キーリVIII死者たちは荒野に永眠る(上) (電撃文庫 か 10-9)
- メディアワークス (2006年2月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840233071
作品紹介・あらすじ
どうか、お願いです、この惑星に奇跡の力を持った誰かがいるのなら。来年も、その次の年も、その先もずっと、みんなが一緒にいられますように-キーリとハーヴェイは、ラジオの兵長を直すための旅の途中、首都治安部隊に捕まった。彼らはキーリを実の父親に会わすと言う。迷った末に、キーリは(監視付きで)ハーヴェイ、兵長と一緒に首都に向かう。移動の列車でヨアヒムも現れ、無理やりキーリたちと同行する。しかし、この首都行きが、キーリ、ハーヴェイ、兵長、そしてベアトリクスやヨアヒムの運命までも決めることになる。シリーズ完結エピソード"死者たちは荒野に永眠る"は(上)(下)巻構成。
感想・レビュー・書評
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キーリ、ハーヴェイ、兵長の三人は、キーリの父親だという、教会の最高機関・長老会の第十一老シグリ・ロウの呼び出しにおうじて、首都へと向かいます。これに、長老会のメンバーたちに対する復讐を企てるヨアヒムも加わります。ところが、彼らの乗る列車に、ラボが作り出した化け物が襲いかかってきます。戦いに巻き込まれたハーヴェイは、キーリとヨアヒムを先に行かせることを決意します。
ようやく首都にたどり着いたキーリを迎えたシグリ・ロウは、不死人の殺害を命じラボで醜い怪物を作り出した悪の化身などではなく、妻と娘を捨てて今の地位を得たことの罪悪感に苛まれる、一人の弱い男にすぎませんでした。キーリは父の謝罪をはねつけますが、彼を心の底から憎むこともできません。ただ、ハーヴェイの運命に対する悲しみだけが、彼女の心を締めつけます。
やがてハーヴェイも首都にやってきて、シグリ・ロウに保護されていたベアトリクスとも再会を果たします。ところが、首都にラボから逃げ出した化け物が現われ、町は混乱に陥ります。シグリ・ロウのもとに現れたヨアヒムも、代替の〈核〉の寿命が尽き、ハーヴェイに看取られながら最期の時を迎えます。
「あとがき」によると、ヨアヒムは著者のお気に入りのキャラクターとのことで、ハーヴェイのダーク・サイドっぽい彼の振舞いが光っています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
みんな変わったなあと、特にハーヴェイ。みんなで帰れますように。
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図書館で。
よあひむ… -
最終章への扉は開かれた…シリーズ第8巻。
読了日:2007.09.17
分 類:ライトノベル
ページ:289P
価 格:550円
発行日:2006年2月発行
出版社:電撃文庫
評 定:★★★+
●作品データ●
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主人公 : キーリ/ハーヴェイ他
語り口 : 3人称
ジャンル: ライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : 暗め、幻想、退廃的
結 末 : つづく
イラスト:田上 俊介
デザイン:Yoshihiko Kamabe
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---【100字紹介】-----------------
首都治安部隊に捕まったキーリたち。
キーリの実の父親が首都に招聘しているという。
監視付きで首都へ向かうキーリたちに、
ヨアヒムまで同行してきた。
敵地と思い乗り込んだ教会本部で、
キーリの過去が明らかになる…
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「キーリ」第8巻。ついに最終章です。前作は、最終章へのプレリュード的な感じで、事態がどんどん悪化して行く方向に進んでいた気がしますが(まあ、最後は何とか持ち直した…というか持ち直さないと、あのまま全滅で最終回くらいの勢いでしたが)、今回はもう最終章ですから、いけるところまでいってやれー状態。唐突に最初からヨアヒムが登場しますし、ベアトリクスも大活躍!です。もちろん、ハーヴェイも。
最後の最後でまた旅ものを、ということか、第一章は列車の旅。でも簡単には幸せになれないようです。本作はこれまでの縮小版、色々あったことをとにかくまとめにかかりながら規模を小さくしてリプレイ、という感じ。
また、最終章だから落ちが必要、ということもあり一人ずつ、書き足りなかったらしいところが補強され、最後への道筋を描き始めています。
特に、最初に結末が見えてくるのがヨアヒム。彼の思い出は、5・6巻の「はじまりの白日の庭」でも登場していますが、かなり表面的でした。これまで何度も登場し、色々なことが分かっているのにも関わらず本人の内面にはそれほど肉薄してきていないキャラ。結局、彼にとって思い出はあまり重要ではなかったのかも。ハーヴェイは過去、思い出、記憶…の中から、心に色々なものを得ましたが、ヨアヒムにはそういう描写が殆ど登場しなかったし、そして必要なかったのだな、と気付きました。彼は、自分を理解するのに過去を必要としていなかったわけです。読んでいて十分リアリティがあったというか、こういうキャラもありだな、と。結構書き辛いキャラではないか、と菜の花は思ったのですが、あとがきによると「微妙に狂ってるとことかが書きやすくて作者的にも非常にお気に入りのキャラでした」ということです。か…書きやすいんだー…。
ベアトリクスは、今回初めて「生きていた頃」の記憶が断片的に登場してきました。やっぱり不死人は「生きていた頃」に一番幸せだった時間が詰め込まれているのかな…と。ああ、でもハーヴェイの「生きていた頃」って、十分不幸でどうしようもない時間だったんだっけ…。そう考えると、ベアトリクスは結構幸せな人だったのかな。いや、でもそうとは言い切れないけれど…。というか、ついにこの人にもそんな「過去」が思い出されてくるなんてちょっと不吉な前触れですよ!このまま彼女まで退場なんてことに…。と、不安になりつつ、本作でのキーリとベアトリクスの関係は、ちょっと微笑ましくて、唯一のオアシスと言ってもいいくらい、平和な感じがしました。タイトルも「いつか、彼女が幸せだったころ」って、何となく泣かせるよーな、でもちょっとあったかい感じじゃないですか。
そしてキーリ(とセツリ)。運命に翻弄されていますね。今回は父親との再会と、幼き頃の思い出など、情報は新たなものが押し寄せてきますが、その割には彼女自身があまり印象に残らず。不死人たちの印象が強烈だったのか。ハーヴェイだって、兵長を拾っているシーンなんか、涙なくしては読めませんよ!(別に泣かずに読みましたけど)ユリウスとのやりとりだって!うーん、主人公、頑張れ!
さて、次回は本当に本当の最終巻です。これがどう落とされるのか…、何となく予想をしているのですが、出来れば予想は外れてほしいなあと切に願っています。菜の花の予想は外れるのか、それとも当たってしまうのか…、それは次作読了後のお楽しみ。
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文章・描写 :★★★★
展開・結末 :★★★+
キャラクタ :★★★+
独 自 性 :★★★+
読 後 感 :★★★
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菜の花の一押しキャラ…ハーヴェイ
「でも…そういうことを本気で信じられるお前は、素直にすげえと俺は思うよ」
(ハーヴェイ、ユリウス) -
この巻がいちばんすきかも。これの下巻はラストというより、エピローグ的な要素が多い気がするし、この巻が山場というか、そんな気がする。
ヨアヒム…好みだ…ひょうひょうとしてて、ふざけて見せるんだけど葛藤があって。不死人って言ったって、人と関わって生きていくんだから、しかもそれが周りよりずっと長くて、嫌でもいろんなこと考えなくちゃならないんだから、ヨアヒムはハーヴェイたちは人間よりよっぽど人間っぽいんだと思うな。今度こそヨアヒムが安らかに眠れますように。読んだらそう願わずにはいられない。 -
最終章。ヨアヒムに泣いた。
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えぇえぇぇぇぇ、ヨヨヨヨヨヨアヒムーーーー!泣
そして兵長は…?まさか…?このまま? -
Thanks to T.T.
Thanks to T.M. -
――どうか、お願いす、この惑星に奇跡の力を持った誰かがいるのなら。来年も、その次の年も、その先もずっと、みんなが一緒にいられますように――
キーリとハーヴェイは、ラジオの兵長を直すための旅の途中、首都治安部隊に捕まった。彼らはキーリを実の父親に会わすと言う。迷った末に、キーリは〈監視付きで〉ハーヴェイ、兵長と一緒に首都に向かう。移動の列車でヨアヒムも現れ、無理やりキーリたちと同行する。しあkし、この首都行きが、キーリ、ハーヴェイ、兵長、そしてベアトリクスやヨアヒムの運命までも決めることになる。 -
あ〜ついに最終章に入ってしまいました。なんか最近ヨアヒム好きなんですけど。壊れてるけど、なんか切ないし。久々ベアトリクスも出てきたし。兵長はこのまま壊れてしまうのでしょうね。悲しい。あとはラストどう持っていくのか!?これに尽きます。というか、これですべてが決まる!!ヘンな終わり方しないでと願うばかりです。