- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834081220
感想・レビュー・書評
-
「チョコレートやクッキーの缶に入れといわれても困りますけれど。でもそれが家だったらどこへだって入れますよ。どろぼんはどろぼうの天才。どろぼんは「もの」の声を聞くことができる。どろぼんは絶対に捕まらない。これは、ぼくがどろぼんから聞いた話。今まで盗んできたもののこと。その「もの」たちの声のこと。そして、絶対に捕まらないどろぼんが、あの雨の日の午後、あじさいの咲き誇る庭で、どうしてぼくに捕まったのか。
読んであげるなら ―
自分で読むなら 小学高学年から」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
すごく静かな話。
すごく好きな話。 -
「だれでもみんなまちがうし、その小さな無数のまちがいがあつまって、世界はできている。
そのぜんぶを一気になんとかすることはできなくて、ただ自分の近くにあるまちがいによりそい、手をさしのべるしかないんだ」
そうやってみんなが生きていれば、世界はなんてあたたかく幸せなんだろう・・・
斎藤倫さん、いつもながら言葉がとてもきれい。 -
やっぱり詩人の方の書かれる長編小説ってどっか独特だなああ…
-
どろぼんは「もの」の声が聞こえる。どろぼうの天才だ。絶対に捕まらなかったどろぼんが、ぼく(刑事)につかまった。どうしてなのか。どろぼんの供述を聞く形で物語は進んでいく。
必要とされていない、なくなっても誰も気がつかない、なんなら自分がなくなってしまったほうがいいと思っている「もの」の声が聞こえるどろぼんは、その不思議な力でどろぼうをしてきた。詩人の方の文章だからか、音・リズムが印象的な言葉が出てきた。繊細で優しいおはなし。
作中でものといきものはそもそもちがう世界にあるものであり、どちらかの声を聞けば、どちらかの声は失うことになる、と言われている。ものの寂しさや悲しさに耳を傾けて救ってきたのに、いきものの声に耳を傾けて救うことと、何がそこまで変わってしまうのか、いまだに考えている。一方的な感情から双方向的なやりとりに変わっていくことが大きいのかな。
これまで受動的にものの声を聞いて生きてきたどろぼんが、持ち寄られる悲しさや寂しさだけでなく、よぞらを通して信頼されることを経験する。その中で、自分からどの声を聴くのか能動的に選んで、変わっていく。 -
評価が高く、勧められて読んだが合わず、つまらなかった。
-
ものの声が聞こえるどろぼん。それは持ち主に必要とされなくなっているものたちの声。そんなものたちの声をひろってどろぼうをするどろぼん。でもある日偶然つかまってしまって。刑事さんたちに今までのどろぼうエピソードを語るどろぼん。読んでいくうちに刑事さんたちと同じようにどんどんどろぼんの話にのめり込み夢中になった。どろぼんも刑事さんたちも優しくてユーモアがあってちゃんといい心を持っている人たち。いい物語。なんだかしみる。満たされた。どろぼんのどろぼうはだれも不幸にしない。挿絵も装丁も素敵で効果的。この物語にぴったりだった。子どもたちにもいいな。
-
持ち主が忘れてしまったことも忘れているものを盗む。それがどろぼん。
ものを大切にしよう、とおもった。
捨てることさえ忘れているもの、、あるかもね。