ピカデリーパズル (論創海外ミステリ)

制作 : 波多野健 
  • 論創社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784846016586

感想・レビュー・書評

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  • 中編2つ、短篇3つを収録。表題作の中編『ピカデリーパズル』は1889年発表の作品。探偵小説というジャンルの黎明期に、読みようによっては多重解決モノの気配も感じさせてくれる作品。ただ、解決案を次々と同じ探偵役に述べさせているため、巻末解説でも触れてるとおり、優秀な筈の探偵役が場当たり的に解決案を出してるだけで、事件に翻弄されて滑稽に見えちゃうってのが残念か。
    もう一つの中編『小人が棲む室』はミステリと言うより、ロマンス、メロドラマ系の印象(コリンズの『白衣の女』みたいなジャンル)。とある青年の出生の謎、恩人の娘への恋、一族にまつわる小人の伝説と、外連味たっぷりで面白かった。
    短篇3つ「緑玉の神様と株式仲買人」「幽霊の手触り」「紅蓮のダンサー」も、ネタが見え見えのところはありますが、メロドラマや幻想文学と融合した作品として楽しめて良。

  • いかにも論創ミステリらしい、変わり種の一冊。一世紀も前の作品なのだから、古臭いのは当然だが、どうもあまり楽しめなかった。レトロな味わいを醸し出す狙いなのかもしれないとは思うものの、訳が何だかヘン。今になってこれを読む意味ってあるのかなあ。

  • 「ピカデリーパズル」:毒殺され発見された女性。彼女の死には情事のもつれが関係していたようだが、果たして何が起こったのか?

    ゴシップ通の口癖で冒頭辟易させられるものの、このプロットならこの長さとしっかりした構成力のある著者の手腕を堪能。

    「緑玉の神様と株式仲買人」:解説の言う名探偵批判精神があっても、真相判明の切っ掛けが…そこは使い回さないでほしかった。

    「幽霊の手触り」:"泊まると死ぬ部屋"の古典作品。可もなく不可もなく。

    「紅蓮のダンサー」:踊り子の恋人を殺した男が、
    復讐に精神を蝕まれていく。

    開き直って幻想文学を目指した結果なのか筆が生き生きとしている。

    「小人が棲む室」:貴族の生まれでは?と勘繰られやすいバイオリン弾き。彼の出自は如何なるものなのか。ひょんなことから小人が代々生まれる一族の小人と知り合い…

    前作を経て本領発揮の好作。王道ながらツボを押さえたロマンチックな物語。

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著者プロフィール

1859〜1932。イギリスの作家。代表作はヴィクトリア朝の大ベストセラーとなった『二輪馬車の秘密』(1886)など。

「2016年 『質屋探偵ヘイガー・スタンリーの事件簿 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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