- Amazon.co.jp ・本 (490ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822249236
感想・レビュー・書評
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ビジョナリー・カンパニーシリーズの完結版。
調査ドメインを、ビジョナリー・カンパニー2飛躍の法則で書かれている内容に、「変化の激しい外部環境でも飛躍する企業があるのはなぜか」という視点を取り入れている。
まとめは別途。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
統計に基づいた展開がされていて納得感あり。そこに関し、和訳が「官報複合体」の牧野洋氏なのも、皮肉が効いていて面白かった。
イノベーションは必ずしも企業の飛躍的な成長に寄与するわけではないという件は希望を持たせてくれる。生き残るため、成長するためには、イノベーションは必要だけれど、もっと地道なことを続けるのが必要。 -
第3巻がとんでもない駄作だったのであまり期待せずに読みましたが、本作は良くできていました。
様々な不確定要素のある市場で失速することなく偉大な企業として事業を続けているビジョナリーカンパニーが、どのようにして不確定要素を乗り越えてきたのか、というところに焦点が置かれています。
平たく言うと「慎重に、余裕を持って、不測の事態を乗り越えられる体質を築く」というようなところなのですが、問題はそのさじ加減にあるように思います。
例えばビジョナリーカンパニーは一度決めたルールは基本的に変えない。状況変化に応じて変えることはあるが、それもほんの一部だけ。というような傾向がある。
この変えないといけないほんの一部をどう見極めるのか。そういうさじ加減には経営者の職人技のようなものを感じます。
そういう細部の意思決定にはかなり卓越したスキルが求められますが、大枠の部分は本書で十分にインプットすることができます。
3巻は読まなくていいです。4巻を読みましょう。 -
自分ではどうしようもない逆境や不運、そういうものに関わらずに偉大になるための心得が書かれた本。
これまで以上にすばらしい内容だった。
狂信的規律、実証的創造力、建設的パラノイアなど、偉大な10X型リーダーに一貫して備わっている資質が紹介されていたが、中でも20マイル行進が新たな発見だった。
良いときは30マイル、悪いときは10マイルでは駄目。一貫して同じ成果を出し続けることで、苦難を乗り越えられ、調子にのって莫大な投資をすることを自制できる。 -
ビジョナリーカンパニーの4作目。
巻末の「よくある質問」に、前の3作との関係を解説されている。前作までと同様、比較対象企業をおいて、パフォーマンスの優れた企業の何がそうさせているのかを論じている。
今作では、10xリーダーという言葉で、その具備要件をまとめている。その対象企業を10x企業としているが何が10倍かというと所属業界の株価指数を十倍以上上回る株価パフォーマンス(株価上昇と配当金)を記録している企業。
事業への取り組み、考え方のあり方について、事例もたっぷりわかりやすいシリーズ。
個人的には、ドラッカーと7つの習慣とGTDと並んで名著かと思う。
1から3未読の方も、本書から読んで、あるいは本書の「よくある質問」読んでから1から攻めて行くのも良いかもしれない。
以下いくつかメモ
・10x型リーダーは不確実な状況におかれていることを認識している。外部環境は制御できないし、将来どうなるかは予想できない。「制御不能」
不可抗力や偶発事故によってすべての結果が決まるとも考えていない。自分の運命がどうなろうともそれについては、自分が全面的に責任を負うつもりである。運命を制御するのは自分であるということ。それが「制御」
・10x型リーダーの主要行動パターン3点セット
狂信的規律=一貫した価値観、一貫した目標、一貫した評価基準、一貫した方法を始め、徹底した「行動の一貫性」を示す。ぶれない。
実証的創造力=不確実な状況に直面する時、科学的に実証できる根拠を頼りにする。自らじかに観察し、実験を重ね、具体的な事実と向き合う。実証的な基盤を築くからこそ、大胆で創造的に行動できる。
建設的パラノイア=良い時でも悪い時でもガードを崩さない。最悪の状況を想定して日ごろから準備を怠らず、有事対応策を練り、衝撃緩和の仕組みをつくり、安全余裕率を高める。
・良い二十マイル行進は「自制心」を持つ。魅力的なチャンスや有利な状況が訪れたとき、どこまで更新していいか上限を決める。
・どんな環境下でも脱落せず競争するために、最低限達成しなくてはならない「イノベーションの閾値」がある。航空業界などは閾値が低く、バイオ業界では高い。閾値を越えないと生き残れない。が、一旦閾値を越えればそれ以上のイノベーションにこだわってもあまり意味がない。
・iPodはいきなり創造的な飛躍をしたように見えるが、実際は実証的な有効性に基づいて段階的なプロセスを経て大成功に。
・10x型リーダーは保守的で、リスク回避型の手法で会社を導いている。(1)二十マイル行進で成長を抑える、(2)大砲発射の前に銃撃に出る、(3)余分に酸素ボンベを用意して健全な財務体制を築く。
・SMaCレシピ
「Specific 具体的である」 「Methodical 整然としている」 and 「Consistent 一貫している」
反復可能で一貫性のある成功法であり永続性のある業務改善法をひとまとめにしている。
・平凡さを決定づけている特徴は、変化をためらうことではなく慢性的に一貫性を欠いていること。
10x型企業は比較対象企業ほど頻繁にレシピをかえていない。
・SMaCレシピの変更は本質的に抜本的変化を意味する。
この点を理解していれば、抜本的に変化すると同時に並外れた一貫性も維持できる。
・運イベント(定義)
(1)当該事例の相当部分は、企業の主要関係者がどう行動したかはほとんど無関係に起きている、(2)良い悪いにかかわらず当該事例は潜在的に重大な影響をもたらす、(3)当該事例は予測不可能な要素を含んでいる
・10x企業も比較対象企業も同じように不運、幸運にさらされている。
・運イベントに直面したら、ひたすら全力で働きながら、(1)二十マイル行進を怠らない、(2)銃撃に続いて大砲を発射する、(3)死線を避けて建設的パラノイアになる、(4)SMaCレシピを開発・修正する、(5)頼りになる人間を採用する、(6)規律の文化を育む、(7)偏執狂的なこだわりから決して外れない。
これは運ではない。ROLだ。
目次
謝辞
第1章 不確実性の時代に飛躍する
10X型企業の選抜
比較の重要性
データに驚かされる
新しいレンズ、探禦の撮は永遠に続く
第2章 10X型リーダー
あなたはアムンゼンか、スコットか
環境の差ではなく、行動パターンの違い
■狂信的規律
■実証的創造力
■建設的パラノイア
■レベルファイブ野心
どうしたら10X型リーダーになれるか
章の要約
第3章 二十マイル行進
ジョン・ブラウンの二十マイル行道
予想外の二十マイル行進
コラム 良い二十マイル行進の要素
どうしたら良い二十マイル行進を実現できるのか
なぜ二十マイル行進実践者は勝つのか
■逆境下で成果を出すことから生まれる自信
■大惨事の回避
■制御不能な環境下で自制する
アーサー・レビンソンー企業に行進を教える
章の要約
第4章 銃撃に続いて大砲発射
大きな驚き
創造力と規律
銃撃に続いて大穂発射
コラム 銃弾とは何か
精度未調整の大砲の危険な魅力
10X型は愚行から学ぶ
予測能力よりも実証的有効性
アップルの復活ー銃撃、砲撃、そして規律ある創造力
章の要約
第5章 死線を避けるリーダーシップ
建設的パラノイア
■建設的バラノイア1ー余分な酸素ポンペ、これこそが嵐の劇にやるべきこと
■建設的パラノイア2ーリスクを抑える
■建設的パラノイア3ーズームアウトに続いてズームイン
人生の瞬間はすべて同等ではない
章の要約
第6章 具体的で整然とした一貫レシピ
SMaCレシピ
コラム デビツド・ブリーシャーズのSMaCレシピの材料
狂信的規律で同じSMaCレシピに固執する
SMaCレシピの変更ーパラノイアと創造的一貫性
一貫性と変化ー偉大な人間ストレス
章の要約
第7章 運の利益率
運なのか能力なのか
運の役割とは
運のコード化の具体例
コラム 最高の運は誰か
高い運の利益率(ROL)
■運を浪費するー幸運なのに低リターン
■10x型リーダが輝くー不運なのに高リターン
■絶対に避けなければならないー悪運で低リターン
運は戦略にあらず
章の要約
エピローグ 自分の意志で偉大になる
よくある質問
解説 コリンズとドラッカー 牧野洋 -
■10×型企業
A.10×型企業を率いるリーダーの特徴
1.狂信的規律:自らの信念を貫くため、狂信的ともいえるほどの厳しい規律を自分に課す。
2.実証的創造力:社会通念ではなく、実証的データをもとに、大胆で創造的な行動に出る。
3.建設パラノイア:良いとも悪い時も警戒を怠らない。
4.レベルファイブ野心:個人的な利益を超えて、世界に革新を起こすような大目標を掲げる。
B.10×型企業が用いる手法
1.20マイル行進:毎日20マイル歩くというように、長期にわたって一貫性を保ちながら、工程表に従って着々と進む。
2.銃撃に続いて大砲発射:イノベーションを展開するとき、銃撃してから大砲を撃つ。
すなわち、低コスト、低リスクの実証的テストを行った上で、目標に向けて経営資源を集中する。
3.死線を避けるリーダシップ:万一に備え手元資金を積み上げる、また、環境変化に注意しつつ目標を達成するなど、リスクの最小化に努める。 -
ドラッカーの後継者と言われるジム・コリンズによる、ビジョナリー・カンパニーシリーズの第4段。副題は「自分の意思で偉大になる」です。
初めてビジョナリー・カンパニーシリーズを読みましたが、とても興味深い話が満載でした。特に不確かな事で、一気に情勢を変えてしまうことが多くなってきた昨今、これからの未来の企業はどうあるべきか、分かりやすく説明してくれます。
7つの業界から、成長する企業と成長できなかった企業を対にして書いてあるので、とても理論に納得がいきます。
同じ時代を歩む企業だが、かたや右肩上がりで成長する企業、優れた技術を持ちながら成長できなかった起業。それが何故なのかが、この本を読むと分かります。
結局は自分の意志で未来を決めていくのだけど、未来は予測できない。(ある程度の予測はできるが、想定外の不確かな事が起きることがある)どんな困難な事が起きたときでも、それに惑わされず邁進していくにはどうしたらいいのかが書いてあります。
企業の一貫性・永続性こそが、どんな逆境の中でも偉大になるポイント。個人でそのような一貫性や永続性を持つことも難しいのに、それを企業で持ち続けるということは、トップのぶれないビジョンや行動、それを社員に浸透し遂行させる必要があります。それがどれだけ大変なことか想像がつきません。
個人的には第7章の「運の利益率」を興味深く読むことができました。運を幸運に変えることができるのか、できないのか。ただ運が良かったと言ってしまえばそれで終わりなことも、10倍型企業は常日頃から自分を見失わずに邁進しているので、運がやってきたときにそれを形にし飛躍できる。それを自分に置き換えると、数々のチャンスを逃していたのに気付きます。それは運が悪かったのではなく、常日頃からの行動に問題があり、その運が来たときにその運の重大性に気付けず、数々のチャンスを逃してしまったのでしょう。
経営学の本としてだけでなく、自己啓発本としてもお薦めの1冊です。 -
イノベーション至上主義のなか、偉大な会社は必ずしも突出したイノベーテイブな会社内ではないという研究結果は新しい視点だった。イノベーションは閾値れべるでよく、やはりインプリメンテーションが大事ということか。
それを会社の一貫性のなかにどうのせられるか。SMaCやイノベーションの規律とバランスなど自分の視座をすこしあげてもらえたきがする