女を幸せにしない「男女共同参画社会」 (新書y 156)

著者 :
  • 洋泉社
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本棚登録 : 40
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862480521

作品紹介・あらすじ

いったい誰のための男女共同参画社会なのか?セイフティーネットとして機能してきた主婦は本当に無用の長物か?子どもを不要とする社会的風潮はなぜ作り上げられたのか?少子化対策がなぜ子どもを増やすことでなく労働力確保に擦り替えられたのか?誤読から始まった「ジェンダー・フリー」が男女共同参画の名の下に君臨してしまっている今日、問題は山積している。本来、男女共同参画社会とは女性が安心して子どもを生み育てながら仕事を行える社会、男性も仕事だけでなく、家庭生活において家事・育児を行う社会ではなかったのか。少子化をさらに促進させ「女・女格差」を広げ、「一億総働きバチ社会」をつくる行政主導のフェミニズムに基づく「男女共同参画社会」の矛盾点をいま明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭から上野千鶴子と大澤真理バッシングだ。こどもを持たなかった女性を「フリーライダー」としてバッシングだ(年を取ってからよその子どもの稼ぎで暮らすから、と)。読み続けたのは、出ていた資料がまさに、上野さん大澤さんたちが使う資料と同じものだったからだ。読み進めて、つまりは主婦が搾取されている状況を怒っているのだ、と分かる。子どもをもてなかったルサンチマンを主婦にぶつけるな、という主張は、本当に上野大澤陣営がそうしているのであれば、正当だ。ただし、著者の山下さんが言っている女性に対する搾取は、フェミニストが作ったものじゃない。上野大澤陣営が謝罪をしても、主婦の苦しみは解決しない、なぜなら、主婦を搾取しているのはフェミニストじゃないからだ。この本の山下さんご自身の介護記録が圧巻だが、ここで彼女が最も傷ついているのは、義理の父上の男尊女卑的な言動だったりするのだ。巻末のブックガイド、あれれと思う書評もあるが、基本的によくできている。自分で読めば判断できる。既成のフェミニズムのどこに問題があるかも分かったし、この本は読んでよかった。このひとと、子を持てないワタシが共闘するにはどうしたらいいのだろう。

  • 「一億総働き蜂社会」と出てくるので、「一億総活躍社会」っていつからだったっけ?と調べてしまった。
    思ったよりも近年だった。この本は10年以上前のものだけれども、たぶん今も大して変わってない。今回の選挙も「女性当選数・割合」が過去最高……とか、ニュースになってるんだから。
    過去最高で10%と少し。男女平等は程遠い。



    一億総働き蜂社会については、ほとんど同意だし、そうだなーと思って読んだ。
    けれど、「家族」の解体……みたいな話は、婚外子にも遺産が渡るなんて本妻の立場はどうなるのよ!!みたいなものもあって。
    それは、本妻とか関係なく『子供の権利』なんだけどなと思った。感情的には同意するけれども、子供が妾の子供になろうなんて選んで生まれるわけでもない。
    子供に渡る遺産を「親のもの」と同化するのは、違うと思った。(実質、親のものになってしまうとしても)



    まぁ。そんな感じで家族幻想がちょこちょこ出てきてて、その辺りは読み辛い。
    他にもシングルは他人が産んだ子供に将来養われるのに!!みたいなものも……うん。
    気持ちは判るけれど、なんかそれも違う。それを言うのなら『税の振り分けがおかしい』という話。……いや。そーいう話にもなっていたけれど、なんかやけに感情的な感じがした。

    韓流に至ってはもはや意味不明。



    もうちょっと統計を示して、こうなのだと書いている本かと思ったけれど、
    読めば読むほど統計は減って、感情論になってるようで、半分は読むのが辛かった。こーいう感覚の人なのだなとは思うのだけれども、シングルな私は責められている気分になってしまった。





    「一億総働き蜂社会」は十年前も今も変わらないどころか、状況は悪化してるような気がする。介護についても書かれていたけれども、介護も基本在宅をすすめている……と思う。恐らく今はもっと酷くなってる……ような。



    私自身は介護なんてしたことないし、祖母は施設に入ってるので会うことも少ない。
    けれど、介護認定が下がる事を母たちは気にしていて、「下がったら施設を追い出される」とか、「このままだと追い出される(要介護度を上げないと)」みたいなものは聞いたことがある。
    政府としては軽い症状の人達は「自力でどうにかしてくれ」という事で、施設に入るには軽いとダメらしい。あげないと……と言うのはともかく、祖母としては他人にはしっかりした自分を見てほしいから、しっかりとしているふりをする。
    そうされると要介護度が下がってしまって、母たちが大変な目に合う。という事になる。が、わざとぼけたふりをするのも大変なわけで……なんだかなと思う。



    けれどこれは、『今』の話で恐らく母が高齢になったころ(すでに高齢者だけれども)、私が高齢者と言われるようになった頃には
    『死ぬ一歩手前』でやっと施設(病院)に入れる。状況だろうなと思う。
    介護殺人なんてものもありきたりな今……。
    成人がお酒や選挙の解禁(今はそうなってないけれど)…ならば、高齢者になったら安楽死の選択の解禁に出来ないのかなぁ。

  • 「公務員や大学教員のような暇な職業」との記述にめげた。50頁で挫折。

  • [ 内容 ]
    いったい誰のための男女共同参画社会なのか?
    セイフティーネットとして機能してきた主婦は本当に無用の長物か?子どもを不要とする社会的風潮はなぜ作り上げられたのか?
    少子化対策がなぜ子どもを増やすことでなく労働力確保に擦り替えられたのか?
    誤読から始まった「ジェンダー・フリー」が男女共同参画の名の下に君臨してしまっている今日、問題は山積している。
    本来、男女共同参画社会とは女性が安心して子どもを生み育てながら仕事を行える社会、男性も仕事だけでなく、家庭生活において家事・育児を行う社会ではなかったのか。
    少子化をさらに促進させ「女・女格差」を広げ、「一億総働きバチ社会」をつくる行政主導のフェミニズムに基づく「男女共同参画社会」の矛盾点をいま明らかにする。

    [ 目次 ]
    第1章 「女・女格差」を広げる男女共同参画社会
    第2章 「負け犬」は格差社会のエリート!?
    第3章 少子高齢社会のひずみは専業・パート主婦に押し付けられる
    第4章 女系天皇(男女平等主義)か男系天皇(保守血統主義)か究極の選択
    第5章 「冬ソナ」は一九七〇年代日本の演歌的純愛物語の世界である
    もっと知りたいあなたのためのブックガイド

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 分類=社会・女性・男性・主婦・少子化・男女共同参画。06年7月。

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著者プロフィール

1955年、東京生まれ。1979年、日本女子大学卒業。その後、東京都立大学にて日本女性史、日本古代史を学ぶ。1980年以降、東京女性史研究会を主宰。会誌『フェミニテ』の編集にあたる。現在、国際日本文化研究センター共同研究員。比較文化、思想班所属。著書に『高群逸枝論』(河出書房新社)、『日本女性解放思想の起源』(海鳴社)、『マザコン日本の文学事情』(仮題、新曜社)。共著に『消費資本主義論』(新曜社)、『少女雑誌論』(東京書籍、近刊)、『史層を掘る4 供犠の深層へ』(新曜社、近刊)ほか。

「1991年 『「女性の時代」という神話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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