トーマの心臓 Lost heart for Thoma (ダ・ヴィンチブックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840128674

感想・レビュー・書評

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  • う~ん...
    と言うのが正直な感想。

    原作と設定とか色々違いすぎるのだけと、確かに「原作」と言える範囲の違いかな。
    なぜ日本なのかと言う疑問を持ったし、年齢設定もイマイチはっきりしない。
    「ゼミ」って事は大学?  でも高校生くらいかな...
    時代もイマイチ掴みきれない。

    あまりにも静かに淡々と語られる物語と台詞。
    前半は原作と読み比べちゃったりして少々批判的に読みましたが、後半に行くにしたがって、「これはこれだな」と読めるようになりました。
    日本でも「いいか」と言う感じになったし、青春物としては、そこまで嫌いではないかもしれない。
    森博嗣さんの文章ははじめてです。ちょっと淡々としすぎて、熱がこもっていそうな台詞なのに、温度を感じれなかった。ガラス越しな感じかな...

    オスカーの知りたがりとアンテの登場のさせ方が嫌です。
    アンテはとても大事なキャラだと思う。
    ユーリの解釈もこれでは原作と違いすぎる。
    妹も登場しないのは、もう別人でしょう。
    保健の先生もいらない...
    そして何より、トーマの詩は全て載せてもらいたい。
    トーマは全編を通して存在(?)していないと、タイトルの重さが感じられない。
    原作にあるコケティッシュさも皆無だし。やはり別物。

    望都先生の「トーマの心臓」は思春期に入りたての子供たちですが、この「トーマの心臓」は青春に入りたての少年たちと言った所。少々視点が違います。
    少々の視点の違いは大きく物語りの意味合いを変えますね。
    でも、オスカー視点で書かれているところはステキです。
    原作をオスカー目線で読み始めても、結局最後はエーリクかユーリになっちゃうんだもの。次回はがんばってオスカーで読み通してみましょう。


    これはこれです。
    まったく別の「トーマの心臓」と思うべし。
    批判的な感想だったかもしれませんが、別物と思えば、差ほど悪くはなかったです(笑)
    ただ、漫画を知らない人が読んだら、情報不足な部分も多いのではないかとも思います。

    思い入れの強い作品だけに、感想が長いな...
    「訪問者」が読みたくなった。

    (H22.1 図)

  • 図書館で読んで、すぐに家に取り寄せた一冊。
    恥ずかしながら私は原作「トーマの心臓」を一ページも読んだことがなく、森博嗣の小説を読みたいなあと思って手に取ったのですが、いやあー原作読みたくなった。相違点は多々あるみたいだけど。
    森さんの小説特有の「暗喩」、人物の行動や情景描写やあるいはセリフに措いても、えっ今のって!?と想像力を働かさせられる書き方がたまらない。たとえば、人物の本名が明かされないところとか。気になるけど、でもそこは明かしちゃいけないような気がする!ある意味で耽美の極みともいうのかもしれません。とはいえ、字面どおり美しさに耽る、というには始終(相変わらず)文章が乾いている。が、その奥底で滾るような感情を描けるのがすごい。

  • 冬の朝に死んでしまったトーマ。彼の死は上級生・ユーリへの恋心が招いた悲劇だったのだろうか。
    苦悩するユーリとその親友・オスカー。
    そんな時にトーマと瓜二つのエーリクが転校してきて…。


    昔よく読んでいた漫画が小説化していたので、つい手にとってしまった。

    漫画がユーリとエーリク中心だったのに対し、こちらはユーリとオスカー中心のお話し。
    エーリクが少し大人っぽく(途中から急に大人びた?)、オスカーが少し若く描かれている。

    ページ数の関係からか、エピソードの内容や家族構成、舞台が日本であったり等、所々原作とは事なっている。
    幼い時から原作のファンなのもあって、「『トーマの心臓』の小説版」としては少し違和感を感じた。

    ただ、静かで落ち着いた透明な空気や、賢くて感受性が豊かな若者たちの描写がすごい。

    原作を別の角度から読めるという点では良いが、始めての人には本書だけでなく、必ず原作も読んで欲しい一冊。

  • 森博嗣初読‥‥と言っていいのか? 萩尾望都なので手に取りました。原作は勿論読んでます。
    一応BLなんだけど、オスカーの偽らない端的な語り口や、原作で印象的な場面もさらりと削られているため、全体的に作品を包んでいる静かな雰囲気が、BL感を与えません、と思うのは腐女子だからかも知れませんが。
    あーここ意識して書いたのかな、ってシーンはいくつもあるんだけどやはり控えめというかなんというか、やはり違う気がする、と思うのは腐女子だからかも知れませんが。
    爽やかとか綺麗とはまたちょっと違う、青春らしい誠実さがあります。
    読後感も良い。面白かった。

  • ノベライズだけど、原作と色々違うのが良い。
    オスカーってこんなこと考えていたのか、と新鮮。
    学校が日本、というより生徒は基本的に日本人のよう。
    ドイツのギムナジウムではないのか・・・?
    全体を通して「トーマが死んだ日の朝」の様な空気。
    エーリクって意外と優等生だな。
    舞台→原作→小説の順で接触したので、人物像がちょっとちぐはぐ。

  • ユーリを心配するオスカー。
    読んでいて、「青春時代特有のいらだち」
    という言葉が浮かんだ。

    同時に、大学の友人が、梶井基次郎の『檸檬』という作品を読んだ感想が、同じ「青春時代特有のいらだち」だったことを思い出した。

    マンガの原作を読んでいないので、原作に忠実かどうかとかは、分かりません。ただ、森さんの、ひんやりした、隙のない綺麗な文章は好き。たまにお祭りとかで見かける、中に生花が埋め込まれた氷のオブジェみたいな文章だなぁ。

  • 漫画として名前だけは知っていたが、まさか小説として初めて触れることになるとは思わなかった。森氏の文体と人物描写はそこまで好きでもないし、恐らく原作通りであろうストーリーもやや陰鬱で、それでもおもしろく読み終えてしまえたのだから、さすがに作品としては完成度が高いのだと思う。

  • 原作とは設定が違うけれど、そこに意義がある。
    本当に綺麗な物語だった。

    これは受け付けない人もいるんだろうなと、感想を検索してみたら、主に萩尾望都ファンが批判していて、やっぱりなと思った。
    確実に森先生はそう言われることも織り込み済みだっただろう。

  • この小説を読むほとんどの人が元の「トーマの心臓」を読んでいると思うから、ハードルはとても高くなってしまうのがこの小説の悲しいところ(しょうがないとも言えるけど)。
    「トーマの心臓」という世界が全て文字で表されている分より詳しく登場人物の心情が知れたり、世界観をより深く堪能できたのは良かったかな。

    漫画「トーマの心臓」は、トーマの死を巡るユリスモールの葛藤と成長が軸となっているけど、小説「トーマの心臓」はそれを見つめるオスカーやエーリクの葛藤と成長であり、学校での青春の1ページであり、子どもから大人への成長の記録でもある。

    あまりにも伝説過ぎる漫画と比べてしまうから評価もまちまちになるのかもしれないけど、私は読んで良かったなと思った。あくまで別の作品だと割り切れて、「トーマの心臓」の世界をもっと深く掘り下げたい方におすすめ。

  • 文体は美しい。女々しいホモばかり出てきて気持ち悪い。

  • 死んだ下級生とそっくりな転校生。ルームメイトとぼくの関係。
    児童文学よんだあとのような気分。
    C0093

  • 原作を学生の頃に繰り返し読み、その魅力に取りつかれました。大人になって間をおいていたのもあり、森さんの小説版も十分に楽しめました。萩尾望都は1頁で多くを表現できる類まれな漫画家で、私もトーマの心臓のコマの中に多くの想像を逞して、自分だけの物語にしています。今回森さんの作品への想いと洞察、表現を受け取ることによって、違う角度から『トーマの心臓』を補完できた気がします。ある意味新鮮で、ある意味懐かしく、良い読書体験でした。面白かった。また原作を再読して、新しい情報を整理したいです。

  • 漫画と小説でけっこう受ける印象違うんだなぁ。漫画のノベライズはそんなに珍しくありませんが、こうもあちこち弄って、でも漂う雰囲気を変えずにすむのは、すごいことなのではないだろうかとしみじみ……ふつうどっちも好きになれることってあんまりなくないですか??

  • 僕にできるかどうかわかりませんけれど、彼のことを理解したいのです。

    理解したいのは、君の欲望だ。彼がそれを望んでいるかどうか、わからないじゃないか。理解したい、助けてやりたい、そういう気持ちはわかる。しかし、よく考えてごらん。それを望んでいるのは、すべて君個人なんだ。君のエゴなんだ。理解しあいたいのはわかるけれど、なにもかもを知ることが、本当に理解だろうか。

    彼が受けた仕打ちのどこまでを、彼は自分の口から言葉として出すことができただろう?想像してごらん。言えるか?心に受けたものまで、すべてを話せるものか?肉体的なこと、外見上何があったのか、というだけではわからない。傷口を見ても、傷の痛みはわからないんだ。そんなものが、言葉になると思うかい?言葉を聞いたところで、知ったことになるのか?理解したいと君は言ったが、理解なんてできるはすがないじゃないか。

  • なんだか、のらりくらりで・・・
    モヤモヤだけ残った

  • 寮生活をする男子校。日本国内なのに外国人みたいなあだ名で呼び合っているのが面白い。
    友人の死、母の死等々、嫌いだといいつつも、友の痛みを分かち合い、また告白することで心を整理し乗り越える。
    青春だなあ・・・。

  • 原作漫画は読んだことがないのだけど、名前はよく聞く作品を。本作の大ファンの森博嗣が名作をノベライズ。BLの元祖だとかいう話を聞くけど、思ったより嫌悪感はなかった。外国の小説を読んでるみたいだった。2013/024

  • オスカー語りの「トーマの心臓」。森博嗣版。
    自分のことやユーリやエーリクや周囲のこと、そこから少し離れたエピソードもあり、原作の補完のように読んだ。
    みんな本当にいい子たちばかりで、いろいろあるけど、それぞれ形は違うけど、幸せだよね。

    でも場所が日本て…文章でイラストも望都さんだからマンガのイメージで普通に読めたけど、日本人だとしたらどうなのよこれ…。

    昔から何度も読んできたものの、少年愛というジャンルはまだよくわからない。でも森さん風味でそこは多少薄まってはいた。

    途中からコミックス(文庫版)読みながら読んだら微妙に違ってて頭ごちゃごちゃしてきた。

    追記。校医がマリア先生って女性になってたのはやはり森さん風味だね。女っ気ないからなぁ。母親の年齢の人しか出てないとか。

  • 原作がある作品だとは思っていませんでした。
    マンガが原作だそうですが、そちらを知らないので原作に対してどうかという感想は言えません。
    ただ、森氏の作品としては雰囲気が違うな、という感じはありました。

    全体の雰囲気としては恩田女史の『麦の海に沈む果実』に似ている印象を受けました。
    話の内容ではなく、あくまでも作品の雰囲気が。

    どことなく切ない作品でした。

  • ミステリーなのかホラーなのかわならなかったけど、それを期待しつつ読んだ。先が気になったが、期待しすぎたのか、え、そんだけ?となっちゃった。でも面白いとは思ったし、原作も気になる。男子高校生を美化しすぎだろ!とも思いました。笑

  • 原作の漫画は未読。
    多感な少年の、ちょっとした心の動き。普通だったら見逃してしまいそうなそれを、きちんと「言葉」という形で落としこんでいる点が凄いなと思った。

  • 原作が好きだったのでこちらも。

    透き通るような世界観。
    端的ですっと心に落ちてくるような文章もとても心地よかったです。
    賛否両論あるようですが、ユーリの秘密を最後までぼかしたままだったことも、作品を美しいままにさせた一因のように私は思いました。

    ただ、なぜ舞台を日本にしてしまったのか...。
    正直日本であることが物語に影響を与えたようには感じる場面はなかったし、原作通りでよかったような。

  • 萩尾望都の原作の、戦前日本パラレル。それに伴ってか、具体的・表面的なエピソードはけっこう替えられたり削られたりしている(例えばキスするシーンはひとつもない)けれど、コレジャナイ感は無く読めた。
    「あの好きなシーンが無い」とかはあったけれど。
    森博嗣はまぁまぁ好き、原作大好きで読んで、満足。森博嗣らしさにアレルギーが無いなら読んで損は無いと思う。逆に原作未読でこれ読んでどう思うかは、不安かも。

    パラレル化で、良い意味で生々しいというか、心の痛みに、ドキッとするリアルがあるように思った。

    オスカーの一人称で語られていて、原作のオスカー→ユーリの気持ちが補完された感じ。逆に、トーマとユーリの話はあまりピックアップはされていない。解のひとつを示されて、原作の世界が深まった/広まったように思う。

    こちらのオスカーは、トーマの遺書を読まないから、トーマを考えるぶんもユーリを考えてるのかもなぁ。

  • 原作は未読でしたが読んでみました。
    全体的にきれいな雰囲気。耽美で輝いて見えました。少年たちの悩みや葛藤が羨ましい。森博嗣先生の作品も、萩尾望都先生の作品もどちらも読んだことがないので、どちらの雰囲気に近い作品なのかは全然わかりませんが、森先生も萩尾先生の作品ももっと読んでみたくなりました。

  • 原作と何が違っているとかは些末な問題だと思う。

    かかれている感情の透明さは変わらない。

    エーリクは練ちゃんみたいだった。

    ユーリもオスカーもエーリクも、みんな幸せであってほしい。

  • 面白かったけれど、原作にはやはり劣る。

  • この本が出たころ私はちょうど野田秀樹の『半神』にはまっていて、その流れでこの本も借りた気がする。高いからという理由で文庫版?ノベライズ版?のほうを買ってしまったんだけれど今思えばブックオフでこの表紙を買えばよかった。
    森博嗣さんのことがよく分かっていないので、原作の雰囲気をどう変えているかがうまく言葉に出来ない。数学的な静謐さ?

    参考 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%AE%E5%8D%9A%E5%97%A3

  • 原作に触れぬままこの小説を読んだ。
    とりあえず、原作の興味を惹くように書かれた小説に感じられた。
    だからと言って、その静謐な森イズムは失われてはいない。
    (逆に言えば、萩尾望都の影響があるといえるのかも知れないが)

    原作と未接触のまま結論を出すのは早急かもしれない。
    しかし、極めて純度の高い二次創作であることは間違いだろう。

  • ――「もっと学べば、もっと先のことが見えてくるだろう。人間に考えられないものなんて、なにひとつない。考えられない、わからないものがあるとしたら、それは、考えようとしないだけの話だ。わかろうとしないだけのことだ。覚えておくといい」‥‥ワーグナ教授の言葉が突き刺さった!原作未読。そしてトーマが死んだ理由がよくわからない;読解力不足。何回か読み直そうと思った

  • 2013.04.17

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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