学校の大問題 これからの「教育リスク」を考える (SB新書)
- SBクリエイティブ (2020年11月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784815608019
作品紹介・あらすじ
予測不可能な時代の学校選びとは
教育改革を本格的に推し進めようとする一方、コロナ禍による臨時休校でこれまで顕在化しなかった教育現場の問題点がみえてきた。教師はどんな問題を抱えているのか。これからの時代に必要な学力は学校で身につくのか。学校は安全、安心なのか。子どもを持っている親なら知っておかなければならない教育リスクを明らかにするとともに、それにどう対応するべきなのか。学校と民間、それぞれを行き来しながらミドルアウトに活動を続ける現場主義の教育者からの提言。
感想・レビュー・書評
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タイトルと内容が違いすぎる。探究とICTの話。一つ目の対談は良かった。結局、探究というのは情報を消費するのではなく生産するということなんだろう。卒論や修論でやるようなことを子どもに上手く伝えられるように、まず自分がやってみようと思った。ICTの話は、パソコンでタイピングから始めてみる、最初から消費側に回るのではなく情報を生産する経験から始めるという取り入れ方の考え方は納得できた。こちらもまずは大人が学んで譲り渡していくことが大事かと。
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学校の大問題という衝撃的なタイトルであるが、探究的な学習のすすめであると感じた。特にブルームのタキソノミ-の理論が取り上げているのが興味深かった。
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●コロナ禍で起こった3つの問題。意思決定の遅さ。ICTの遅れ。一方通行型の授業。
●大学のオンライン化と、存在意義。近年の大学生は以前と比べて真面目だが、学問をしているレベルではない。欧米の大学は週に7〜8冊の課題図書を読み、自分の考えを述べる事を要求される。
●ミネルバ大学。集団で都市を渡り歩き現地で学ぶ。
●ブルームタキソノミー。教育目標の分類学。認知領域、情意領域、精神運動領域。日本においては認知領域のものだけが引用される傾向がある。
●公平性や定量評価を重視すると、どうしても対策できてしまう。消去法かつ逆算的に扱われる。AOに合格する為に動機や興味を捏造する。それがビジネスにもなる。
●コロナ禍で大学を辞める理由として、お金が勿体ないだと残念だ。自分で勉強した方が早いならいざ知らず。
◾️ 「メタ認知」とは、「自分が認知していることを客観的に把握して、制御をすること」、すなわち「自分が認知していることを認知すること」です。何かを考えるときにある見方をするのが当たり前、という考え方をせずに、その見方そのものを見直す観点を持つこと
●ITからICTに。コミュニケーション、情報や知識の「共有伝達」に役割が進んだ。 -
簡易かつシンプルでスッキリした文章で読みやすい。問題提起をしてくれる。ソリューションは読者に任される感じ。
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岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00608381
予測不可能な時代の学校選びとは
コロナ禍による臨時休校で、これまで顕在化しなかった学校の問題がみえてきた。教育現場に突きつけられたのは、「未知なる状況にも対応できる」という、新学習指導要領の精神が求めるものである。日本の教育は変わることができるのか。教育関係者や保護者が知っておくべき「教育リスク」を明らかにするとともに、いかに対応していくべきか。民間の教育機関やICTの専門家による助言をまじえながら論じていく。
第1章 コロナ禍で露呈した自律できない学校の問題
第2章 未来の教育を予感させる学校――休校対応の差から考える
第3章 入試問題の変化と学習評価の構造――ブルームタキソノミーと評価
第4章 探究と評価の折り合いをつけるマインドとは 対談 矢萩邦彦
第5章 学校における探究型の学びとPBL――ブルームタキソノミーの活用
第6章 ICTと学校をつなぐためには 対談 田中康平
第7章 いかにICTリテラシーを身につけるか ブルーム・タキソノミーの新解釈
終章 これからの教育でおさえておくべきこと
教育改革を本格的に推し進めようとする一方、コロナ禍による臨時休校でこれまで顕在化しなかった教育現場の問題点がみえてきた。教師はどんな問題を抱えているのか。これからの時代に必要な学力は学校で身につくのか。学校は安全、安心なのか。子どもを持っている親なら知っておかなければならない教育リスクを明らかにするとともに、それにどう対応するべきなのか。学校と民間、それぞれを行き来しながらミドルアウトに活動を続ける現場主義の教育者からの提言。
(出版社HPより) -
2020/11/29
タイトルが気になって読んでみました。コロナの感染拡大で浮き彫りになった学校教育の問題点について的確に述べてくれているように感じます。
従来のように、40人学級で、黒板を使ってチョークで書き、ノートをとる、部活動を行い大会に出場し、修学旅行や式典を行う…といったようなこれまでの学校の当たり前だったことが全て無になり、ゼロベースから今までの取り組みを見直さなくてはいけなくなりました。
しかし、これはこれで良かったのではないかと思います。前例がないと決断できない意思決定の弱さ、スピード対応の遅さ、授業の動画配信の進展の無さなど問題点がいくつも浮き彫りになりました。これまでの当たり前を変えるいい機会だし、時代に合わせた新しいスタイル、新しい学びの形をいい加減考えてスタイルを整えていかないといけない時になったんだと思っています。
その中で教育のICT化が言われて何年も経ちますが、あんまり浸透しているとは思えません。結局紙ベースが楽だったり管理しやすい、学習のフォーマットを整える時間がない、やろうとしない特定の世代の人たちだったり、課題点が山積みです。
でも、できない人に合わせていてもしょうがないので、自分なりにこの本を読んで消化して考えてことを少しずつでも具現化していけたらいいなと思いました。 -
コロナ禍で浮き彫りになった学校の3つの課題から、これからのあるべき教育の姿を描いている本書。
その3つの課題とは、
①意思決定の弱さ
②ICTの遅れ
③一方通行型の授業
である。
これらの課題を踏まえた上で筆者は
ブルーム・タキソノミーを理解した上で、ICTやオンラインを上手く活用してさ、教育の在り方や教師・保護者のマインドをアップデートしていくことを本書のねらいとしている。
本書で描かれていることのうち、特に共感したのは、
ICTの導入の遅れの理由としてあげられている教員のマインドのこと。
コロナ禍で様々な課題があきらかになったが、学校はもとの形に戻ろうとしている。
一方で、GIGAスクール構想によって、一人一台端末が導入されようともしているが、それは何のため?どう使うの?というビジョンを描ききれていない教員の方が多い。
本書ではブルーム・タキソノミーを理解した上で、それらを俯瞰して眺められる教員が少ないことを嘆いているが、本書を読むだけではブルーム・タキソノミーを理解し切ることは難しいし、説明も少ないのが残念ではあったが、今の教育界の動向をざっと確認し、何をすべきかを考えたい人にはおすすめの本。