謎の独立国家ソマリランド

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  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860112387

感想・レビュー・書評

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  • 旧ソマリア国は三国志状態。ソマリの伝統的な停戦方法は、原因は問わず、被害という事実関係で賠償が行われ、手打ちされる。
    ソマリランドは海外からの個人の仕送りで成り立っている。
    残念なことに長すぎる。途中で飽きてしまう。

  • ソマリアという危険極まりない辺境の地で、奥深く完全に現地に溶け込んで取材したからこそ書ける圧倒的なリアリティのノンフィクション。
    普通に面白く読める。

  •  すでにあちこちの書評で絶賛されている話題のノンフィクション。たしかに面白く、500ページ超の大著を一気読みした。

     ソマリランドはアフリカ大陸東端のいわゆる「アフリカの角」に位置する国。ただし、国際的には独立国家として承認されておらず、ソマリアの一部とみなされている。

     紛争地域にあるにもかかわらず、ソマリランドはあたかも「台風の目」のように、奇跡的な平和を保っている。そればかりか、民主主義もきちんと機能しており、平和的な政権交代も成し遂げられたという。
     なぜそれが可能だったのか? その謎を探るため、ノンフィクション作家の著者が現地に乗り込み、果敢な取材をつづけて書き上げたのが本書である。

     ……というと、眉根にシワ寄せた感じの堅苦しい社会派ルポを想像する向きが多いだろう。
     だが、そうではない。著者の筆致はあくまで軽妙洒脱。仰天エピソードの連打でグイグイ読者を引っ張り、最後まで飽きさせないポップで楽しいノンフィクションになっているのだ。

     著者はソマリランドのみならず、より危険な南部ソマリアや海賊国家(ホントに海賊がいる。てゆーか、海賊が主要産業みたいになっている)プントランドという隣接国にも取材に赴く。そして、命を危険にさらすような目にも何度か遭う。それでも、著者は九死に一生を得た体験すら、ユーモアにくるんで飄々と綴っている。

     帯には、「西欧民主主義、敗れたり!!」という印象的な惹句が躍っている。この惹句のとおり、我々が生きる西欧型民主主義社会の常識では推し量れない突飛な出来事が、次から次へと登場する。そして、常識外れのやり方をしているにもかかわらず、ソマリランドの民主主義はちゃんと機能しているのだ。

     読みながら、「民主主義とは何か?」「国家とは何か?」という根源的な問いが、おのずと頭に浮かんでくる。
     世界のありようは、我々が考えているよりもはるかに多彩だ。……そんなことを改めて痛感させ、「世界が変わって見える」驚愕のノンフィクションである。

  • ソマリランドの存在は昔から知っていて、当然気になっていて読んでみました。

    当たり前だが、日本の常識、欧米の常識が人間の常識ではない。
    「氏族社会」、この本で初めてそれを知りました。
    決して分かりやすく説明されてはいないけど、今のソマリアを知るうえでの信頼できる相当量な情報が書かれている一冊であることには間違いないだろう。

  • 【展示用コメント】
     内戦激しいアフリカの角を中から見てみた

    【北大蔵書目録へのリンク】
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_details.cgi?lang=0&amode=11&place=&bibid=2001623853&key=B151608132524756&start=1&srmode=0&srmode=0#

  • ソマリランド、プントランド、南部ソマリアへと行った人の記録で、書き方が面白いのでグイグイ読ませる。
    ソマリの文化に染まっていって日本の常識を相対化してくれる。
    海賊の背景にあるもの、ソマリの文化と歴史、カート食べるとどうなるかとか、真面目な話からおふざけな話まで色々勉強になる。

  • 本当は「ハードボイルド室町時代」の方を読みたかったのだが、さすがにその前にこっちの有名本読んでないとまずいかなと。
    異文化モノにカテゴライズしたけど「アフリカのこんな辺境にはこんな珍しい風習が…」といった世界ビックリ列伝みたいのではない。読んで、コミュニティデザインの参考書みたいと思った。この手の本ではよく、どこかの自治体のささやかな成功事例などを紹介してるが、こっちの本は共感や理解には程遠い気がするアフリカの、さらになんかヤバそうなソマリランドが舞台。ソマリ人社会は確かに日本人と全然違うのだが、にも関わらず、彼らの国の動かし方を知ると「ウチでも取り入れた方が」とか「こっちのやり方の方がいいんじゃないの?」とか思ってしまう。なんかソマリランドのやり方の方がシンプルで洗練されてる気がしてくる。民主国家のあり方、国とは何か、国と国民、なんて、普段は絶対に見向きもしないテーマが実はこの本の背骨になっていて、すごく自然とそういうお堅いとされる事を考えてる自分に気づく。なんか底知れないものがこの本には潜んでいます。
    あと、遊牧民気質の私にはソマリ人は共感するところが多々あった。拉致文化にも納得してしまった。世界は長いこと欧米の尺度だけで出来事の良し悪しを決められてきたけど、さすがにその仕組みが疲弊してきた昨今、元々の地域にあったやり方というのが一番なじむのだろう。とすると全世界がまた鎖国化していくのもいいんじゃないかと思ったけど、日本の大黒屋からソマリランドに一瞬で送金できる利便性は否定できないなとも一方で思う。

  • ソマリアの中身がよくわかる内容。
    本書をおいて現在のソマリアに詳しいものは他にはないと思われるが、文章が冗長で読みづらい。

  • ◆きっかけ
    イケハヤブログ。2017/5/30

  • これは、面白い!!
    なかなかボリュームのある一冊だけど退屈とは無縁の読書タイム!ただの物珍しい・楽しい旅行記とは一線を画している。というのもソマリア(ソマリランド・プントランド・南部ソマリア)の歴史や氏族の仕組みなどを文献にあたるだけではなく現地でカート中毒になりながら質問に質問を重ねて詳しく調べ上げているあたり、著書の並々ならぬソマリランド愛を感じる。氏族を日本の戦国武将にたとえて説明してくれるのはナイスアイディアで大変わかりやすい!これがないと絶対挫折してた…。

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著者プロフィール

1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。

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