これから資本主義はどう変わるのか――17人の賢人が語る新たな文明のビジョン

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  • 英治出版 (2010年1月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862760760

これから資本主義はどう変わるのか――17人の賢人が語る新たな文明のビジョンの感想・レビュー・書評

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  • 『先達17人が示すあるべき次代の社会システムをイメージする!!』


    「ショア・バンク破綻!業務停止!!」
    は当時の僕にはショックなニュースでした。
    (現在は、Urban Partnership Bank が引き次いでいます!)

    社会貢献性の高い企業に転職したつもりが、ほぼキャッチコピーレベルの集客のためのマーケティングというのが経営の実態で、それを変える力もない自分にイラついている時に舞い込んだニュースでした。

    理想としていた事業が継続できないという事実は、将来的にソーシャルビジネスを夢にすることの難しさ、あるいは無謀?と言葉さえもあらためて突き付けられた気分でした。正に左右のフックの連打で失神寸前といった状況だったんです。


    現在の貨幣制度の問題点の一つでもある”利子制度”の金銭的な果実を享受してしまっている保険業界で社会貢献ビジネスはやはり成立しないのか?というジレンマ、そして実現性という狭間での葛藤のマイナスファクターが更に増えたという感じでもありました。


    しかし、(タイミングはどうかとも思いますが…)今この本を読んで、
    やはり方向性は間違っていないと再認識しています。


    不惑の親父にソーシャルイノベーションへの参画を諦めない勇気を与えてくれる一冊です。


    ということで、備忘録として読書Memo



    ■私たちの務めは、イノベーションが正しい方向をめざすようにすること(ビル・ゲイツ)
    世界は長い歴史的にみれば着実に良くなっているが、更なる成功はイノベーションが鍵となる。
    育毛治療よりもマラリア治療の方が優先順位が高いのは明らかなのに、放っておくとそうならない。

    ■ボランタリー経済(田坂広志)
    人類の歴史を通じて一貫して重要な経済原理。貨幣の交換を伴うことなく、人間同士の善意や好意、友情や愛情によって、社会の隅々で行われている。ボランタリー経済が存在しなければ、マネタリー経済も活動を停止さざるを得なくなる。

    ■知識資本主義は共感資本主義へに深化していく(田坂広志) 
    集合知を知識資本として活用することが求められている。消費者からの共感、信頼、評判などの共感資本を経営資源とすることができる。
    企業は、社会的企業に、さらに地球企業へんと進化していくことが必要。

    ■社会的株式市場の開設(ムハマド・ユヌス)
    開設の必要性。整備、社会的格付け機関、用語標準化、定義、指標、「ソーシャル・ウォールストリート・ジャーナル」のような金融紙。

    ■企業の新たな仕事(ダニエレ・ガンゼル)
    [古典的な経済上の仕事]
    1.株主のために利益を出すこと
    2.従業員のために職を提供すること
    3.所在国に税金を納めること
    [現代的な経済上の仕事]
    1.環境責任
    2.社会的責任
    3.平和の推進

    ■シュバイスフルト財団
    持続可能な食の安全保障に貢献する新しい農業文化を築くことを目指して活動。
    オーガニックフードの生産に移行することは、地球規模で実行可能であり、経済的にも社会的にも、またエコロジーの視点からも長期的な意義がある。

    ■企業責任基準
    1.家族に配慮した方針
    2.地元の規制機能
    3.文化的な活動と資金提供
    4.研究開発
    5.人材育成活動
    6.企業ボランティア活動
    7.寄付、サポート、資金提供

    ■モデルとすべきマネジメント(ダノン、クラフトフーズなど)
    1.企業のリーダーが、尊重、感謝、透明性とオープンさ、公平な話し合いの模範を示す
    2.肝心なのはリーダーのセルフでなく行動。
    3.経営幹部の人事は、華々しいキャリアでなく堅実な個人の価値体系を考慮
    4.価値志向のリーダーシップ
    5.権利侵害や法規違反などの行為による昇進機会、世評、事業利益が被るリスクを提示
    6.違法行為は懲戒処分の対象
    7.マーケティングの行動規範(長期的な成功、品質管理、など)
    8.従業員に対する行動規範
    9.国と社会に対する行動規範

    ■補完通貨
    ・クリチバ市のごみ問題を解決
    ・タイムダラーの「ケア・バンク構想」
    ・サーベアー

    ■マル・ワーウィック
    『ソーシャルビジネス入門 「社会起業で稼ぐ」新しい働き方のルール』の著者。

    ■ナチュラル・キャピタル・インスティテュート
    非営利 非政府組織に基づいてサウサリート、カリフォルニア州に設立された。創設者は、環境保護活動、起業家、ジャーナリスト、そして作家でもある ポール・ホーケン(Paul Hawken)

    ■ビル ドレイトンさんの言葉
    「1980年の時点で新たな世代が台頭しはじめ、古い秩序の非効率性にうんんざりしていました。その状況から、歴史的な転換点がやってきていると感じたのです。」

    ■ショアバンク
    ショアバンクは、貧困地域の開発のために融資を行なうコミュニティ開発銀行。1950年代後半より徐々に貧困化していたサウスショア地域から既存の地域銀行が撤退を決定した73年、元銀行員4人が銀行を買収して創業。


    「過去100年は市場経済が席捲した時代だったが、資本主義の恩恵は大多数には届かなかった。社会的ば視点も備えた経済モデルをどのように推進すべきか?」

    <Keyword>
    ・ヤトロファ(バイオディーゼル油原料)

    <名言>
    ○「私は失敗はしてきたわけではない。うまくいかない一万とおりの方法を発見しえきたのだ」エジソン
    ○「常識的な人間は、自分自身を世間に合わせる。非常識な人間は、懸命に世間を自分に合わせようとする。そのため、非常識な人間がいなければ、世間はまったく進歩しないということになる」(バーナード・ショー)



    【目次】

    Part 1 資本主義の進化

    第1章 よりよい世界のためのイノベーション
    ビル・ゲイツ(ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団共同会長、マイクロソフト会長)

    第2章 これから資本主義社会に何が起こるのか――現代文明の未来をめぐる対話
    田坂広志(シンクタンク・ソフィアバンク代表)

    第3章 貧困と闘う資本主義――ソーシャル・ビジネスが経済を変える
    ムハマド・ユヌス(グラミン銀行総裁、ノーベル平和賞受賞者)

    第4章 インクルーシブ・ビジネス――経済開発の新たなアプローチ
    リカルダ・マクフォールズ(持続可能な開発のための世界経済人会議)

    第5章 平和を守る資本主義――資源戦争の危機にビジネスは何ができるか
    ダニエレ・ガンゼル(バーゼル大学教授)

    第6章 食糧危機と経済の倫理――持続可能な文明をめざして
    フランツ・テオ・ゴットヴァルト(シュバイスフルト財団)

    第7章 通貨のイノベーション――社会変革のレバレッジ・ポイント
    ジャッキー・ダン(ジャーナリスト、国境なき起業家団創設者)

    第8章 世界のビジネスを変えた20のアイディア
    マル・ワーウィック(マル・ワーウィック・アソシエイツ会長)

    Part 2 変革の担い手

    第9章 社会起業家精神とは何か――ビジネス界の思想的変革
    ミルジャム・ショウニング、パラグ・グプタ(社会起業家のためのシュワブ財団)

    第10章 資本主義の創造的破壊――社会的企業は何をもたらすのか
    ジョン・エルキントン、パメラ・ハーティガン(ヴォランズ・ベンチャーズ)

    第11章 若者の創造性を、地域の力に――人の絆が持つエネルギー
    キャサリン・セシル(ユース・スター・カンボジア)

    第12章 すべての人がチェンジメーカーになる時代
    ビル・ドレイトン(アショカ会長兼CEO)

    第13章 勇気を持て――変革は一人から始まる
    ララ・ガリンスキー(エコーイング・グリーン)

    第14章 自分の心と世界をつなぐ――一人ひとりの起業家精神
    ナンシー・ルーフ(コスモス誌編集長)

    第15章 人生の起業家――これからの資本主義社会をどう生きるか
    ギュンター・ファルティン(ベルリン自由大学教授、テーカンパニエ創業者)



    追記:
    自分の時間の使い方次第なんですが・・・inputにoutputが追いつかない日々はまだまだ続く!
    でも、時間を置いてアップは、長期記憶化に貢献しているか!?

  • ちょっと前の本ではあるが、現在進行している様々な取り組みや、社会変革の方向性について複数の有識者の意見や事例紹介がされている。直接民主制について述べられていたり、資本主義の新しい形はどうなるのかの予想がされていたりと示唆に富む。

  • 慈善ではなく、CSRでもなく、新しいビジネスを展開しながらコア事業で地域を、世界を変える。
    長引く世界的な不況と経済の不安定さを乗り越え、複雑にからみあう世界の諸問題を解決していこうとする起業家精神から、学ぶ事は多い。

  • 冒頭には、「本書は、この世界が着実に良くなっており、今後もよくなっていくだろうと信じる、世界各国の識者のメッセージを集めたものだ。」とあります。読後、やはり「あらゆる世界での大きな変革」が必要であると感じます。「社会起業家の父、ビル・ドレイトン」の章は特に興味を惹きました。

  • CSRや社会起業家、その事例・企業について著名人たちが執筆したものがまとめられています。
    考え方自体は、私自身、社会起業家の方とお話しする機会が多いので、大きく新しいものはなかったが海外での取組や事例が多く取り上げられているのは良かった。紹介程度の情報量なので、興味ある分野の情報は改めて、自分で調べるのだが、紹介だけでもいろんな活動がわかるので楽しかった。

  • ■全体として何に関する本か
     本書は、ビル・ゲイツ氏を始めとする資本主義経済界の要人や有識者など17名の著者による、これからの資本主義がどう変化していくのか予測を集めた短編集である。マイクロソフトのビル・ゲイツ氏やグラミン銀行のムハマド・ユヌス氏、アメリカの「Teach for America」のウェンディ・コップ氏など経済界の大御所からスターまで様々な経済人の考えを知るのに最適な一冊である。


    ■何がどのように詳しく述べられているか
     前半では「これまでの資本主義の発達を踏まえて、これから資本主義がどう進化していくのか」について書かれている。ムハマド・ユヌス氏のグラミン銀行の話やジャッキー・ダン氏による通貨の新しい可能性の話は大変刺激的で、読んでいて面白い。ジャッキー・ダン氏によると通貨が今後の社会において一つのレバレッジポイントになるという。ブラジルのクリチバ市というスラム街が新しい通貨制度を導入したことによって、国連から「最も環境に優しい街」に指定される程の大変貌を遂げたことや、スイスの経済情勢が高水準である背景として「WIR」というスイスフランとは別の通貨が一役買っているという事実が語られている。他にも最新の資本主義経済システムが数多く取り上げられている。
     本書の後半は「変革の担い手」について書かれている。前半で紹介したような新しい経済システムを成功に導く人における共通の特徴や、変革者の育成方法などについて説明されている。


    ■その本は全体として真実か、どんな意義があるのか
     それぞれの著者における共通の考えとして、民間セクターの役割が今後大きく変わろうとしていることが挙げられる。ある著者によれば、これまでの民間セクターの仕事は「株主のために利益を生み出すこと」「従業員のために職を提供すること」「所在国に税金を納めること」の3つであったが、これからは新たに「CSRの仕事」が重要な要素として加わるという。実例としてナイキやトリンプなど超大手企業がCSRを過少に見たため窮地に陥りかけた事例を紹介し、CSRの重要性を説いている。CSRとして社会的規範や環境保護規範を尊重することはもはや当然であり、これからの企業は自身の経営環境である社会を分析し、自ら必要な行動を起こすことが重要だという。ここ近年の社会情勢を見ても、CSRが企業の重要な仕事であることは明らかであるが、世界各地の事例を知ることでその認識は一層高まる。


    ■一番面白かったのはどこか、なぜ自分は面白かったのか
     『世界はよくなっている』ビル・ゲイツ氏のこのメッセージが本書で最も刺激的だ。今日の世界を眺めて、病気や貧困、識字率の低さといった問題ばかり見てしまう人がいるが無理もないとゲイツ氏は言う。世界には苦しみがあまりにも多く、平和はあまりにも少ないからだ。さらにインターネットを始めとする通信技術の進歩によって、世界に存在する問題が目につきやすくなってもいる。
     しかし、そのような見方をする人は、大きな流れを見逃している。実際には、何千年、何世紀、何十年、どの単位でみても、世界は少しずつ、確実に良くなっていると言う。
     本書を読めば、まさにその通りだと感じるようになる。資本主義の悪いところではなく、資本主義の新たな可能性を強く感じることができる一冊である。

  • 2011年19冊目。

    収録されている論考の著者がとにかく豪華!!
    ビル・ゲイツ、ムハマド・ユヌス、ビル・ドレイトン・・・

    リーマンショックによって経済のあり方が見直される今こそ、
    あらゆるセクターに属する全ての人に読んで欲しい。

  • 2011/1/2セブにて読了

  • 初夏に長女が結婚します。 いつの間にかそんな年齢になってしまいました。そんなこんなで、最近、世代に繋がりがなければと感じ、次の世代やそのまた次の世代にどんな世の中を残すかを考えることが多くなりました。大雑把に言えば、「生まれてきてよかった」という「世の中」です。「様々な問題(貧困・教育・就業・紛争・差別などなど)」の解決には、とりあえず理想に向かって失敗を恐れずに半歩でも行動していることに意義(価値)があります。行動を伴わない他力本願の評論家的な傍観者では、何も変わらないと反省しています。

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