日本人の給料はなぜこんなに安いのか ~生活の中にある「コスト」と「リターン」の経済学~ (SB新書)
- SBクリエイティブ (2019年12月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784815604417
作品紹介・あらすじ
日常の「コスト」と「リターン」の経済学
「スッキリ」(日テレ系 朝の情報バラエティ)でおなじみの人気経営コンサルタントが教える
身近な生活の中にある「コスト」と「リターン」の経済学
「日本人の給料ってなんでこんなに安いの?」
「老後2000万円不足?でも年金だって払い損になるんでしょ?」
「消費税増税! 10月からの大物買いはやっぱりソンなのか?」
「レンタルと所有、どっちがトクか?」
「空家大増加、やっぱり家は買っちゃダメなの?」
などなど、日ごろ気になる問題を「コスト」と「リターン」の観点から
経済学的に分析します。
どっちがトクか、どっちがソンか?
経済学的に見てみましょう。
感想・レビュー・書評
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タイトルのテーマだけで丸々1冊費やされていると思っていたら、年金問題や賃貸・持ち家問題など身近なテーマを経済学の観点から説明する本だった。
給料については給料を多く貰いたいなら、安定雇用・安定収入を捨ててリスクを取れ、とのこと。中途採用の社員の給料の決め方が「なんとなく」とは嘆かわしい。モチベーションを維持するのが大変すぎて、嫌になる。年金や住宅問題については知っている内容かつ自分で答えを出していたので流し読みしたが、知らない人にはわかりやすくて良いと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルから給与問題について論じた本かと思いきやそれは全体の1/4程度で、他は年金や消費税対策(お得なお買い物)そして持ち家問題と老後に向けての生活指南といった内容ですが、それはそれで生活に役立ちそうです。
もともと興味があったのはタイトルにもなっている「日本人の給料はなぜこんなに安いのか」ですが、平均給与は1997年にピークとなり年収は467万円を付けるもリーマンショック直後の2009年には406万と落ち込み2012年からはアベノミクスの効果か上昇しているとのことです。ただし、他の先進諸国と比べると低いと言わざるを得ないのが実情です。
その理由としては、流動性が低い(転職しない、辞めない、クビにならない)とのことで解雇ができるなら高くなると分析するもこのままだとマルクスが言うところの労働価値説状態だととても分かりやすくかつ簡潔に説明されています。
給与が低くなった理由としては流動性の低さと並んでよく指摘されるのが非正規雇用の問題ですが、こちらについてはなぜか言及してません。その辺りも合わせて説明されているともっと良かったように思います。結局のところ、正社員はそこそこの給料でかつ安定雇用が得られるのに対して、非正規雇用は低い給料でかつ不安定な雇用と全く良いところなしです。失業率が上がることなくもう少しバランスが良くかつできる人の給料も上がる仕組みは無いものだろうかと考えさせられました。 -
本のタイトルは「コストとリターンの経済学」のほうが適切な気がします。日本人の給料の安さが主題ではないと思いました。
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読みやすい文体だった。章立てて書かれていて表題の内容は主に1章に偏っていたけど日本が製造業を中心にした社会だと言われたらそうなのかと感心した。
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特になし
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題名と内容があっていない。
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お金に関する本です。コストやリターンを「生涯支払コスト」と「生涯受取リターン」で計算すると、意外な結論が見えてきます。これからは、初期コスト、ランニングコストに加え、売却価格まで考えた投資(購入)を行いましょう。
【特に印象に残ったフレーズ】
・「2つのモノのどちらを買うか迷ったときは、購入価格(初期コスト)、付帯価格(ランニングコスト)、売却価格(出口価格)の3つを、仮定でいいので計算する。コストを冷静にジャッジすることと、「出口」(売却)から考える視点を持つのが大事。」
ビジネスでは初期コスト、ランニングコストは考えることも多いかもしれませんが、出口価格を考えることも重要です。また、個人の消費活動も本質は同じだといえます。特に、CtoC取引も容易になった現代社会では、売却価格を考えておくことの重要性は高まっているのではないでしょうか。
【本のハイライト】
・コストやリターンを「生涯支払コスト」と「生涯受取リターン」で計算すると、意外な結論が見えてくる。自分の嗜好にも左右される。
〇労働
・中小企業の給料は、「なんとなく」や「相場」で決まりがちなのが実態。
・日本人の給料が安い理由は、①日本社会のベースは「製造業」=終身雇用と横並びの給料、②雇用の流動性の低さ=安くても辞めない、③給料の上方硬直化=一定であることに安心感、④人事評価の不徹底=なあなあ、といったことがあげられる。
・日本人が給料を上げるには「転職」「独立」「副業」が選択肢になってくる。稼げる可能性は「独立>転職>副業」だが、個々人の嗜好にもよる。
・給料の多くは「業種業態である程度決まる」、上げたいなら「稼いでいる業界を選ぶ」。
・本当に悩んでいるなら、転職でも独立でもまずやってみる。日本はリスクとリターンが歪んでいる。失敗しても生活保護や再就職支援が手厚く、リスクが実は小さい国。成功したら儲けもの。
〇老後のお金
・年金だけでいくら不足するかは、人による。
・自営業の年金収入は厚生年金よりかなり不利だが、国が不可年金の制度を用意している。月400円払えば、65歳から年金を加算して受給できる。
・支給時期を繰り下げると、早く死ぬとリターンが減る。おおむね受給から12年を過ぎるあたりから元がとれる。
・終身保険や養老保険は、年金保険料として支払った金額のリターン率にはだいぶ劣る。ムダな保険を見直すのは必須で、年金保険はムダにならないと信じつつ投資を進め、生活のコスト削減を実行するのが現実的な老後対策になる。
〇モノ購入
・2つのモノのどちらを買うか迷ったときは、購入価格(初期コスト)、付帯価格(ランニングコスト)、売却価格(出口価格)の3つを、仮定でいいので計算する。コストを冷静にジャッジすることと、「出口」(売却)から考える視点を持つのが大事。
・サブスクの観点は、「迷いたくない、を解消するためにお金を使わせる」。思考停止を招きやすいサービス。効率のよい「コスト」と「リターン」を考えるなら、クレカの明細を定期的に見直す時間をとり、「不要と思ったらすぐやめる」。売り手も、多くは儲かっていない。
・これからの消費行動は、「所有」でなく「売却前提」が主流となるかもしれない。定番品、安売りをしないもの、人気が高いものという条件を満たすほど売却価格は高くなる。高級品は、使った後でも高く売れる。
〇住宅購入
・持ち家派は、将来の居住費のために、住宅購入に「コスト」を投じ、「リターン」を手にする。賃貸派も、基本はどこかに「コスト」を投じて老後の準備をすることが必要。違いは、「コスト」をどこに割くかである。どちらがいいかはその人の信条による。
・何も考える気がなかったら、家を買った方がいい。ただし、出口戦略を考えた上で購入すべき。
・持ち家も、取得後の「コスト」と「リターン」を考えること。「家」という不動産を運用している。
・金融資産を増やせるなら、賃貸でもよい。 -
微妙だった。
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第1章では日本人の給料が上がりにくい理由について解説がされていた。
第2章で語られていた年金の問題に関しては、少し自分の考えが改まるところがあった。
今後払い損になるイメージが強い国民年金だが、実際は民間の保険よりリターンは高く損にはならない点や、老後2000万円不足問題の2000万の根拠などが解説されており勉強になった。
第3章、第4章では、消費税増税の話から始まり、モノの購入のコストとリターン、サブスクリプションビジネス、持ち家vs賃貸について論じられており、身近なことなので面白く読めた。 -
相変わらず、淡々とした文体で、データに基づいて、ちょっと違った切り口で面白かった。
最後の持ち家と賃貸の話は、ホントに人生観によるとしかいいようがないけど、賃貸派の人は、定年までに賃料分は貯金しとけ、というのはその通りと思います。