どろぼうのどろぼん (福音館創作童話シリーズ)

著者 :
  • 福音館書店
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感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834081220

感想・レビュー・書評

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  • 美しいお話だった。
    悪い人がいない。
    どろぼんのお父さん、お母さんのたまよさんも置き去りにされていた赤ん坊のどろぼんを、当然のようには育てている。
    どろぼんもチボリさんもしあわせになってほしい。

  • どろぼん、えらい… 。そして、ラストは、感動。
    私もものの声聞いてみたい。

  • 読んでみて意外。こんなにしっかり刑事ものだとは思ってなかった。取調室や部下との遣り取り、どろぼんを捜索するくだりなんかは、完全に刑事小説。
    面白かった。
    どろぼんの能力にまつわる部分は確かにファンタジーなのだけど、ひょっとしたら、そんなこともあるかもなんて思ってしまう。先を想像させられる終わり方もいい。
    呪文が出てくるのは児童書らしいけれど、それも言葉遊びになっていて楽しい。擬音語のようなものの声もシンプルなのに、ぐっとくるものがある。

  • どろぼんはどろぼうの天才です

    背が高くもなく低くもなく
    ふとってもやせてもおらず
    十代かもしれないし五十代かもしれず
    たしかに会ったことがあるはずなのに
    顔も声も思い出せなくなってしまう
    そんな男です

    ですから千回もどろぼうしているけれど
    ケイサツにつかまったりおいかけられたりしたことがありません

    それだけでなく、どろぼんがぬすむのは
    持ちぬしが、それがあったことさえおぼえていないもの
    なくなったことさえ気づかないものばかり

    どろぼんはそういうものの声を聞ききとることができるので
    耳をすませて声のみちびくままにどこへだって忍び込み
    だれにも気づかれることなくぬすみ出してしまえるのです

    そんなどろぼんを刑事のぼくはつかまえてしまいました
    さあ、どろぼんの取り調べがはじまります

    人が信じられなくなった人に贈る心ふるえる物語
    詩人斉藤倫の初の長編物語、2014年刊

  • とっぱじめ、まさかの捕まる場面からスタートでビックリ。
    そのあとすぐに両親の話があって面白そうだなって思うんだけど、
    二日目の話に「鋭い言葉」。もやもやと気分が悪くなって、
    そこから一気に読みたい気持ちが萎んでしまった。

    なんとなく詩的な表現の物語だな、と思っていたら、
    どうやら著者が詩人家さんだったのね。納得。

    結構二日目の話の直接的な表現でダメージをくらっていたので、
    とりあえず惰性で読み進めたのですが、
    七日目のお話はとても好き。
    元気づけられて最後まで読み進めることができました。

    私が子供のころにこのお話を読めただろうか?
    という疑問には、NOだと思う。
    ファンタジーの冒険ものが大好きだった私にとって、
    このお話は単調でのんびりと進みすぎている気がして。
    ただ、大人になった今出会えたことはよかったなって思う。

    最後のハラハラ・わくわく・ドキドキする感じ。
    心がホカホカする感じ。とっても良かったです!

  • なーんかきれいな色の表紙だなあっと手にとる。
    と、中の挿絵も素晴らしかった!
    特に公園で赤ちゃんに出会うシーン。感動的な美しさである。
    おはなしも素敵だ。
    よくみたら斉藤倫さんだった。
    なるほど、納得。
    この人、めちゃ好きだ、と再度確認。
    確か詩人さんってあった気がするんだが、どんな詩をかかれるのか興味深々。

    ものの声がきこえるどろぼう。
    忘れられ、見向きもされないものたちが
    助けを請うように呼びかける声。
    あることすら忘れられているんだから
    盗んだところで、誰も気づかない。
    なるほどー、だから捕まらないのねー。
    でも、お話は冒頭、そのどろぼんが捕まるところから始まるのだ。
    ものの声といきものの声、
    どろぼんはこれから両方を聞いていけるのだろうか?

    ふしぎなじゅもんのような唄のような、
    どろぼうどろぼん、の旋律がどこからか聞こえてこないか、
    ふと歩きながら耳をすませたくなる一冊。

  • 福音館のFacebookで紹介されていて気になったので、借りてみた。
    わくわくする装丁!牡丹靖佳さん、覚えておこう。

    静かに、ゆったりと流れる、ちょっと不思議などろぼうの話。素敵だ。
    止まらず読んだ。
    最後に泣いてしまった。
    やさしい、おはなし。
    読み終えた余韻がすごくて、これが消えてしまうのがもったいなくて、何もできない。どうしよう…。

    良い本には大人向けも子ども向けもないのだ、と改めて思った。
    言葉が美しいと思ったら、詩人の方の作品なのですね。詩も読んでみたい。

  • 忘れ去られたモノの声に導かれて盗んでしまうどろぼうのどろぼん。モノに溢れた現代でその大切さや、逆に執着をなくすことを教えてくれるお話だった。

  • この作品に限らず、本当に好きな部分がある作品は必ず論理で片付かない部分がある(しっかりと感想を残しておきたかったからレポートの題材に選んで、テーマ(どろぼんは、あわいの存在ではないか、というもの)を自分で設定して書けたから、それはそれで良いけれど)。
     論理で片付かない部分を自分だけで反芻しているときが一番幸せな時間だという気がする。良さをひとと共有できるまで、自分の中の言葉を探す喜びもずいぶん分かってきたけれど。
     例えば「どろぼん」を読んで、モノの声が聞こえる事は凄くさみしいと同時に全然さみしくないなと思ったこと。人は心の中や家の中に森を隠していると思うと、楽しい面白いと同時に恐ろしいしさみしいだろうと想像した(人の持っている森が「まとまり」で維持されているかどうかは、他人にはわかりにくいから)こと。こういう事はどうやって書いたらいいんだ。

  • 必要とされなくなった「もの」の声が聞こえる、どろぼん。
    「もの」の声に導かれるように「もの」を盗み出す。
    そんなどろぼんが、ある雨の日、刑事に捕まる。
    というより、目が合った刑事に、逮捕してくださいと言わんばかりに手を差し出した。
    取り調べで語られる「どろぼう歴」。
    どろぼんの話に引き込まれる刑事。
    優しい雰囲気に包まれた、優しい物語でした。

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著者プロフィール

斉藤倫 詩人。『どろぼうのどろぼん』(福音館書店)で、第48回児童文学者協会新人賞、第64回小学館児童出版文化賞を受賞。おもな作品に『せなか町から、ずっと』『クリスマスがちかづくと』『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』『さいごのゆうれい』(以上福音館書店)、『レディオワン』(光村図書)、『あしたもオカピ』(偕成社)、『新月の子どもたち』(ブロンズ新社)』絵本『とうだい』(絵 小池アミイゴ/福音館書店)、うきまるとの共作で『はるとあき』(絵 吉田尚令/小学館)、『のせのせ せーの!』(絵 くのまり/ブロンズ新社)などがある。

「2022年 『私立探検家学園2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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