- Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861344428
感想・レビュー・書評
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あめちゃんと呼ばれる椎本千歳、先生である能登匡志の恋物語。二人の急速に縮まる距離感に戸惑いつつ、惹かれ合う時は本当に早いもんだよなとリアリティさも感じていました。
甘えたな先生が可愛くて、それを窘めてる千歳も可愛くて。
急に別れがきて、あめちゃんがあめちゃんじゃなくなって、先生はあめちゃんがいなくなったことを知り、千歳の未来の当たり前にある幸せの為に遠ざけようとする。
記憶喪失モノにはよくあると思うんだけど、記憶があってもなくても、その人はその人なんだって、頭では理解してても、実際その人の性格を形作っていくのって、それまでの記憶だったりするから…なんとも切ない。
傷を作るのが今の自分だって理解していても、先生のそばにいようとする千歳も我儘だし、千歳をあめちゃんとは違う人だって遠ざけてしまう先生も我儘だなって思った。
それでも、両想いなら一緒にいてほしいし、記憶や傷を埋め合う為にいっぱい話をしてほしいなって。
千歳が千歳のままでも、あめちゃんと呼ばれていた頃の自分のことを、今の自分の記憶だと思えるくらい知ってほしい。
そしたら、おじいちゃんになる頃には、きっと幸せだけでいっぱいになると思う! -
うーん、これ攻のキャラクターでかなり好き嫌いが分かれるかも。
10もの年の差で、一応先生と呼ばれる立場なのに、あめちゃん(受)に自分の気持ちを早々に打ち明けて『好き好き』攻撃。
そりゃ何の手練手管も知らない純情な高校生が絆されますわ…と穿ってしまう人には向かないかと思います。
ただ本筋はそんな話ではなく。あめちゃんの事を想って何も言わず、身を引こうとする先生が切なくてただ泣けるお話でした。
ハッピーエンドですが、すべて元通りでみんな幸せ。というラストでないところが、切なさに拍車がかかってまたいいです。続編読もうかな。 -
記憶戻らないのか・・・二人が混じって一人になる。
個人的には忘れな草のが好きです。 -
どうも話が急すぎて入り込めなかった。
先生があめちゃんを好きになる過程もラノベの如くあっという間。正直それだけ?と思ってしまいました。後半同性同士の恋愛であることに葛藤する場面が出てきますが、その冒頭の急展開のせいで、全く活きてこなかったです。あめちゃん視点だから仕方がないのでしょうか。前半はほぼ先生のあめちゃんが好きってことだけで終了。
あめちゃんも、特にゲイというわけではなさそうなのに、あっという間に先生のことが好きになってしまう。これで先生の過去にちらつくトラウマやあめちゃんの家庭環境か関わってくるのならわかるのですが、特になんの理由やエピソードもないまま恋人になります。
後半記憶を失ってからの気持ちの表現はとても秀逸なのに、前半の急展開と説明不足のせいで、読んでる側はなかなか気持ちがついていきませんでした。
恋愛って「好き」だけではないよねって部分をところどころとても丁寧な表現で描いている分、話が雑というわけではないのですが、せっかくの気持ちたちがストーリーや設定と噛み合わず響きませんでした。
とても期待して読み始めたのでちょっと残念です。 -
電子書籍で読んでいたんですが、テクノサマタさんの挿絵がどうしても見たくて紙書籍も購入(笑)。
満足しました! -
能登先生の奔放なキャラクターに戸惑いつつ、真っ直ぐで柔らかで純粋な二人の気持ちの重なり合いが丁寧に穏やかに描かれていく描写にするする引き込まれました。心の内側の柔らかな部分をそっと掬い上げるような言葉のきらめきの一つ一つに包み込まれるよう。
触れて欲しくない、目をそらして向き合おうとしないでいた痛みに手を差し伸べられて、そのままそっと包み込まれるみたいな愛おしさと苦しさが溢れていて、読んでいる間中、揺さぶりをかけられてどうしようもなかった。
行き場のない感情に寄り添う優しさと温もりが溢れていて、こういった感情に出会える事こそが物語に出会う喜びなのかな、とも思ったり。
愛おしいと思える人に出会える奇跡とそのぬくもり、二度と帰らない時間への切なさにぎゅっと心をつかまれました。
メイン二人は勿論、真っ直ぐな気持ちで相手に、自分自身に向き合っている相楽さん、秋津先生たち女性キャラもとても魅力的でした。