こんとあき (日本傑作絵本シリーズ)

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  • 福音館書店
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感想 : 621
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  • Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834008302

感想・レビュー・書評

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  • 私自体が読むのが初めてで、展開がわからず、ドキドキしながら読んだ。
    この2人、どうなってしまうのか?大丈夫なの?寝る前なのに悲しい結末だったらどうしよう…。5歳の子どもも同じ気持ちだったようで、ときおり耳をふさいだり布団をかぶったり。最後まで読むと、なんと子どもは涙ぐんでいて「よかったー」「かんどうのおはなしだったね」と。感動して子どもが泣いているを見たのは初めて。その後繰り返し読みたがることはなかったけれど、良い経験だったと思う。

  • 久々に読みたくなって手に取った絵本。
    多くの人がそうであったように、子どものころ近くにあったぬいぐるみは私にとって友だちだった。きっとお気に入りのぬいぐるみや、思い出に残っている人形があなたにもいるだろう。あのふわふわの感触とか、しみついたにおい、すぐとなりに置いて寝たこと、そういう記憶が残っている人もいるはずだ。そして私たちはぬいぐるみと「会話」ができた。何かと話しかけ、自分にしか聞こえない声を聞きながら、見守ってくれた存在。私と姉ふたりには、「ロバン」という名前を付けたロバのぬいぐるみがちっちゃい頃からずっとそばにいて、背中に乗ったり、枕にしたり、ままごとに参加させたり、そういう一緒に遊んでくれる相棒であり、なんというか”頼りになる”存在だった。

    この絵本に出てくる「こん」はきつねのぬいぐるみで、あきと一緒にふたりで新幹線に乗り、からだを直してもらうためおばあちゃんの家へ向かうこととなる。そしてその目線は、まだ「声」が聞こえていた子どもの目線となっており、だからこの絵本のタイトルは『こんとあき』なのだろう。こんはあきに「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と言ってくれる。あきはそんなこんを大事に思っていて、ちょっと不安な気持ちになっても一緒にいられれば平気なのだ。そういう子どもの目線にたった視点がすばらしいなと感じる。

    子どもにとっての世界の大きさ、ちょっとしたことで胸がギュッと不安になる気持ち、そういう忘れてしまった感覚を、やさしい絵柄で、カラフルな色合いで見せてくれる。良い絵本だなあと思う。お弁当をドアの近くで食べてる絵の可愛らしさが印象に残っていたのだけど、読み直してみるとまわりのおとなたちがこんとあきのことをちゃんと気にかけてくれているのがわかり、心があたたかくなった。

    いまの自分が好きなものって遺伝や環境の影響から形成されたもののはずで、でも”自分で選んできた”という感覚もやっぱりある。そしてこの本を読んでると「ロードムービー」とか「ふたりだけの関係」とか「きつね」とかいま私が好きなものがたくさん入ってることに気づく。気づかないうちに絵本から影響を受けているものって思ってる以上にあるんだなあ。

    世界はとっても広くって、色んなことが待ち受けているけれど、怖がらなくていいんだよ。そんな風にやさしく語りかけてくる絵本です。

    • たけうちさん
      傘籤さん、こんばんは
      素敵な感想にほっこりしました
      自分が読んだ感想では、こんはドラえもんのような不思議だけど日常にとけ込んでる、たよりにな...
      傘籤さん、こんばんは
      素敵な感想にほっこりしました
      自分が読んだ感想では、こんはドラえもんのような不思議だけど日常にとけ込んでる、たよりになる存在としたのですが
      傘籤さんは子どもの頃の“友だち”という解釈にされたんですね
      そして傘籤さんのロバンのお話もいいですね! ロバのロバン…コミカルでありつつ、バロン(男爵)を連想する高貴さもあってすてきなネーミングです
      お姉さんが名付け親なんですか?
      うちにもネズミのねず、カエルのかる、きょうりゅうのぺーぺーなどがおりました 子どもの頃は無限に遊んでましたね…
      2024/03/06
    • 傘籤さん
      たけうちさん、おはようございます。
      たけうちさんの感想を読んでいたらまた読みたくなってしまいました。おそらく子どものころの私もそんなふうに、...
      たけうちさん、おはようございます。
      たけうちさんの感想を読んでいたらまた読みたくなってしまいました。おそらく子どものころの私もそんなふうに、ドラえもんみたいな”親しみやすくもすこしふしぎな存在”として捉えていたと思うのですが、いま改めて読んでみると、「会話ができたころの友だち」という様にも読めるなあと感じました。
      ロバンを誉めてもらえて嬉しいです。名前は誰が付けたのかな……。気づいたらふたりそろって「ロバン、ロバン」と呼んでましたねえ。
      ネズミのねず、カエルのかる、きょうりゅうのペーペー。みんないい名前ですね!子どものころの集中力とか没頭する能力とか妄想力ってすごいなあとしみじみ思います。
      2024/03/06
  • あきが生まれる前からベビーベッドそばで待っていた、こん♡こん♡なんて愛らしいの♡
    だから、こんはお兄ちゃんなんだよね。ずっとあきを見守って、一緒に遊んだり、引き摺られたりして…やがてあきのほうが大きくなって、こんはボロボロになったけれど、「だいじょうぶ。おばあちゃんに直してもらいに行けばいいから」。
    こんを作ってくれたおばあちゃんに会いにいくため、あきはこんと二人だけで、電車に乗って砂丘町に旅に出ました。
    子どもだけの旅は不安だけれど、平気平気。こんが「大丈夫だよ」って言ってくれる。駅弁を買いに行ってくれて、電車に乗り遅れそうになって、扉にしっぽを挟まれても「だいじょうぶ、だいじょうぶ」。砂丘で犬に咥えられて、行方不明になって、あきが泣きながら砂丘の砂を掘り返してこんを見つけ出した時も「だいじょうぶ、だいじょうぶ」。
    やっと夕闇の中迎えに来てくれたおばあちゃんに抱きついた、こんとあき。
    「しっぽがぺちゃんこになったときはお風呂がいちばん」とお風呂に入れられる時には「いやだよー」とこんは逃げそうになった。
    でも三人で気持ちよくお風呂に入り、無事こんは、優しいおばあちゃんにチクチク、チクチクと直してもらいました。

  • 親になってからであって、こどもたち三人とも大好きだった作品。諳んじるくらい読んだし、こんの口ぐせ「だいじょうぶ、だいじょうぶ」を始めお話の一節のあれこれは今も折りに触れ口をついてでてくる。
    赤ちゃんが生まれてくるときに贈られ待っててくれたぬいぐるみがその子の成長を見守り、はじめてのひとり旅をエスコートするという展開で、子どもは主人公のあきちゃんに同化してこんとの旅をたしかに体験していたと思う。

    挿絵のあちこちに本好きにはたまらないいろんなお楽しみが隠されているのは、何十回も読まされる大人へのささやかな贈りものかな。子どもたちも大人になっていつか読み返すときにはいろいろ発見するだろうか。

  • 林明子さんの作品の素晴らしさは知っており、そしてこの作品のタイトルも知っていたのですが、拝見出来てなくて大変申し訳なかったです
    とっても良かった、素晴らしい作品です
    こんって、きつねのぬいぐるみだったんですね
    まず冒頭が、こんの型紙の絵から始まるのがかわいいし、こんは赤ちゃんが産まれたお祝いのぬいぐるみだった、ということもほっこりです
    そして、あくまで当たり前のように、こんは赤ちゃんのあきちゃんの面倒を、お兄さんのように見続けます
    何かもう、そんな冒頭部分だけで泣けてきます
    そして、あきちゃんが小学生になるちょっと前くらいなのかな? こんのほころびた腕を治してもらいに、おばあちゃんの家まで旅行をする、それが『こんとあき』の物語ですが、こんが動いて喋ってあきちゃんの面倒をみることが、この世界ではごく当たり前のように描かれて、こんが電車の切符を用意したり駅弁を買いに行ったりもします かわいい
    そしておそらく、こんは人間で言う小学生2~3年生くらいの中身のように感じます だから、あきちゃんの面倒をしっかり見てあげてるけど、上手く行かないこともたくさんあって、でもこんはそのたびに「だいじょうぶ、だいじょうぶ」って言うんです……
    そんなこんを慕って、頼りにして、でもいざと言う時にはこんを守って歩くあきちゃん…
    『こんとあき』というタイトルがこれ以上ない、素晴らしいものだなあ、よかったなあって、また泣けてしまったのでした

    それにしても、林明子さんの絵がほんとに素晴らしいです
    新幹線に乗ってる他の人たちが、別アングルでもちゃんと出てくるところとか、終盤近くの砂丘の表現とか、場面別にこんがしょんぼりしてたりパリッとしてたりする微細な変化とか、絵の見ごたえも凄すぎる、傑作ですね

  • 3歳7ヶ月

  • ぬいぐるみのこんと人間の女の子のあきが、こんをなおしてもらうために汽車に乗っておばあちゃんに会いに行くお話です。こんもあきもかわいいです(*´∀`*)

  • 大好き。
    昭和なママは昔懐かしくて。
    子どもも、電車と優しい雰囲気が好きみたい。

  • しっぽのくだり、とても気に入ってました!5回くらい「もう一回読んで」とリクエストされました(6歳4ヶ月)

  • 絵が好き。

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著者プロフィール

林明子

「2013年 『文庫版 魔女の宅急便 全6冊』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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