カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則
- 英治出版 (2018年6月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862762603
作品紹介・あらすじ
「対応」から「伴走」へ。顧客との関係づくりの新常識。
あらゆる分野でサブスクリプションが広がる今日、
企業は「売る」から「長く使ってもらう」への発想を変え、
データを駆使して顧客を支援しなければならない。
シリコンバレーで生まれ、アドビ、シスコ、マイクロソフトなど
有名企業が取り組む世界的潮流のバイブル、待望の邦訳。
「“顧客の成功"が企業の利益になる時代。これからのビジネスの基礎となる考え方と組織のあり方を学べるガイドブック。」
――馬田隆明(東京大学本郷テックガレージディレクター、『逆説のスタートアップ思考』著者)
サブスクリプションが世界を席巻している。ソフトウェアから音楽、食品、IoTビジネスまで、あらゆる分野で定期購入や従量課金のビジネスモデルが急速に拡大しているのだ。
売ることよりも長期的な関係をつくることが、新規顧客の獲得よりも既存顧客の保持が求められるサブスクリプション時代において、カギとなるのが「カスタマーサクセス」だ。
受け身で顧客に対応するのではなく、データを駆使して顧客を積極的に支援する。そのためにマーケティングはもちろん、事業と組織のあり方を最適化する――。シリコンバレーのSaaS企業で生まれたカスタマーサクセスの哲学と方法論は、いまや非IT企業や従来型企業にも広がり、ビジネス界の一大潮流となりつつある。
カスタマーサクセスはなぜ、どれほど重要なのか。どうすれば定期収益を育てられるのか。組織とマネジメントはどう変わるべきなのか。先進的な企業はどんな取り組みをしているのか。カスタマーサクセスの最前線で活躍する著者らが明解かつ実践的に語ったバイブルの邦訳版。
感想・レビュー・書評
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石原さんの要約を添付しておきます。
これが一番キレい。
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本の要約
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3行で要約すると、
・クラウド化によってサブスクリプション(継続定額制)モデルが隆盛
・サブスクの宿命はチャーンレート(解約率)との戦い
・解約を防ぐには顧客の成功(カスタマーサクセス)のために取り組むしかない
という論旨です。
"カスタマーサクセス"はサブスクビジネスの成功のために
必要不可欠だからやらねばならない、という極めて合理的な話でした。
Saas企業の施策実例も多く含まれ、大変参考になりました。
サブスクリプションというビジネスモデルに付随しての流行ですが、
顧客の成功という【真に喜ばれるもの】を提供する姿勢に、
米国のビジネスの潮流が向かっていることはとてもよいことだと思いました。
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学び(というか決意)の結論
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人材紹介での【入社後活躍】サービスを早く体現し、
"HR業界でのカスタマーサクセス"のスタンダードを取る
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結論に至った背景
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読了してみて私が一番に感じたことは、、
「エンは先端を行っている」ということです。
【入社後活躍】はカスタマーサクセスそのものであり我々の事業のコアです。
また【3E】は【入社後活躍】を実現するためのサービス概念・群です。
「事業上必要に迫られて行うカスタマーサクセス」と、
「カスタマーサクセスを追求する事業」は似ているようで大きく異なります。
サブスクリプションモデルがメインではないのに、
カスタマーサクセスを志向し、そのためのサービスがある、
という状態は最先端だと思います。
ただ、一方で焦りを感じました。ここが学びになります。
世の潮流はカスタマーサクセスに向かってきています。
HR業界もサブスクリプション&カスタマーサクセス追求を志向すると思います。
(正社員中途採用領域は「欠員補充が9割」「高単価」なので、サブスクと
あまり相性が良くないと思いますが、破壊者が出てくるかもしれません)
エンエージェントは【入社後活躍度世界一】というクライアントの成功を
目指して6期目を迎えていますが、言行一致にはまだまだ程遠い状態です。
大きな問題は、
【入社後活躍】が短期的な事業活動にリンクしていないことだと考えています。
具体的には、
・入社後活躍してくれたときの経済的な喜び
もしくは、
・入社後活躍しなかったときの経済的な痛み
のどちらもなかったということです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『カスタマーサクセス』
2年ほど前に、実務で必要となり読了しました。
カスタマーサクセスとは、契約先のビジネスを成功に導くことを指します。具体的にいえば、御社のサービスを購入した目的、理由をサービス提供者として実現させるということです。
カスタマーサクセスでやること。
書籍には10個記載があります。
しかしながら、自社のステージに合わせて、重要度高い、かつ負担が少ないことから始めることもポイントです。
負担が少ないとは、たとえば自チームだけで展開できることです。他部署と関わる領域は、初動までに時間を要するため後に回すもアリです。
カスタマーサクセス。10個の内容で、もっとも腹落ちしたのは『正しい顧客と契約すること』です。
この正しいの定義は、自社のサービスの提供価値に共感し、使うメリットのある顧客です。
自社の売上目標やそのほかの理由での押し込み営業での契約は、自社と顧客の双方にとってのロスになりかねません。
10個の定義を抜き出し、定期的に棚卸しするだけでも水準は変化すると考えます。
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『サブスクリプション』、『サブスクリプション・マーケティング』と続けて読んで、カスタマーサクセス部門が多くの企業では当たり前にあるというのを知ったので、『カスタマーサクセス』というタイトルのこの本に手を出してみた。サブスクリプションモデルの効果的で持続的な実現のためにカスタマーサクセスが必要となり、サブスクリプション・エコノミーは、さらに広く考えるとカスタマー・エコノミーとつながるとも言える。企業とカスタマーの力関係は技術の力もあってか変容を遂げ、カスタマー・ファーストでなくては生き残ることができない世界になりつつある。
カスタマーサクセスとは、チャーンレート低減、ARPU向上、CXおよび顧客満足度向上のために必要となるものだ。こう聞くとカスタマーサクセスは通信業界でもとても重要どころの話ではない。このカスタマーサクセスと、単なるカスタマーエクスペリエンス、顧客管理(CRM)、カスタマーアドボカシー、カスタマーサポートといった似たような概念との違いと関係をしっかりと意識をしておかないといけない。例えば、最高のカスタマーエクスペリエンスとは、必要なときに誰かが助けてくれることではなく、助けが必要になる頻度がどんどん減っていくことである。
著者は、ARR (年間定期収益)やMRR (月間定期収益)といったこれまでとは違った財務数値を管理するべきだと説く。このARRもしくはMRRを上げていくためにカスタマーサクセスが多くの企業で喫緊の課題になっているというのがこの本の主張だ。そして、カスタマーサクセスとは、結局のところ心理的ロイヤルティを生み出すための手段だという。
第II部の実践編として銘打たれたパートは、ハイタッチ、ロータッチ、テックタッチといった活用する概念や論点を揃えた上で、様々な会社のカスタマーサクセス部門に近い人によって書かれたもので、複数人による著作にありがちだが、統一性やロジックが読み取れないことも多く、なかなか読み進めるのが辛かった。
書籍としては結局第II部が飛ばし読みになり、満足感が低かった。著者が読者をカスタマーと捉えて、カスタマー・サクセスを成果として追い求めたのであれば、決して成功していない、と言いたい。それとも、自分は誤った顧客であったのだろうか。 -
読むのに結構気力がいります
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長いわりに同じような文書が何度も何度も出てきて、嵩増ししてるなぁという印象を非常に強く受ける。
要はSaaSでサブスクが出てきたから売って終わりじゃなくて継続的に使ってもらわないといけないよね、購入後もお客さん大事にしようね、という以上の話ではない。
最後にスタバでドヤっている描写が出てきて、あぁなるほどなーと納得する部分があった。 -
訳本にありがちなわかりにくさやギャップはあるものの、今後の顧客との関係性を会社に説明する知見はある程度得られたのではないかと思う。
サブスクリプション型のビジネスが増えていく中、瞬間的な売り上げ(数値)ではなく、「販売後のユーザー体験の結果が次の売り上げを生む」ことに重点を置いていることについて異論はなさそう。
とはいえ、BtoCの事業体の場合、顧客の痛みを取り除くことを第一目的とするCSの視点から見ると、CSは要望対応型の組織として、相変わらずコストセンターと位置付けられているところに若干のもやもやが残る。
本の最後にあるスターバックスや「現在の理想的なカスタマーサクセス」を冒頭に持ってくれば、具体例のイメージをつかむことができるのではなかろうか。 -
まだ読書中。カスタマーサクセス部に所属している身としては教科書のような本。
約1年半前の『セールスフォース・ドットコムの挑戦 世界は顧客が変える』にも概念は記載されていたが、それを具体的に体系化している。歴史(背景)から組織の関わり、実践における原則と今後を記載。自分の現組織や仕事内容とのGAPやモヤモヤ感が見えてくるので良い。
組織として離れ小島では機能せず、また、導入支援だけでもダメで、トップから推進及び組織間連携が必要なことは納得。
具体的に記載あるももの、自分ところのサービスや製品に置き換えて考える必要はある。
なかなか一言では言い表せないので、
もうゆっくりと少し読み進めてみることにする。 -
いい本だった
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カスタマーサクセスの考え方が体系的に整理されており勉強になった。
・顧客は3つのカテゴリに分類でき適切な管理方法を探る
・顧客にとっての成功や、実現するためのカスタマーサクセスを定義し、計測する
・チャーンに関しては、計測方法、期間、状態を定義し、防止に努める
【メモ】
2章
・CSは全社巻き込んで進める
プライオリティ高めるために、リテンションと売上に報酬を付けるのも1つ
顧客ごとの責任は1人に持たせる
3章
・顧客は3つのカテゴリに分類できる
ハイタッチ、ロータッチ、テックタッチ
・テックタッチに対して打合せなどせずとも、定期的にメールでアプローチするだけでもリテンションなど大きく変わる
→サービス利用企業へのCSと取り組みをもっと考えるべき
5章
・誰にでも販売すればいいのではなく、正しい顧客に販売すること
解約理由を分析して傾向を出したり
正しい顧客に販売するために報奨出したりの工夫が必要
「チャーンの90%は販売時に起こる」
・特にハイタッチへの販売を誤った場合のインパクトはかなり大きい
7章
・顧客を大成功に導くために必要なこと
①顧客はどうやって成功を測定してるか
②顧客はその価値を達成してるか
③顧客は提供したサービスからどんなCXを得ているか
8章
・カスタマーヘルスにより、顧客の現状を把握し、管理する
・将来の行動やその時期を予測し、うまく管理できるようになる
9章
・顧客のカバレッジモデルに応じて、担当案件数やミーティング頻度など決めるべき(ハイタッチで5〜15件程度→これ以上持つとかなり厳しい)
11章
・タイムトゥーバリューの多くが実装に関するものだが、問題は実装にかかる時間ではなく、価値にかかる時間である
12章
・チャーンを計測するために
①計測方法を決める
②計測期間と頻度を決める
③予測値を決める
④チャーンの疑いある状態と間近な状態の定義方法を決める
⑤報告方法を決める
13章
・Saasモデルが持つ大きな利点の1つは、顧客の利用状況を計測できる点
14章
・顧客にとっての成功やカスタマーサクセスを定義し、計測できる状態か?
・定期的に製品部門と会話しカスタマーサクセスの改善を進める