- Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
- / ISBN・EAN: 9784838713660
作品紹介・あらすじ
カトリック系女子高校に通う17歳たち3人の「秘めごと」のゆくえ。
感想・レビュー・書評
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わたしにとって誰かを好きだと認識する瞬間というのは、そのひとが普段は見せない孤独、闇、翳りといったものを、ふとした拍子に垣間見た瞬間、に一致する。
そういう意味で主人公の女の子たちに無性に惹かれるわたしがいる。彼女たちは自分の奥底に秘めた暗い重たい闇を、決して外には見せないけれど、それを読者のわたしは一番近いところで読むことが出来るから。
自分を認めてもらいたいという願いだとか、破壊に対する甘美な衝動だとか、どうしたって報われることのない想いだとか。「共感」というには少し違う気がするけれど、彼女たちの抱える闇はそのままわたし自身にも当てはめることが出来そうで、心が痛い。
「花の咲かぬ土地を誰が不毛と決めたのか。」
ドロドロしたまま生きてゆくという、これがひとつの結論なのかしら。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
多感な年頃って自分の世界がとても狭くて、だからこそ抱える闇の深さにはまって底のない沼に落ちたかのような絶望感に陥ってしまう。世界はもっともっと広くて自分のそんな闇なんて本当にちっぽけなんだって気がつくのは一体いつだったろうか(ああでも那由多の場合はちっぽけでないけど)。那由多、翠、淑子、3人の心の奥に潜む秘密。那由多と翠の関係性が特に良くてかなり好き。男が決して入り込めない女子同士の、妙に確立した世界観がこの二人にあって読んでいてうっとりするくらい良かった。あとがき冒頭の小さなお話が可愛い。 (2011年9月読了)
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三浦しをんさんの作品はこれが初めて。少女視点じゃ違和感があるかもしれないけれど、個人的には好きな文体。
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独特の視線に惚れちゃった三浦しをん。
チョッとタイトルにドキドキしてこの本は未だ読んでいない、、、←妄想し過ぎ?独特の視線に惚れちゃった三浦しをん。
チョッとタイトルにドキドキしてこの本は未だ読んでいない、、、←妄想し過ぎ?2013/09/05
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カトリック系女子校に通う3人の少女が語り手になり3遍の物語り。性描写がストレートにあり、少し驚き。
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三浦しをん、、、おそるべし!
こんな小説も書けるんだぁ~~と、感心。
三人の女子高生が軸になっているのだが
それぞれに家族像が描かれ、家族からの影響も
色濃く描かれている。
女子高生と言う、華やかな、瑞々しい
はかなげでありながら、手も切れるような替刃のような
危険さも持ち合わせているこの年代の女子。
いったいどうなるんだろうと怖いような痛いような。
女子におすすめです!
共鳴できる感情が描かれていて
10代の頃の、目をつぶって階段を下りるような怖さ
引き込まれてしまいます。
ある意味、ホラーより怖し! -
吉田秋生の櫻の園を思い出した。あとなぜか川原泉の聖ミカエルシリーズも。
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3.7
横浜にある、幼稚舎から高校までの私立女子校・聖フランチェスカに通う女子校生・那由多、翠、淑子。
作者自身が語っているように少女漫画の世界感。
舞台背景や主人公達のキャラ設定から、原田マハさんの「でーれーガールズ」を思い出したのて、ちょっと調べたら花園の方が先でした。
マハさん、これ読んでインスパイアされてたり・・。
性別・年齢に依らず、
人は皆、己の中に潜む異常性に怯え、凡庸さに安堵し、醜さに嫌悪しているのだろうか? -
カトリック系の私立女子高に通う、那由多、翠、淑子の3人の視点から物語られる、決して他人には覗き見ることを許さない心の奥の物語。
密やかな愛と性と命の悩みが絡み合う彼女たちの心は、装丁に描かれた花々のよう。ひとつひとつはそれぞれ美しく、けれど黒に近い背景。
花が美しい事が、そんなにありがたいの?
それが私の望みと違う花なら、美しかろうが枯れていようが何の意味があるの?と問われているような気持ちになった。
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少女たちの生きてる記録…記憶?苦々しくて、おどろおどろしくて、鮮やかで。
弱いから、強くあらなきゃと思うのかな。
強いのかな。だから弱さに負けそうになるのかな。
みんな(3人の主人公)、誰かに寄りかかるようで、寄りかからない。
正しくひとりで、なんかしんみりした。
良かった。