Over The Rain (SHYノベルス277)

著者 :
  • 大洋図書
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本棚登録 : 118
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784813012450

感想・レビュー・書評

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  • 記憶が度々欠落する主人公視点で書かれているため、話も突然場面が飛び、相当混乱します。
    読めそうで分からない先に興味が沸いて一気に読み切りましたが、軽く読みたい人はすぐに断念してしまいそうな難解さでした。
    もう一度読み直したくなるという点ではミステリーに近い作り。
    BLでここまで頭を使いながら読まされる作品は珍しく…賛否が分かれそうだなと思います。
    個人的には雰囲気やキャラクターが気に入って好きな作品に入りますが、人に勧めるのは躊躇します。

    穂積は記憶どころか性格も浮世離れしていてどうにも感情が掴みにくいのですが、挿絵効果かミステリアスさが良いのか、可もなく不可もなくという感じで嫌いにはなれません。
    結末も穂積視点で描かれると分かりづらいですが、タネ明かしされる行動の理由に納得がいくのとビジュアルで好きになり…二人の行く末が気になって読んだ部分も大きいです。

    最後の最後まで、もしかして夢オチか結が幽霊なんじゃないかと疑っていたので(ありえないと思いながら、そう思わせる書き方だったので)、そうじゃなくて本当に良かったです。
    もう少し早い段階での種明かしがあれば、もっと読みやすかったのではないでしょうか。
    終始映画を観ているような気持ちになったので、実際に映画や漫画でやった方が面白い作品なのかなと言うのが一番の感想です。

  • すっごく難しかったな~!記憶喪失?というよりも記憶が飛んじゃう感じなので文章の繋がりがすごく難しい。 作家様独特のそういう感じも初読みだったからなかなか読み取れずちょっと真相が分かるまではしんどかったかな~。 でもこういうタイプのお話は読み直してやっと良さがわかるんだろうな~とは思います。

  • ・ 高星 麻子さんのイラストが好きなので、それも含めて☆4つにしました。

    ・ちょっと映画風なミステリー仕立て。
    ・受けの「結」が3歳年下(中2)で、声変わりもまだ。
    女の子っぽくて髪は紅茶色、目は茶色。のフランス人のハーフでかわいらしかったのに
    4年後はすっかり大人(高3)で男性っぽくなっていて、惚れ惚れ。
    ・結は過去にトラウマで色々あり、記憶が曖昧。
    ・結が幼いころから翻訳家になると決めており、その意志の強さが好ましかった。そのため大阪なのに標準語喋り。
    ・攻めが受けによって希望を見出していくところも好き。
    ・2度読んでも良いなと思った作品。

    ・同作者の「唇でこわされる」も良かった。

  • これはBLというよりはサスペンスのような気がします。

  • あぁ、判定するのが難しい。万人受けする話じゃないと思う。でも私はこの作家さんが好きなので、どうしてもひいき目…。
    “この人”って誰?“彼”って誰?“眼鏡の男”って…?すべてはラストで明かされる。
    相変わらず時間軸と相関図がわかりづらくて、橘さんらしい“あえての言葉足らず”。橘紅緒スキーじゃないと、この世界に入り込むのは難しいのかもしれない。
    夢なのか現実なのか境界線が曖昧で、
    まるで眠りに落ちた誰かが見ている夢を横から傍観しているような不思議な感覚。どこか観念的な描写に、土屋政雄さん訳の『イングリッシュペイシェント』を思い出した。
    誰もが欲しがるきれいな結は、人知れず学校の先輩で義兄でもある穂積を熱愛している。それに気付けない穂積は静かに胸を焦がす。きれい系の攻とナイーブな受はもう橘的鉄板の組合せ。
    相変わらず、受の見事なまでの盛大な勘違いで話がこじれる。結末はいたってシンプルにすぐ目の前にあるというのに。
    文中に散りばめられた不思議が、最後の最後で一本の糸でつながる。
    どうして穂積は雨が苦手なのか、どうして記憶が途切れたり、突然眠りに落ちてしまったりするのか。大事な人を失くしてしまうことが怖くて、全部忘れてしまう穂積の過去も未来も結が照らしてくれたらいいな。
    ぜひとも二度読みしてみてください。すべてが腑に落ちます。

  • 主人公の名前がなかなか分からなくて読みにくかった。穂積?遊佐?みたいな。実は遊佐穂積って名前だったんですが…。

  • 久しぶりに買ったBL。嗅覚は衰えてなかったヾ(o゚ω゚o)ノ゙
    高校生と中学生の頃、大学生と高校生の頃、そして現在。
    天然に振り回される一途なソマリの猫。リセットされていく記憶を持つ穂積と、穂積の視線に堕ちた結のお話。
    シリアス好きには堪らないんじゃないかなと思います。
    個人的にはかなりお気に入りです。

  • あぁぁぁ。これまた事情のわかりにくい小説だよ。
    とにかく主人公である穂積の記憶が飛びまくるのです。
    最後の最後に種明かしとゆーか。いやいや、推理モノ読んでるんじゃないんだからせめて中盤くらいで大体の事情を開示してほしかったよ。
    なんか読むのがもうつらくなっちゃってたんだけど。それでも最後まで読める小説ではありますが。
    すでに小学生の頃には「字幕翻訳家」になると決めていた穂積は他には特に興味もなく関心もなく。記憶も思い出も残っていなかった。しかし、高校の時3つ年下の後輩・結を知り彼に興味を持ち。
    彼との間に色んなことがあったはずなのに、仕事の関係でロスにいる間、穂積は結のことを思い出すことすらなかった。
    記憶ぶっ飛びモノです。(そんなジャンルはないだろうが)彼の記憶と共に話も飛びまくります。おいおい、今はいつの話だい?と聞きたくなるのです。まー、これは書き手が意図してる部分もあるかも?穂積の混乱ぶりがよくわかるし。しかしねー、もう少しわかりやすく・・・。こういう部分は編集段階でなんとかならんのかね。

  • 途中でだいたいの予想がつくとはいえ、最後まで読んでやっとそういうことか、と理解できる。きっともう一度読むべきなんだろうね。嫌いじゃないけど、モヤモヤしんどい;もう少し早い段階で種明かししてほしかった。

  • 読み始めから「ん?ん?」と理解不能に陥ってしまい、読解力が無くなったかと焦りました…というか、眉間にシワ寄せてBL読みたくないんですが。
    しかし、そこをグッと我慢して読み進むうちにいろいろ主人公の事情がわかってきて、最後はバラバラだったパズルのピースがきちんと絵になったような、そこそこ満足な気持ちに。
    どっちかっていうと、映像寄りの表現が上手い作家さんだと思うので、これは漫画かアニメか実写だと大変ステキな話になるのではないかと勝手にプロデューサー気分になりました。

    翻訳家である穂積の一人称で語られるので、彼の心の風景とか心情だけを頼りに読まなくちゃいけない。そして、突然ぷつりと途切れる穂積の意識とストーリー。何故?と不審に思いながら読み進むしかないのです。それが高校2年生から翻訳家となった現在まで飛び飛びに描かれていて、その中で3歳年下の結との出会いから、付き合うようになり、更に恋人同士になるまでの経緯がなんとなくわかるようになっています。
    ぼんやりと二人の関係が理解できるんだけど、突然記憶がなくなり覚醒しているのか夢を見てるのかわからない状態の受に、随分てこずります。しかし、それには後半判明する理由があるのです。ざっくり言えばトラウマ。読んでいてやっとそこで腑に落ちて膝を叩く、という感じ。
    こういう書き方しないと、単なる王道テンプレなつまらない話になってしまう恐れはあります。読ませ方としては上手いなと思いました。もう一度最初から読んでみたくなるし。

    穂積はそんなこんなで、ちょっと危なっかしいツッコミどころ満載でヤワな受ですが、彼の目を通して語られる結はブレそうでブレない、チャラそうでチャラくない魅力的な年下攻でした。赤毛だけではなく、ピュアなハートも大変目立っています。結に関しては、三重に行くってところで浮気が誤解ってことも大体わかっちゃったのが私的に残念。

    Hシーンは、濃厚な行為をデリケートな表現でさらけだすみたいなエロ。嫉妬のスパイスが効いていて、愛が感じられるのがよかった。

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