作品紹介・あらすじ
ディメトリオ皇子とその家臣達は、会議の場で困惑していた。
(どうしてこいつがいるのだろう)
会議に参加しているナトラ王国王太子ウェインも思っていた。
(どうして俺がここにいるんだろう)
三皇子のいがみ合いで長らく膠着状態が続いてきた帝国の後継者争い。だが、長兄ディメトリオが戴冠式を強行するため兵を挙げたことで、状況は大きく動き始める。
ロウェルミナ皇女から協力要請を受けたウェインは帝国に向かうが、なぜか一番勝ち目が無さそうなディメトリオ派閥に参加する羽目に!?
「だが、最後に笑うのはこの俺だ」
謀略と戦乱が渦巻く第七巻!
感想・レビュー・書評
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今回は帝国の皇帝争い動乱回。
いつもながらウェインはその騒動に巻き込まれるわけだけど、まさか一番ダメそうな第一王子に図らずも付くことになるとはね。
まあ、貧乏くじだよなあ。
ただ今回は、ウェインの戦いと言うよりは三皇子とロウェルミナの戦いなので、今回の主人公はむしろ帝国にいるウェインの元級友たちだったね。
そこの駆け引きもなかなか面白かった。
それにしても、あの第一皇子が最後にやけにいいやつになっていたのは、このお話では珍しい展開だなあ。
大抵、悪いやつは悪いままいなくなることが多かったので。
さて、皇帝争いはロワが一歩リードしたようだけど、まだまだ決着はつかない。
これまた一騒動も二騒動もありそうだね。
その時ウェインはどう動くのか? 楽しみ。
あと、そろそろウェイン自身の戦いも見たい気がする。
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多くはないのですが、宰相と王女の会話の場面がすごく印象に残りました。
あくまでもこのキャラクタの考え方でしかないのですが、なんか意識してしまいます。
人と民との違いとはなんなのか?
「法は遵守されなければなりません。」
そうなんですよね。
当たり前なのですが、法が守られているから今の社会があるのですから。
人を動かすモチベーションには色々とあるのでしょうが、
法律があるから人の行動が支えられもすれ、制限されることもあるんです。
今のこの時期に読むから、
法以外のもので色んなものが制限されているような気持ちになったり、
法なんて守らなくても良いような気持ちになったり、
そうやって遵法精神がなくなってくると、
民ではなくただの人になってしまうのかもしれませんね。
これで終わらずに、この物語上で法を守らせる立場である皇族にも
法を守ることに例外は無いと言っていることに、物語の強さを感じます。
今、法を守れているか? 法を守ろうとしているか?
そもそも守るべき法を知っているか?
誰かに勝手に解釈されて扇動されているだけではないか?
物語は考えるきっかけをくれます。
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著者プロフィール
第1回GA文庫大賞にて『オルキヌス 稲朽深弦の調停生活』で奨励賞を受賞しデビュー。
代表作:GA文庫『天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~』『幻葬神話のドレッドノート』など
「2021年 『天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~ アニメ化記念限定小冊子付き特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」
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