チボの狂宴

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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861823114

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で。
    トルヒーヨ政権の小説、というので借りてみましたがオスカーワオのインパクトが強かったのでこちらはふうん、という感じで読み終わりました。

    極悪非道の独裁者も一般人と変わらない人間なんだ、と書くとトルヒーヨだけが悪いんじゃなくて取り巻きも同等かそれ以上に悪いんじゃない?と言う気になってしまう。権力を握った独裁者におべっかを使い、先回りして彼の望みを叶えるべく(そして自分にも権力や富のおこぼれを頂戴すべく)尻尾を振っている政府高官の方が醜いし厭らしい。相当、悪辣な事をしてその地位に上り詰めているハズですからね。とは言え独裁者を擁護する気はさらさらないですが。
    という訳でカブレラ氏の娘さんには全然共感できなかった…。というのも彼女や彼女の父が属していたのが支配階級だったからなのかなあ。そりゃあ酷い目にはあってるけどそれを言ったら長男一味に乱暴されて九死に一生を得た女子の方がもっと悲惨だし、被害を受けても助けてももらえなかった一般市民を思うと彼女はラッキーな方だった訳で。ウラニアさんは海外に逃げ出せたわけだけどドミニカに留まりそこで生き延びた人の労苦を思うと… 彼女よりはドミニカで苦労した人の方が独裁者を、ドミニカを糾弾する権利があると思うので。大体そのドミニカの金を(父の送金とは言え)使ってアメリカに留学している時点で一般的ドミニカ人とは言えないしなあ… 父の送金を受け取っている時点で父は絶対許さない、とか言われてもちょっとね(笑)彼女的にはトルヒーヨの息子のラムファス?の方が許せる、と言ってましたが正直、親父の金でやりたい放題しているバカ息子を私は許せないな。

    暗殺実行犯達もなんだか…まあ複雑なのはわかるけど、という感じで。なんかちょっと動機が納得できないことも多いなあと。弟が誘拐犯に仕立て上げられた人の話もちょっと首を傾げる。弟は海外で殺人を犯したのにトルヒーヨが罷免してくれた。その時は感謝しかしないで罪をかぶせた後は憎悪するって。ちょっと自分勝手すぎませんかねえ?という訳で個々人の動機もちょっと理解できないこともありました。

    オスカーワオは面白い本なんだけどふと考えさせられる事がしみじみと怖かったです。この本よりは独裁政権の圧迫的な息苦しさが感じられてドキドキしました。それというのも成功もしていない、普通の一般市民の立場から書かれていたからかな、と思うのです。

  • 濃い。500ページ程度の作品なのに、1500ページぐらい読んだ気分。構成自体よりも、視点によって大きく見え方が変わってるような部分がおもしろい。

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