐川組に養子として引き取られた。表向きは大切な跡取り候補のひとりとして。だが、実際は組長でもあり養父でもある滝川悦造の愛人として監視され、歪んだ愛欲に晒される屈辱を倦みつつも、生きるためにはどうしようもなかった。そんなある日、初乃の前に真直ぐな目を持つ男・花村が現れ、ふたりは惹かれあうのだが。

  • 面白かった。BLというよりジュネっぽい話。
    山本タカトさんのイラストが淫靡で最高です。

  • 水原ワールド、全開・フルスロットルです

    これでもかってほど、主人公が痛い目にあってます

    色々痛いんですが、読み応えはあります
    イラストは好き嫌いが割れそうな感じですが、この絵師さんでっ!と思いつく人もいないかもです

    ラスト部分では救われてるのかな…
    これから幸せになれるといいな…

  • 初めてBLで泣いた。
    痛み、憎しみ、諦め、愛……
    初乃の中に渦巻く様々な感情が、痛みを伴いながらも美しく収束されていくさまに、人の持つ根源的な強さみたいなものを感じた。
    ラストの素晴らしさには読後しばらく浸っちゃいますね。
    山本タカトさんの挿画もひたすらに眼福。
    読めて良かったです。

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