- Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
- / ISBN・EAN: 9784846005252
感想・レビュー・書評
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ジョセフィン・ティの作品、ほんと好きです。訳されても文章がとても上品です。レイズ体育大学を舞台した女子学生たちの様子がこまやかに描かれています。
グラント警部シリーズと比べると、事件はずっと後半に起こるのですが、それまで苦にならずほんとすらすら読めて楽しい。訳者のあと書きにありますが、「無実の人間が受ける迫害」「公平な裁きの難しさ」がテーマです。もっとこの人の作品を読みたかったです。亡くなっているのがとても残念な作家です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
女子校(体育大学)でのお話。おもしろかった。どのキャラも特徴があり、キラキラと輝くように生き生きと描写されている。四使徒好き。前半過ぎ(事件が起きる)までは学生生活とキャラ紹介に費やされている。長い日常の描写は退屈にも感じられるが、キャラの魅力で持ちこたえられた。また、この前半の丁寧な描写の積み重ねが後半と結末にじわじわと効いてくる。最後のどんでん返しに驚かされた。後味の悪い結末と言えるかもしれないが、読後感は悪くない。ドラマ(よりはアニメかな)など映像化向きかも。
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ジョセフィン・テイの魅力は、解説にあるように、「無実の人間が受ける迫害」と「公正な裁きのむずかしさ」というテーマだからもしれない。グラント警部ものではなく自分の母校を訪れた女性が主人公の女子大(?)もの。
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「時の娘」で有名なテイの1946年の作品。
体育教師だった経験を生かして〜元体育教師のベストセラー作家ミス・ピムが探偵役。旧友が学長をつとめる名門の女子体育大学で講演するために訪問、卒業公演まで滞在することになります。
孤独がちなルーシー・ピムは若々しい生徒達に素直な好意を向けられて、幸せを感じるのですが、じつは卒業試験や就職問題でぴりぴりしている学内では、少しずつ問題が現れてきます。
名門の出で華やかなボー、群を抜いて優秀なイネス、ダンスが得意なラテン系のデステロ、おっちょこちょいのデイカーズ、クラスから浮いているが学長のお気に入りのラウス…
それぞれの行く道はどうなるのか?
学内の雰囲気や、生徒たちの個性が生き生きと描かれて、生々しいほど上手いです。
事件だけでなく人間の多面性を描いたノン・シリーズの先駆というか〜
ミス・ピムは巻き込まれ型なので〜最初の見込みが違っていても、仕方がないのか…ちょっと、その辺見えてしまいますけどね?
「魔性の馬」の方が感じ良さでは上ですけど、じゅうぶん読み甲斐はありました。