「ユダヤ」の世界史: 一神教の誕生から民族国家の建設まで

著者 :
  • 作品社
3.75
  • (2)
  • (2)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 84
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861827570

作品紹介・あらすじ

「民族」と「宗教」で世界の見方を深化させる
「統一性」と「多様性」をあわせもつ、かくも豊かな歴史
一神教の誕生、離散と定住、キリスト教・イスラームとの共存・対立、国際的ネットワークの展開、多彩な才能の開花、迫害の悲劇、国家建設の夢、現在の紛争・テロ問題……

「本書はユダヤ人の歴史を世界史の流れの中で叙述したものである。ユダヤ人は民族集団あるいは信徒集団としての長い歴史をもっている。ユダヤ民族史を有史以来続くものとして描く立場さえもある。「ユダヤ四〇〇〇年の歴史」といった表現も人口に膾炙している。本書は私なりの立場からのユダヤ人あるいはユダヤ教徒の世界史である」(本書「はじめに」より)

「ユダヤ」の人々は数千年にわたって、信仰や記憶を通じて一つに結びついてきた一方で、自らが生きた時代や地域の中で、きわめて多様な姿を見せることとなった。
 一神教の誕生から、離散と定住、キリスト教・イスラームとの共存・対立、国際的ネットワークの展開、多彩な才能の開花、迫害の悲劇、国家建設の夢、現在の紛争・テロ問題にいたるまで、そこにはこの世界の複雑さが映し出されてもいる。
「民族」であると同時に「信徒」である「ユダヤ人/教徒」の豊かな歴史を辿り、さらには、そこから逆照射して世界史そのものの見方をも深化させる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 1章と2章のみ読む。
    ユダヤ人の根底に流れる思想的なものの断片は、知ることができた。

    メモ
    離散か定住かという考えがユダヤ人の歴史を貫いており、どちらの立場をとるかによって歴史叙述もまったく違ってくる。ユダヤ人の中でもこの二つの流れは対立したままで、現在に至るまでその対立は解消されていないと言える。

    「捕囚」ヘブライ語でガルート=異常な状態なので元の故郷に帰るべき。
    「ディアスポラ」ヘブライ語でテフツォート=植物の種が撒かれるように散らばる。
     ・シオニズムはガルートに力点を置く。

    ユダヤ教の「罪」の概念は、キリスト教的な「原罪」とは全く異なる。ユダヤ教では神の決まり、つまり法律を破ることを「罪」といっているだけで、非常に単純なものである。旧約聖書に書かれていることから逸脱することを「罪」と呼んでいるだけにすぎない。キリスト教のように内面の問題は問わない。

    ユダヤ人の歴史観
    個人の人生で結局のところ残るのは思い出である。ユダヤ人にとっては「出エジプト」の思い出である(加藤隆)を引用して、
    再び我々に出エジプトのような奇跡が起きるかもしれないと、世代と時代を超えて延々と出エジプトの記憶を伝えてゆく。この記憶(思い出)がユダヤ人の歴史観の基本にある。そう信じることによって、1948年のイスラエルの国家建設まで待っていたわけである。

    臼杵陽:1956生。東京大学大学院総合文化研究科国際関係論博士課程単位取得退学。在ヨルダン日本大使館専門調査員、佐賀大学助教授、エルサレム・ヘブライ大学トルーマン平和研究所客員研究員、国立民族学博物館教授を経て、現在日本女子大学文学部史学科教授。京都大学博士(地域研究) 専攻は中東地域研究。

    2020.1.15第1刷 図書館

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001173690

  • ヒトラー本の関連図書。当時ヒトラーが最も恐れたのはユダヤ人だったのではないだろうか。

  • 東2法経図・6F開架:227.9A/U95y//K

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

1956年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科国際関係論博士課程単位取得退学。在ヨルダン日本大使館専門調査員、佐賀大学助教授、エルサレム・ヘブライ大学トルーマン平和研究所客員研究員、国立民族学博物館教授を経て、現在、日本女子大学文学部史学科教授。京都大学博士(地域研究)。専攻は中東地域研究。主な著書に、『見えざるユダヤ人――イスラエルの〈東洋〉』(平凡社選書)、『中東和平への道』(山川出版社)、『イスラムの近代を読みなおす』(毎日新聞社)、『原理主義』『世界化するパレスチナ/イスラエル紛争』『イスラエル』(以上、岩波書店)、『イスラームはなぜ敵とされたのか――憎悪の系譜学』『大川周明――イスラームと天皇のはざまで』『アラブ革命の衝撃――世界でいま何が起きているのか』(以上、青土社)、『世界史の中のパレスチナ問題』(講談社現代新書)などがある。

「2018年 『「中東」の世界史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

臼杵陽の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×