どろぼうのどろぼん (福音館創作童話シリーズ)

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  • 福音館書店
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感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834081220

感想・レビュー・書評

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  • 「チョコレートやクッキーの缶に入れといわれても困りますけれど。でもそれが家だったらどこへだって入れますよ。どろぼんはどろぼうの天才。どろぼんは「もの」の声を聞くことができる。どろぼんは絶対に捕まらない。これは、ぼくがどろぼんから聞いた話。今まで盗んできたもののこと。その「もの」たちの声のこと。そして、絶対に捕まらないどろぼんが、あの雨の日の午後、あじさいの咲き誇る庭で、どうしてぼくに捕まったのか。

    読んであげるなら ―
    自分で読むなら 小学高学年から」

  • すごく静かな話。
    すごく好きな話。

  • 「だれでもみんなまちがうし、その小さな無数のまちがいがあつまって、世界はできている。
    そのぜんぶを一気になんとかすることはできなくて、ただ自分の近くにあるまちがいによりそい、手をさしのべるしかないんだ」
    そうやってみんなが生きていれば、世界はなんてあたたかく幸せなんだろう・・・
    斎藤倫さん、いつもながら言葉がとてもきれい。

  • やっぱり詩人の方の書かれる長編小説ってどっか独特だなああ…

  • どろぼんは「もの」の声が聞こえる。どろぼうの天才だ。絶対に捕まらなかったどろぼんが、ぼく(刑事)につかまった。どうしてなのか。どろぼんの供述を聞く形で物語は進んでいく。

    必要とされていない、なくなっても誰も気がつかない、なんなら自分がなくなってしまったほうがいいと思っている「もの」の声が聞こえるどろぼんは、その不思議な力でどろぼうをしてきた。詩人の方の文章だからか、音・リズムが印象的な言葉が出てきた。繊細で優しいおはなし。

    作中でものといきものはそもそもちがう世界にあるものであり、どちらかの声を聞けば、どちらかの声は失うことになる、と言われている。ものの寂しさや悲しさに耳を傾けて救ってきたのに、いきものの声に耳を傾けて救うことと、何がそこまで変わってしまうのか、いまだに考えている。一方的な感情から双方向的なやりとりに変わっていくことが大きいのかな。
    これまで受動的にものの声を聞いて生きてきたどろぼんが、持ち寄られる悲しさや寂しさだけでなく、よぞらを通して信頼されることを経験する。その中で、自分からどの声を聴くのか能動的に選んで、変わっていく。

  • 評価が高く、勧められて読んだが合わず、つまらなかった。

  • ものの声が聞こえるどろぼん。それは持ち主に必要とされなくなっているものたちの声。そんなものたちの声をひろってどろぼうをするどろぼん。でもある日偶然つかまってしまって。刑事さんたちに今までのどろぼうエピソードを語るどろぼん。読んでいくうちに刑事さんたちと同じようにどんどんどろぼんの話にのめり込み夢中になった。どろぼんも刑事さんたちも優しくてユーモアがあってちゃんといい心を持っている人たち。いい物語。なんだかしみる。満たされた。どろぼんのどろぼうはだれも不幸にしない。挿絵も装丁も素敵で効果的。この物語にぴったりだった。子どもたちにもいいな。

  • 持ち主が忘れてしまったことも忘れているものを盗む。それがどろぼん。

    ものを大切にしよう、とおもった。

    捨てることさえ忘れているもの、、あるかもね。

  • これも完璧である。
    さらに、こんな…こんな刑事さんとどろぼうとか…もう。

    この作者さんは保護犬のこととかわかってるんだなぁ、と泣けてくる。
    ほんと、信頼されたら裏切らない、ですよ。

  • 読んでいると涙が出そうになるのはとてもとてもあたたかくて優しいからかな。
    よぞら、なまえもすてきだ。
    装丁も絵があちこちにあってとてもきれい。わくわくする。

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著者プロフィール

斉藤倫 詩人。『どろぼうのどろぼん』(福音館書店)で、第48回児童文学者協会新人賞、第64回小学館児童出版文化賞を受賞。おもな作品に『せなか町から、ずっと』『クリスマスがちかづくと』『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』『さいごのゆうれい』(以上福音館書店)、『レディオワン』(光村図書)、『あしたもオカピ』(偕成社)、『新月の子どもたち』(ブロンズ新社)』絵本『とうだい』(絵 小池アミイゴ/福音館書店)、うきまるとの共作で『はるとあき』(絵 吉田尚令/小学館)、『のせのせ せーの!』(絵 くのまり/ブロンズ新社)などがある。

「2022年 『私立探検家学園2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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