- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784845629848
感想・レビュー・書評
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「ゴシックとは何か」を分析、テーマごとに代表作をあげて解説した1冊。おもに文学、絵画、アニメの分野。なるほど、と思う部分7割と、それはどうかな?こじつけすぎじゃない?という部分3割くらいで全面的に共感とはいかない。まあそこは、ゴシックの定義は人それぞれ。この著者はどうもゴシックというにはグロ=猟奇残酷系に片寄りすぎているきらいはある。私の個人的な嗜好がどちらかというと幻想耽美寄りだから、この著者が編集したゴシックアンソロジー本を読んだときも、これゴシックじゃなくてただのグロじゃね?というものが混じっていて気になったっけ。
あとタイトルが「ゴシックハート」なのは別にかまわないのだけれど、文中でまるでクラスタかなんかのように「ゴシックハートは○○だと感じるのだ」みたいな使い方されてるのはちょっと恥ずかしかった。ゴシックなマインドを持ったひとたちってニュアンスはわかるんだけど「私の中のゴシックハート」「ぼくたち、きみたちゴシックハート仲間」みたいな括りにされるとちょっと痒くなってくる(苦笑)これは自戒でもあるけど、あんまり主張すると「他人とは感性の違う自分大好き」な中2病みたいになってきちゃうし、そういう意味ではこの本もエピローグでの著者の自分(の友達)語りとかちょっと微妙だった。
音楽に関しては別に1冊、洋楽、邦楽それぞれ専門家が必要だろうなと思います。
参考までに帯の目次。
1 ゴシックの精神――ゴシック・ロマンス ゴシック・ロック ゴス
2 人外――中井英夫 江戸川乱歩 『フランケンシュタイン』「吸血鬼」
3 怪奇と恐怖――『アッシャー家の崩壊』 ホラー小説
4 様式美――三島由紀夫 澁澤龍彦 建石修志 村上芳正 シジスモンディ
5 残酷――『責苦の庭』 大蘇芳年 サド
6 身体――『降格機動隊』 『銃夢』 『ヘルター・スケルター』
7 猟奇――E・A・ポオ 海野十三 S・キング
8 異形――楳図かずお 『のろいの館』 『みにくい悪魔』 『おそれ』
9 両性具有――マリリン・マンソン 浅田彰 『ポルポリーノ』
10 人形――ベルメール 四谷シモン 三浦悦子 マリオ・アンブロスィウス
11 廃虚と終末――フリードリヒ 『デビルマン』 『新世紀エヴァンゲリオン』
12 幻想――キャリントン バロ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
5年くらい寝かせてたのをやっと読みました。今読めて良かったです。当時の自分が読んでもうまく消化出来なかったと思います。自分が描く絵が好きなものの、自分でもうまく掴み切れていなかったのですがあれらはゴシックだったんだな…と腑に落ちました。あの時表紙買いした自分に感謝
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ゴシックに興味があり、有識者の友人に借りた本。初心者のわたしでも入ってきやすい内容で面白くて一気に読んでしまった。今までゴシックが好き、という自覚はなかったのですが好きな作家や作品が本書で多く登場し、無意識にわたしにもゴシックハートがあったんだな…と
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まさにこんな本が読みたかった! 読めて嬉しい!
ゴシックな人も、そしてゴシックになにか惹かれるものを感じる人(自分はこっち)には是非とも読んで欲しい一作!
自分は理解力が全く無いので、評論は正直何言ってるか分からない部分も多くて、難しい言葉も特に調べないで流して読んだけど、それでも雰囲気はとても気に入ったし、ゴシックにまつわる様々な分野に触れることができて、流し読みでも全然面白い!
こう言う、「黒い知識」って言うのかな、ゴシックに関連する色々な知識を持っている人って羨ましい! また、それが学べる楽しさがこの本には詰まってると思う。
紹介されたゴシック作品、触れてみようと思います。-
【追記】
私がこの本を読了し、感想を投稿してから8か月程度経ちましたが、私の本棚は、ブクログを始めたばかりの頃とは、かなりの変貌を遂げまし...【追記】
私がこの本を読了し、感想を投稿してから8か月程度経ちましたが、私の本棚は、ブクログを始めたばかりの頃とは、かなりの変貌を遂げました(笑)。澁澤龍彦やハンス・ベルメール、恋月姫、清水真理、丸尾末広や谷崎潤一郎、江戸川乱歩、美術雑誌・・・・・・と、そのどれもが、この本で高原さんが取り上げていた‟ゴシック‟に関係するものばかりになったのです! そして、8か月たっても尚、これらの魅力に飽きを感じることはまったくないのです。澁澤龍彦やハンス・ベルメールに出逢うことが出来たのは、間違いなくこの本で、断言することができます、この本は私の人生を変えた! ‟ゴシックハート”を持つものとして、この本は私の永遠の聖書なのです!2021/10/31
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第6章の身体が面白かった。エピローグで落ち込んだ。
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高原英理によるゴシックに関する評論集。2004年に発行された単行本も読んだ記憶があるのですが、久しぶりに文庫で復刊したので手にとってみました。人外、怪奇、様式美、残酷、身体、猟奇、異形、両性具有、人形、廃墟と10のテーマで語られています。書き直しは一部の情報アップデートにとどまっています。最近はあまりゴシック的な作品を読まなくなったのですが、特に古さも感じなかったので、ゴシックという精神が不変なのか、時代が変わっていないのか、それともまだ少しはゴシックハートが残っているのかな。
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気になるアーバンギャルドの浜崎容子さんが解説を書かれてるということで本作を知って手にしましたが、とても面白かったです。ホラーやスプラッタがダメなわたしなのですが、わたしの中にも確かにゴシックハートはあると気付かされました。評論の中で取り上げられる作品たち、実際に好んでいる作品があったり、気になっている作品があったり。自分ではナチュラル志向だと思っていましたが、好むものはゴシックなんだな…と改めて思いました。ゴシックをすごくしっくりくる表現で論じてあって好きです。目次の並びを見るだけで眼福です。
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四半世紀前に幻想文学新人賞を受賞した方が評論を書かれている書物があるの聞き及んではいたが、今年に入って文庫化されたのが本書。ゴシックロマンスの名作からサド、エドガーポー、江戸川乱歩に三島由紀夫、海野十三、そして中井英夫、澁澤龍彦…かと思うとアニメ作品まで語ってるのは同年代だなぁと笑ってしまう。
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『ゴシック』についての長編評論。
単行本の刊行は2004年らしい。当時の状況を考えると珍しいというか、類書は余りなかったのでは?
文庫にしては凝った装丁も良かった。