眠れる記憶

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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861829826

作品紹介・あらすじ

記憶の芸術家、ノーベル文学賞受賞後の第一作。
小さな偶然と大きな奇跡──忘却と想起を詰め込んだ、日本語版オリジナル編集の小説集。

眠れる記憶
──僕は、街角でしか人が真に出会うことはあり得ないと長らく信じていた。
老齢を迎えた語り手が、六十年代を生きた自らの激動の青年期を振り返りながら、記憶の奥底に眠っていた女性たちとの出逢い、別れ、そして再会の思い出を想起する。ノーベル文学賞受賞後初の作品となる表題作。

隠顕インク
──この人生には空白がいくつかある。
パリから失踪した女性を捜し出すという任務を授かった主人公は、彼女が住んでいたと思われるアパルトマンで一冊の手帳を発見する。三十年後、自ら調査を再開して目撃者を追跡するのだが……。

感想・レビュー・書評

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  • 読みながら、古い記憶の中から不意に流れ出てくるものの不思議さに打たれていた。モディアノが綴るのは、大体が不在を巡る物語なのだけど、年々読者に心優しくなっているような気がする。というのは、本書では「間に合った」と安堵する瞬間に立ち会えたから。ここでいう「間に合う」の意味合いは、姿が消える前に追跡している対象に追いつくこと。いつか訪れるであろうリフレインを待ち、生き直すのを夢見るのはわるいことじゃない。そう、ちょっとハンドルを切るように夢の筋書きはいつでも方向転換可能なのだ。いくつかの不動点さえ失くさなければ。

  • 中編小説2篇
    表題作も隠顕インクも出会うために捜し続ける物語。何度も何度も出会って失い彷徨う主人公や出会ったことのない失踪したノエルを捜しまた思い出したように足跡を辿り30年も経って本当は再会だと知る記憶の中を彷徨うような、どちらも彷徨うことがテーマともいえる物語だった。読んでいた間、ずっと心地よい酩酊感の中にいた。

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著者プロフィール

(Patrick Modiano)1945年フランス生まれ。1968年に『エトワール広場』でデビュー。1972年に『パリ環状通り』でアカデミー・フランセーズ小説大賞、1978年に『暗いブティック通り』でゴンクール賞を受賞。その他の著作に、『ある青春』(1981)、『1941年。パリの尋ね人』(1997)、『失われた時のカフェで』(2007)などがある。2014年、ノーベル文学賞受賞。

「2023年 『眠れる記憶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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