漫画 君たちはどう生きるか

著者 :
  • マガジンハウス
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838729470

感想・レビュー・書評

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  • 【こんな話だった】
    多くの小さな「分子」が複雑に絡まりあってできているこの世界で生きている「私」はちっぽけだ。その中でこうして「活きていること」の謙虚さを忘れず、経験を積み、自分の魂にある感性に思い切りぶつかり、もがき、考え、「今」を生きよ。そして「今」いきているこの世に何が与えれるかを考え、時代をつくる「分子」となっていきなさい。

    【感想】
    どんな哲学書を読んでも、

    ・今を生きろ
    ・ギバーになれ(テイカーになるな)
    ・行動しろ、考えろ、そしてまた行動しろ

    みたいなことが書かれているから、やっぱり大切なことなんだろうな。

    本に出てきたおじさんが子供の好奇心に対して向き合ってくれていて、自分も子供ができたら、子供が感じたことに向き合えるおばさんになりたいな。

  • 『君たちは、どう生きるか。』

    人間は知らず知らずのうちに顔も知らない誰かと繋がっている。大きな流れの中で自分を見失わず生きていきたい。

  • 読むと、心が強くなる。最後には感動した。
    漫画化されているので、読みやすいのもgood!
    人間について悩んだ時、人生に迷った時、読んでみるといいかもしれません。

  • この物語は1937年に出版された、歴史的名著であるが、私は恥ずかしながら知らずにいた。
    帯には「池上彰が心から感動し、人生を決めた一冊」とある。

    漫画だからすぐに読めて、情景も目で見て分かるので、頭にすっと入ります。
    物語の概要をざっと言いますと、多感な主人公、コペル君の目を通して、人間としてあるべき姿を気付かせてくれる内容となっています。
    コペル君には近所に住む叔父さんがいます。その叔父さんが、コペル君を立派な人間にすべく導いてくれるのですが、この叔父さんがとても素敵なんですね。決して優しいだけじゃない。とても対等に、真剣に、敬意を持って、彼の立場を尊重して厳しく、どこまでも現実的に接してくれます。その背景には、コペル君の父親との約束もあるのだけれど。叔父さん自身も悩みを抱えて生きているのです。

    80年前の出版ですが、現代と何ら変わりない、普遍的なテーマです。読了してから、この物語のタイトルを改めて読みますと、居ても立っても居られない、そんな刺激を受けます。作中の言葉を借りると、「誰がなんと言ったって」自分の人生を見つめ直すチャンス。
    自己啓発本は世の中たくさんありますが、これは自分にとって特別な、珠玉の一冊となりました。

    この本を自宅で読んでいて、終盤に差し掛かったとき、妻が何の気なしにミスチルの「彩り」を再生しまして、なんだか妙にリンクしちゃって、光がさしたように感動しました。映画化でもされたら、是非主題歌にしてほしいです。

    変えられないことを考えるのをやめれば、余計な感情に足をとられない。
    いま自分がしなければならないことにまっすぐむかっていける。
    同じ間違いを二度くり返しちゃいけないよ、コペル君。

  • ものの見方や人間関係とはどんなものか。正しく、強く生きるとはどういうことか。
    コペル少年におじさんから贈る珠玉のアドバイスが詰まった本。
    1937年の作品であるが、その瑞々しさと輝きをもって 今も強く我々の心に 人間の在り方を語り掛ける。

    消えてしまいたい失敗をすることもある。
    なんとか言い訳を考えて、自分でそう認めまいとする。
    そんなときにこの言葉を思い出せば、失敗を受け止めて、またきっと歩き出せる。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    後悔ばかり押しよせるって言ったよね・・・。

    いま君は、大きな苦しみを感じている。
    なぜそれほど苦しまなければならないのか。
    それはね、
    君が正しい道に向かおうとしているからなんだ。
    「死んでしまいたい」と思うほど自分を責めるのは、
    君が正しい生き方を強く求めているからだ。
    きっと君は、自分を取り戻せる。
    あらたな一歩を踏み出すことができる。
    僕たち人間は、
    自分で自分を決定する力をもっているのだから。

    してしまったことをいくら思い返したって、相手がどう思っているかをいくら考えたって それは君に変えられることじゃない。
    だったら一度考えるのをやめてごらんよ。
    変えられないことを考えるのをやめれば 余計な感情に足をとられない・・・。
    いま自分がしなければならないことに まっすぐむかっていける。
    同じ間違いを二度と繰り返しちゃいけないよ。

    人間である限り、過ちは誰にだってある。
    そして、良心がしびれてしまわない以上、過ちを犯したという意識は苦しい思いをなめさせずにはいない。
    お互いに、この苦しい思いの中から、いつも新たな自信を汲み出してゆこうではないか。
    正しい道に従って歩いてゆく力があるから、こんな苦しみもあるのだと。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    元来真面目な私は、人の役に立つ人間になりたい、正しく生きたい、困った人は助けたいと思いながら、流されてしまうことが多い。
    次の言葉はそんな私の背中を押してくれる。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    「人類の進歩につくした人々」という本を読んでみたまえ。
    英雄や偉人と呼ばれる人々は、人間の生活を明るい美しいものに変える流れを、正しく押し進めてゆくために非凡な能力を発揮した。
    この流れにしっかりと結びついていない限り、どんな非凡な人のした事でも、非常にはかないものだということを知るに違いない。

    よい心がけをもっていながら、弱いばかりにその心がけを生かしきれないでいる、小さな善人がどんなに多いかということを、
    おいおいに知ってくるだろう。
    世間には悪い人ではないが、弱いばかりに、自分にも他人にも余計な不幸を招いている人が決して少なくない。
    人類の進歩と結びつかない英雄的精神も空しいが、英雄的な気魄を欠いた善良さも、同じように空しいことが多いのだ。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    人の不幸とはなんだろう、なぜ憎しみはつらいことなんだろう。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    けがや病気で苦痛を感じるということは、苦痛を感じることで、からだが正常の状態にないということを知るためなんだ。
    人間は本来、同志調和して生きてゆくべきものだからこそ、憎み合ったり、敵対することを苦しいと感じるのだ。
    人間は誰だって自分の才能を伸ばし、その才能に応じて働いてゆけるのが本当だから、そうでないとやり切れなくなるのだ。
    もちろん、自分勝手な欲望が満たされない人や、つまらない見栄にこだわって苦労している人もある。
    こういう人たちの不幸は、そういう欲望や虚栄心を捨てれば、それと同時になくなるものなんだ。
    その場合にも、人間は、自分勝手な欲望や見栄を張るべきではないという真理が、この不幸や苦痛のうしろにひそんでいる。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    ときに利己的な自分に気付きながら変えられないことや、自分の立ち位置が判らなくなることがある。
    そんなとき、次の言葉を思い出したい。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    たいがいの人が、手前勝手な考え方におちいって、ものの真相がわからなくなり、
    自分に都合のよいことだけを見てゆこうとするものなんだ。
    大きな真理は、そういう人の目には、決してうつらないのだ。
    君が、自分を広い広い世の中の小さな一分子だと感じたということは、ほんとうに大きなことだと、僕は思う。

    宇宙が地球を中心に回っていないように、世の中が自分を中心に回っているわけじゃないってこと。
    誰か一人の人間を中心に 世の中は回っているわけじゃない。
    世の中を回している中心なんて もしかしたらないのかもしれない。
    太陽みたいにたったひとつの大きな存在が世の中を回しているのではなくて
    誰かのためっていう 小さな意志が ひとつひとつ つながって 僕たちの生きる世界は動いている。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    コペル君は、こういう考えで生きてゆくようになりました。
    そして長い長いお話も、ひとまずこれで終わりです。
    そこで、最後に、みなさんにおたずねしたいと思います。

    君たちは、どう生きるか。

  • ものの見方についてが一番よかった。
    よく周りを見ずに、自分だけを見ていると、自分の都合の良いようにしか行動しないというように、堕ちていき、最終的には、世の中の本当のことを知ることができない。それは自分を成長させないし、まわりも離れていっちゃうから、世界を大きく見て、その世界の中にいる1人なんだと実感していきたいと思った。

    何年か前に読んだときは、何をいっているのか分からなかったが、今読むと、人間や生き方について書いてあるとても勉強になる本だった。

  • 印象に残ったおじさんの言葉
    「人間が人間同士、お互いに、好意をつくし、それを喜びとしているほど美しいことは、ほかにありはしない。そして、それが本当に人間らしい人間関係だと、――コペル君、君はそう思わないかしら。」

    「それだのに君は、いま何一つ、勉強を妨げるものはないじゃあないか。人類が何万年の努力を以って積み上げたものは、どれでも、君の勉強次第で自由に取れるのだ。」



  • 人は1人では生きれない。
    けど、関わってくれてる人全ての顔を知って
    繋がりをいつも認識している訳ではない。

    それを理解した上で、
    見返りや損得を考えず、
    他者との関わりを大切することは出来ているか?

    そして、人に流されてばかりではなく、
    自分の意思で、自分の生き様を選択する道を
    突き進める人間に、自分はなれているのか?

    子供だから、じゃなく
    大人でも、出来ないことがいっぱい。

    これを読んで、勇気をもらうというか、
    当たり前を当たり前に思ってはいけない。
    と、いい歳になったけど、改めて思った。

    ありがとうが、いつもあり得る訳じゃないから
    有難い、と理解して日々を過ごせているか。

    きっと幾つになっても響く
    大事なことがいっぱい書かれていました。

  • イラストがあることでスラスラ読む事が出来ました。仕事に対する取組み姿勢を変えてくれた良本です。一歩立ち止まって何の為に働くのか、生きるのかを考えさせられました。

  • コペル君に対して叔父が助言する形で話が進んでいく。

    後悔するような体験があったとしても、その経験があることで今後深みを持ち意識して生活ができる。
    だから、どんな後悔も必ず無駄にはならないし、今後の自分の人生に活かされると学びになりました。

    あとは今の時代はsnsやネットから影響を受けることが多く、自分がなくておざなりになっている人が多い。
    こんな時代だからこそ、自分で考え、自分の意思で意思決定して行動できる人間でありたいと思えた。
    どんな経験も必ず自分のためになると思えば、今後の人生いろんなことに挑戦できると思います。

  • 10代に出会いたかった本。

  • 心に残った言葉
    『死んでしまいたいと思うほど自分を責めるのは、君が正しい生き方を強く求めているからだ。』
    『変えられないことを考えるのをやめれば、余計な感情に足をとられない…いま自分がしなければならないことに、まっすぐ向かっていける。』

  • 当たり前のようなことに対しても、じっくりと観察し、考えることで、また新たな価値を見つけることができ、その価値を見つけることで、人の生き方は変わってくるということを分かりやすく教えてくれる本です。内容が易しいので、小学校中学年から大人まで、幅広い世代が読むことができます。

  • おもしろかったよ!
    明るい気持ちになった。
    見える世界が変わってみえるような。

    自分の生きている世界はとっても小さいのかもしれない。というのは、SNSに囚われている世界だからだ。私たちは手指さえ空けば、携帯をいじる。私もその中の一人だ。電車で周りを見渡して、むしろ読書や勉強をしている人の方が珍しい。特に若者は、ほとんどがSNSに登録している。別に悪いことではない。流行がいち早くわかり、友達のリアルタイムがわかり、または好きな芸能人のリアルタイムだってわかってしまう。でもそこにのめりこんでしまっては、もう自分が見えなくなってしまう。そんな人は多いのではないだろうか。

    この本は、人間は分子レベルで繋がっているというのが、最初からテーマで出ていた。誰一人無駄な人間はおらず、みんな繋がっている。だから、小さな見栄なんてちっぽけでしかないんだと。みんな同じ。そんなものを捨ててしまえば、羽が生えたように身軽に自分らしさを羽ばたかせることが出来るのではないだろうか。

    でもそれは簡単なことではない。コペルくんは、様々な経験を通し、たくさん考え、考え、また壁にぶつかり一人の人間としてやっと自立していこうとする。本書はコペルくんの目線でしか物語は進まないが、誰しもが最初から立派な人間なんて全く思えない。なんなら、まだまだ未熟な大人なんてうんといるはずだ。そこで、この広い世界の中に生きている一個人として認識出来たならば、もうそれは人生の勝ち組へと上がって行けるのではないだろうか。私はそう思う。

    最後にダメなところはダメと、しっかりおじさんが叱ってくれてよかった。私も改めて、自分に照らし合わせ、生き方を考えることができた。

    2019/11/03 01:54

  • 原作のいくつかのエピソード、登場人物は削られていた。しかしエッセンスはより抽出される形となった。最後の友人たちとの和解のシーンはよりドラマチックなものに仕立て上げられており、つまり幾分より漫画的になった。また原作にはない叔父さんや亡父のシーンが追加されたのも、恐らく同様の効果を狙ってのことだろう。
    心にビッダーンとした衝撃を残す良作。

  • 中高生に読んでほしいという帯のタイトルはまさにその通りだと思う。大人は中々考え方を変えることは出来ないだろうが、悩める中高生達にまさにおじさんから諭されるように、立派な大人になるためにはどう考えたら良いかを考えらされる本だと思う。自分が中高生の時に読んだらきっと色々悩んだ時にとても参考になっただろう。

  • もっと早く出会っておきたかった本。主人公の年齢で、この内容を理解できたかどうかは怪しいが、その頃からこういう考え方があると知っていたら、世の中の見え方が変わるんだろうな。

  • マンガだが、おじさんの手紙はほぼ内容がそのまま書かれているので読みごたえはあります。
    子どもには、このおじさんのような「いい大人」それも「斜め上の大人」が必要だというのは、昔からのわたしの持論です。
    今の時代はコペル君のように、立ち止まって自分の周りをみて考えることが求められている気がします。
    読み終わり、オバさん不覚にも泣きそうでした。

  • 2017年の大晦日に読む今年最後に読了した1冊。
    この国に微かながらも希望はあり続けると実感できる1冊。
    希望を捨てず、よき日のために、ともに生きよう。

  • ・人間が人間同志、お互いに、好意をつくし、それを喜びとしているほど美しいことは、ほかにありはしない。そして、それが本当に人間らしい人間関係だと、そうは思わないかしら。
    ・「ありがたい」「そうあることが難しい」
    ・生み出す働きこそ、人間を人間らしくしてくれるのだ。
    ・生み出してゆく人は、それを受け取る人々より、はるかに肝心な人なんだ。
    ・自分では気がつかないうちに、日々生み出しているものとは何か。
    ・僕たちは、自分で自分を決定する力をもっている。

著者プロフィール

編集者・児童文学者。1899(明治32)年〜1981(昭和56)年。
雑誌『世界』初代編集長。岩波少年文庫の創設にも尽力。


「2017年 『漫画 君たちはどう生きるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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