砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet

  • KADOKAWA(富士見書房)
3.76
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本棚登録 : 1596
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784829176344

作品紹介・あらすじ

子供はみんな兵士で、この世は生き残りゲームで。砂糖菓子の弾丸で世界と戦おうとした少女たち…。稀世の物語作家・桜庭一樹の原点となる青春暗黒小説。

感想・レビュー・書評

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  • 人生は戦いでもあり、現実はなかなか思うようにいかないものです。
    あなたは戦いを放棄していませんか?
    あきらめていませんか?
    不条理だと思っても強く生きなければなりません。
    そこに悲しい絶望があっても。

    砂糖菓子の弾丸では現実を打ち抜くことができません。
    実弾を持って戦いましょう。

    読めばこの言葉の意味が分かると思います。
    心を打ち抜くような、とても良い作品です。ぜひ、一度。


    所在:楽しむコーナー
    請求記号:913.6:Sa46

  • 海野藻屑というひとりの少女がはなった砂糖菓子でできた弾のお話。

    生活能力がなく、なにかに頼らないといけないので、実弾はうてない、うてるのは砂糖菓子でできた弾だけということ。

    標的は、自分の弾が刺さりそうな相手。
    つまり主人公。
    標的を感じ取った藻屑は、弾を撃ちまくる。

    弾としてうったのは、言葉と行動。
    でも所詮、砂糖菓子、普通にうっても、撃ちぬけない。
    この場合、当たるだけじゃダメ。
    きちんと撃ちぬかないと。
    砂糖菓子で撃ちぬくには、ひとのもっとも柔らかいところを撃たないと、、、
    そして、それには、すべてのガードをあげさせて、柔らかいところをさらけ出させなければ、、、

    この話は、撃ちぬけたかどうか、読み手によって、解釈が異なると思います。

    僕は、絶対、撃ちぬいた派
    だから、撃たれたひとの人生が変わった

    ただ、砂糖菓子でできているから、撃たれたことに気がつかなかっただけ、、、

    せつない

  • 読んだ後、心が痛くて、しんどくて、感想が書けなかった。というか、健忘レベルで脳がストーリーを忘れにかかっていて、皆さんのレビューでなんとなくストーリーを思い出したレベル。斧とかウサギとか、わんことか…本当に描写がリアルで辛かった。ヤングケアラー、DV、貧富の差、もうなにもかも、解決したいのに解決できない問題ばかりが立ち塞がって、大人である私は、私たちは、何をしているんだと思わされる。でも、出会うべくして出会った作品だと思い、心に刻みます。

  • 生き抜くために戦える実弾を求めるなぎさと、飴玉を武器に日々をしのぐ藻屑。しかし少女たちの放つ弱い弾丸では世界の何をも変えられやしない。切ないガールミーツガール。
    子どもには安心して生きられる環境が必要だけど、それを求めるどころか知ることすらないまま未来を諦めてしまう姿が見えて、やるせなさでつらい。
    でもラスト、己を守る神の皮を脱ぎ捨てて、なぎさを守る兄へ戻った友彦と、頼りなさげ見えて思いのほか、しっかり信念を込めた弾丸を備えていた先生の姿勢に胸がアツくなっちゃったよ。ふたりとも神でもヒーローでもなくて力及ばずだったけど、ただそれでも守ろうとしてくれる大人はいるんだって、希望を感じるエンディングだったので私が安心した。なぎさも安心できたかなぁ。
    子どもたちが不安を水や砂糖菓子で誤魔化したりしないで済むよう、安心を教えてあげられる大人でありたいね…そのためにも、心に残しておきたいと思うお話だった。

  • 虐待を受けているが親を愛している中学生の話。桜庭一樹の作品は初めて読んだが、ライトノベルのような読みやすさだった。
    登場人物が分かりやすく中2っぽいのだが、親からの虐待を隠すための嘘が散りばめられていて悲しい。虐待されているのに親をかばってしまうのはストックホルム症候群と似ているという話は、確かにその通りだと思った。洗脳から抜け出せないのはつらい。
    そこまで必要か?というほど残酷な描写が度々出てくるので、少し読むのがしんどかった。

  • 砂糖菓子の弾丸→ロリポップ。
    海野藻屑って藻屑って子供につける名前としてはどうなのか?と思いつつ読む。不思議な子。
    中学生の女の子。辛い。
    山田なぎさは、兄が引きこもりで、高校へは進学せずに就職(自衛隊)しようと思ってる。
    東京から転校してきた藻屑。世の中は残酷なのにとても明るかった。
    藻屑が言ったことは、嘘なのか?本当なのか?信じることは出来なかったけれど、母親から聞かされた話で、色々な事が繋がる。
    結末から始まったので、わかってはいたが、辛いラスト。

  • 『華氏451度』に出てくる人々のように、私自身が本になるなら、きっとこの本を選ぶだろうと思います。

  • 転校生の海野藻屑は、とても可愛いけれど変なことばかり言っている。彼女に興味を示さなかった山田なぎさは、なぜか藻屑に友達になれと言われる。なぎさは、美しいけれどひきこもりの兄を抱えていたのに、藻屑にまでつきまとわれて、いらいらがつのっていく。彼女が、殺されることになるなんて知らないで。
    いや、すごかった。タイトルと富士見ミステリー文庫の表紙を見て、んー、読むの後でいいかな……と控えていたのだが、これはその後の、直木賞作家桜庭一樹の原型だなあと納得しました。最初こそ、一般的な中学生の日常が描かれていくけれど、後半はすごかった。作者はあとがきでこの物語はあるときに降ってきたというように語っているのだが、こういうのが、降ってくるだけの土壌が、きちんと桜庭さんにはあったんだろうなあ、と思う。美しくて醜悪なもの、臭くて汚れないもの、そんな価値観では量れないもの。そんなものが世界には満ち溢れている、その世界を味あわないでなんとする、という読後感でした。よいものを読みました。おすすめです。つか、これを富士見ミステリー文庫で出した当時、よく見つけたよ!すごいよ!見つけた人。富士見ミステリー文庫もよく出した。感服する。

  • 【あらすじ】
    その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。あたし=中学生の山田なぎさは、子供という境遇に絶望し、一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にするべく、自衛官を志望していた。そんななぎさに、都会からの転校生、海野藻屑は何かと絡んでくる。嘘つきで残酷だが、どこか魅力的な藻屑となぎさは序々に親しくなっていく。だが、藻屑は日夜、父からの暴力に曝されており、ある日―。直木賞作家がおくる、切実な痛みに満ちた青春文学。

    【感想】

  • なんとも言えない読後の感覚。
    救われないような、救われるような。

    読み始めてすぐに、物語にグイっと引っ張り込まれて、そのまま、終わりまであっという間に連れて行かれたという感じでした。
    難しい本など、自分が読んで、進んでいくのですが、
    この本は、勝手に読んでしまっているという本なのに、受動的な感覚でいるというそれくらい魅力的な本です。
    読んでいて、色んな事を考えたし、ずしんときて、すごく良い本でした。
    本当に好きって絶望だし、殴り終わるのを待つか、死ぬ運命を受け入れる、という藻屑がリアルすぎて、悲しいけれど、心がぎゅーとなりました。

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著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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